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遠方の実家の売却にともない、お墓の引越しをどうするか?
遠方の実家の売却にともない、お墓の引越しをどうするか?
親の相続で近隣に家を相続する兄弟姉妹もいない場合は、実家の売却が必要となってきます。しかし、両親などのお墓も実家近くにある場合が多く、お墓をどうするかを考えなければなりません。親も亡くなった実家の地域には縁も薄くなりお墓参りも実際にはできなくなります。その場合は、自分の住む地域への両親などのお墓の引越しを考える必要があります。しかし、お墓の引越しは簡単にはできません。今までのお墓を閉める「墓じまい」をして、新たに将来的に自分たち家族も入るお墓を用意しておかなければなりません。直面しないとわからない、お墓の引越しの方法について紹介します。
目次
1. 両親などの入る今までのお墓の墓じまいについて
(1) 墓じまいとは
(2) 遺骨の承継者がいる場合の墓じまいの手続き
2. 遺骨の承継者がいる場合の墓じまいの方法
(1) 改葬先(遺骨の引越し先)を見つける。
(2) 改葬許可証を発行してもらう。
(3) 墓じまいをする現在の墓地の埋葬証明書と改葬先の受入証明書を発行してもらう。
(4) 墓じまいの石材店を探す。
(5) 遺骨を取り出す。
(6) お墓を取り壊し、墓地を更地化する。
(7) 改葬先(引越し先)に遺骨を納骨する。
3. 墓じまいにかかる費用
(1) 石材店の墓石撤去、更地化費用(20~30万円)
(2) 閉眼供養のお布施(3万円~)
(3) 離檀料(3万円~)
(4) 改葬先の墓地購入費
(5) 役所へ提出する書類に関する費用
4. お墓の引越しの注意点
(1) 親族への相談
(2) 家族への相談
(3) 寺院墓地の場合、今までのお寺の住職への相談
まとめ
1.両親などの入る今までのお墓の墓じまいについて
(1) 墓じまいとは
墓じまいとは、お墓の利用者が文字通りお墓を撤去し更地にし、お寺や墓地の管理者に敷地を返還しお墓を閉めることです。
墓じまいでは、遺骨を他のお墓に移すお墓の引越しつまり改葬を行う場合の遺骨の承継者による通常の墓じまいと、お墓の承継者がいなくなり年間管理費も払われなくなった時に、お墓の管理者が強制的にお墓を撤去する管理者による墓じまいの場合があります。
お墓は、法律により勝手に建立したり処分したりができないため、撤去改葬する場合には行政手続きが必要となります。
(2) 遺骨の承継者がいる場合の墓じまいの手続き
遺骨の承継者がいる場合の墓じまいでは、まず遺骨の移転先を決めて、役所へ手続きをすることが必要です。
「墓地、埋葬等に関する法律」により、墓じまいをする際には役所への申請が必要になります。申請に必要な書類は以下の3種類です。
a. 改葬許可申請書(各自治体=市町村が発行)
b. 現在の墓地の埋葬証明書(現在、遺骨が埋葬されている墓地・霊園管理者が発行)
c. 改葬先の受入証明書(改葬先=遺骨の引越し先の墓地・霊園管理者が発行)
以上の書類では、まず遺骨の改葬先(引越し先)を先に決めなくてはなりません。なぜなら、a. の「改葬許可申請書」には遺骨の改葬先(引越し先)の場所を記入する必要があるからです。
さらに、現在、遺骨が埋葬されている墓地・霊園から、b. の遺骨を納骨しているという証明も必要になります。この証明は多くの場合、「改葬許可申請書」の一部にその証明記入欄があり、現在の墓地・霊園管理者に署名捺印してもらいます。
なお、多くの墓じまいの代行業者ではこれらの自治体手続きを代行して行なっています。
2.遺骨の承継者がいる場合の墓じまいの方法
遺骨の承継者がいる場合の墓じまいの方法については次のようなものです。
(1) 改葬先(遺骨の引越し先)を見つける。
お墓をどこに移すかですが、自分自身が入るお墓としても考える場合は自分の住いの近くで生前購入する形で新たなお墓を検討します。
お墓は、公営霊園、民営霊園、寺院墓地などの運営形態から選ぶ場合や、将来のお墓の承継者がいなくなることも考え、永代供養方式の納骨堂や樹木葬という形態から選ぶ場合もあります。
先祖の遺骨も入れる場合は、遺骨数が多くなりますのでその点も検討要素になります。
(2) 改葬許可証を発行してもらう。
新しいお墓が決まったら、「改葬許可証」を発行してもらいます。
改葬許可証は、墓じまいをするお墓がある市区町村の役所で発行してもらいます。
(3) 墓じまいをする現在の墓地の埋葬証明書と改葬先の受入証明書を発行してもらう。
・埋葬証明書
墓じまいをする現在遺骨が埋葬されている墓地・霊園管理者から発行してもらいます。
・受入証明書
改葬先から遺骨の受入証明書を発行してもらいます。
(4) 墓じまいの石材店を探す。
