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不動産の「任意売却」とは? PART1

不動産の「任意売却」とは? PART1

 

人生では、予期せぬことが起こることがあります。会社都合やコロナ禍で急に職を失ったり、事故や災害などで想定外の出費が重なったり、急な病気で働けなくなることがあるかもしれません。そんな予想もしていなかったことにより、住宅ローンの支払いが難しくなったらどうしたらよいのでしょうか?金融機関に返済について相談しても解決が難しい場合は、所有する不動産の任意売却の方法もあります。今回は、任意売却に関する概要と競売との違いなどを紹介します。

目次

1.任意売却と競売との違い

(1) 任意売却とは

(2) 競売とは

(3) 任意売却と競売の違い

2.任意売却のメリット、デメリッとは?

(1) 任意売却のメリット

(2) 任意売却のデメリット

3.任意売却が完了するまでの期間や流れ

まとめ

 

1.任意売却と競売との違い

 

万が一、住宅ローンの返済が厳しくなってしまったら、マイホームやマンションを売却し、売ったお金を元金返済に充て、ローンを完済するという手段があります。しかし、売却資金で住宅ローンの残債が完済できない場合は、別途完済するためのお金が準備できなければ、通常の売却ができません。なぜなら、不動産を売却する場合、住宅ローンなどで不動産に設定されている金融機関の抵当権を抹消しなければ引渡しができず、抵当権抹消のためにはローンの完済が条件となっているからです。

売却してもローンの完済ができない場合は、金融機関と相談して任意売却とするか、金融機関が抵当権を行使して不動産を差し押さえた後、強制的に競売と呼ばれる売却となります。

 

(1) 任意売却とは

 

任意売却とは、債権者である住宅ローンを借りている金融機関(銀行)に許可を得て、一定の条件のもと抵当権を解除してもらい家を売却する方法です。

 

通常、家を売却する際には住宅ローンを完済し、銀行が家を差し押さえられる権利の抵当権を抹消して、買主に家を引き渡します。ただし、不動産の売却資金を充ててもローンが残ってしまうときには、抵当権が解除できないため不動産の売却自体が原則としてできませんが、任意売却の場合は、売却によって住宅ローンを完済できない場合でも、債権者である金融機関の了承が得られれば、一定の条件のもと抵当権を解除してもらえる方法です。

 

任意売却は法的な強制処分ではないため、債権者と債務者が合意をすれば、売却価格や引渡しの時期なども相談のうえ決定することができます。また、売却資金の配分は債権者が優位ではあるものの、債務者の希望もある程度踏まえて決められます。そのため、通常、後述する競売にかけられる前に任意売却を進める方が、所有者側の希望が反映されやすく自由度が高いといえます。

 

(2) 競売とは

 

競売とは、所有者の意思とは関係なく、債権者が抵当権の対象となっている不動産を差し押さえた後、法的な手続きに則って強制的に売却されることです。

 

一般的に住宅ローンを3〜6カ月程度滞納すると、銀行や住宅金融支援機構など債権者である金融機関から「期限の利益を喪失した」として住宅ローンの残額を一括返済するよう請求されます。

期限の利益とは、約束した期日と金額で住宅ローンを返済していれば、住宅ローンを借りている側は一括返済を求められないというものです。

 

金融機関は住宅ローンを貸す際に万が一住宅ローンを回収できなくなった時のために抵当権を設定します。住宅ローンの滞納が生まれ金融機関の一括返済の支給に対しても返済できない場合は、金融機関は抵当権を行使し、裁判所に申し立てを行い、裁判所は住宅ローンの担保にしている家を競売にかけます。

 

競売にかける際、裁判所は家主に許可を得るといったことはなく、競売開始決定の通知書が届けられます。通知書が届いたら、調査員が訪れ家を調査し、調査のもとに売却価格が決まり、競売がスタートします。競売の売却で得られた資金が残債の回収に充てられます。

競売では売却時期や販売価格を所有者の意思で決めることはできません。

 

(3) 任意売却と競売の違い

 

任意売却と競売の違いの基本は、債務者にとって最も大きな違いは強制力の有無と経済的な損失です。

 