お墓を取り壊し、跡地を更地にする石材店を探します。墓地・霊園の出入り業者やお寺の紹介など墓地・霊園の周辺の石材店に見積りを取って決めます。
(5) 遺骨を取り出す。
遺骨の取り出しは石材店が行います。
また、寺院では墓じまいをする際には、お墓から魂を抜く「閉眼供養」をすることがあります。お寺の僧侶に確認・依頼し、行う場合はお布施も必要となります。
(6) お墓を取り壊し、墓地を更地化する。
石材店によりお墓を取り壊し、墓地を更地化します。
(7) 改葬先(引越し先)に遺骨を納骨する。
取り出した遺骨は改葬先に納骨します。納骨については納骨先がどのような種類なのかによって変わります。
仏教式の場合には一般的に、納骨の際に僧侶による魂入れ(たましいいれ)の供養を行ないます。魂入れは開眼供養(かいげんくよう)とも呼ばれます。これらの儀式は納骨式などとも呼ばれています。僧侶を呼ぶ場合は、新たに寺院墓地に入る場合はその寺院の僧侶に依頼し、一般霊園の場合は今までのお墓の菩提寺の宗派を受け継ぐ場合は菩提寺から紹介してもらう方法があります。また、僧侶派遣サービスを利用する方法もあります。
無宗教の場合は不要です。
他宗教の場合はその宗教の慣例を参考にします。
3.墓じまいにかかる費用
次に費用の現状について紹介します。
(1) 石材店の墓石撤去、更地化費用(20~30万円)
石材店にかかる費用で作業内容は以下となります。面積、墓石規模により異なります。
・墓石を動かしカロート(遺骨収納スペース)から遺骨を取り出します。
・墓石を解体・撤去し粉砕します。
・外柵や花立、植木などの付属品一式などを撤去します。
・きれいに整理して更地にします。
墓石は重く重機を使いますが、お墓の場所によっては重機が入らず、手作業になってしまうと作業費が高くなります。
(2) 閉眼供養のお布施(3万円~)
仏教式の場合、墓石撤去時に、僧侶にお墓に宿った仏様の魂を抜き取る供養をしてもらう場合があります。閉眼供養と呼ばれており、僧侶へお布施を渡します。
(3) 離檀料(3万円~)
寺院墓地の場合に、寺院側から要求される場合があります。離団とは檀家を離れるという意味です。今まで長年の間、自分の代わりに日々お墓を管理、維持していただいたお礼の意味です。離檀料については不必要の場合も多くあります。また、相場もありません。
(4) 改葬先の墓地購入費
どのような改葬先を選ぶかで費用が大きく異なります。
新たに墓地を決めて墓石を建てる場合は、墓地の永代使用料、墓地の管理費、墓石代などがかかります。
納骨堂や樹木葬にかかる費用の相場は、納骨堂では約30万円~100万円、樹木葬では約10万円~30万円程度などが多く見受けられます。
(5) 役所へ提出する書類に関する費用
その他、役所へ提出する書類に関する費用が若干掛かります。
4.お墓の引越しの注意点
お墓の引越しの注意点は次のようなものです。
(1) 親族への相談
兄弟姉妹、叔父叔母など、お墓に関係する親族がいれば相談します。墓じまいと改葬についての理由や考え、今後のお参りなどを説明し了解を得ます。
(2) 家族への相談
配偶者や子供と今後のお墓をどうするかについて、家のお墓の墓じまいと改葬について理由や考えを説明します。また、これから購入するお墓について相談します。特に、子供や孫の代でのお墓の承継が心配な場合は、将来的に永代供養の合祀墓形態のものなどを検討します。
(3) 寺院墓地の場合、今までのお寺の住職への相談
寺院墓地の場合は今まで墓守でお世話になっていた感謝を述べつつ、墓じまいに至った経緯と事情を、誠意をもって説明し相手の理解を得る必要があります。
手土産の用意や、今まで参拝にあまり来なかった非礼をわびる必要もあるでしょう。
その後、新たなお墓の購入などにつき検討します。
まとめ
・墓じまいが増える背景として、地方出身者でも多くの人が都会で働き都会に住むようになった現在、地方の実家のお墓の墓守ができなくなってきたことと、少子化でお墓の承継者もいなくなる恐れから今までのお墓を守れないためです。
・墓じまいとは、お墓の利用者が現在のお墓を撤去し更地にし、お寺や墓地の管理者に敷地を返還しお墓を閉めることです。その後、お墓の改葬を行います。お墓の改葬は遺骨を他のお墓に移すことです。墓じまいとお墓の改葬は通常一体として行われます。
・墓じまいには行政の手続きが必要で、改葬許可証が必要です。
ただし、改葬先を決めておくことが要件となります。現在の墓地の埋葬証明書(現在、遺骨が埋葬されている墓地・霊園管理者が発行)、改葬先の受入証明書(改葬先=遺骨の引越し先の墓地・霊園管理者が発行)も必要です。
・改葬先の生前墓の購入では、今後の自分のお墓の承継の問題を考え決めます。納骨堂や樹木葬など、将来お墓の承継者がいなくなることを考慮した永代供養の合祀型のお墓を選ぶ人も増えています。