①競売は任意売却と比べて低価格で売却される傾向がある。

 

競売は通常の売却や任意売却と比べて低価格で売却される傾向があり一般的な市場相場の6~7割程度で落札されてしまいます。

 

②競売費用が住宅ローンに加算され経済的な負担が増す。

 

債権回収会社や保証会社が裁判所に納付する競売費用が住宅ローンに加算されるなど、任意売却よりも経済的な負担が大きくなります。

 

③競売は情報が近隣の人に知られてしまう可能性がある。

 

競売では、裁判所の職員によって訪問調査が行われたり、官報やインターネット上に競売物件として掲載されることもあり、近隣の人に知られてしまう可能性があります。

 

④引き渡しの時期は所有者の希望通りにならない。

 

引渡しの時期は所有者の希望とは限らないため、所有者やその家族は、仕事や学校の都合などに関係なく退去せざるを得なくなります。

 

2.任意売却のメリット、デメリッとは?

 

任意売却の場合、ローンの完済が難しい場合でも債権者の合意があれば、抵当権を抹消できるという可能性があります。これは任意売却の大きな特徴の1つですが、ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか?また、注意すべき点にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

(1) 任意売却のメリット

 

任意売却は、一般の不動産売却に近い形で行われるという特徴があります。任意売却のメリットは以下の通りです。

 

①所有者の情報を非公開にできる。

 

任意売却は、通常の不動産売却で売り出すのと同様に、物件所有者の情報が周囲に知らされることはありません。

一方、競売の場合は、競売が決定すると、裁判所の競売情報のWEBサイト内に対象の不動産、その所在地、物件写真が公表されます。インターネットで物件情報が公表されるため、周囲には知られてしまう可能性があります。

 

②引越し費用の負担を軽減できる可能性がある。

 

任意売却では、引越し代を売却資金から捻出できる場合があります。というのは、任意売却では、売却資金の配分を債権者と相談して決めることができるからです。債権者との交渉次第では、引越し費用など諸費用の一部を売却資金から負担してもらえることもあります。

 

③引渡し日の希望を相談できる。

 

任意売却では、契約条件や引渡し日など、債権者が認める任意売却の条件の範囲内であれば、売却に関して一般的な不動産売却と同様に買主と相談することができます。

たとえば、仕事や学校などのスケジュールを考慮して、引渡し日を所有者の希望も踏まえて決められるなどです。

 

④残債を分割返済できる。

 

家の売却額だけでローンを完済できない場合、ローンの残債が生じます。通常家を売却する際、残債は自己資金を補填するなどして金融機関に一括返済をしなくてはなりません。

しかし、任意売却なら残債ができてしまっても、家を売却後に月々の分割返済が可能となる場合があります。

 

(2) 任意売却のデメリット

 

任意売却には注意点もあります。注意点を知らずに任意売却を選択すると、任意売却そのものが完了できないことや、売却後も住宅ローンの返済で生活に支障が出るといったケースもあります。

 

①信用情報に登録される可能性がある。

 

任意売却に限った注意点ではありませんが、住宅ローンを滞納すると、信用情報機関の個人信用情報に滞納履歴が事故情報として登録される可能性があります。この信用情報機関へ事故情報として登録されるのは、一般的に住宅ローンの返済などを3回以上滞納した時点といわれます。そのため、任意売却を行う際にはすでに信用情報機関の個人情報の欄に事故扱いの記載が載ったことが考えられ、新たな金融機関との取引が難しくなります。事故情報が登録されると、通常5年間は金融機関からの借り入れやクレジットカードなどの審査に通らず、融資やカードの発行が受けられなくなってしまう可能性があります。

 

②売却額が手元に残らない。

 

通常、家を売った際に出た売却額をどのように使うかは売主の自由です。しかし、任意売却の場合、基本的に売却額はすべて住宅ローンの返済にあてられます。売主が売却額を自由にできるのは、ローンを返済して売却額に余りが出た時のみです。

必要経費や家を明け渡す際の引っ越し費用などは、最初に金融機関との交渉で売却額から捻出する場合は了解を得なければなりません。

 

③任意売却にはタイムリミットがある。

 

任意売却する場合は、競売の開札日前日までに売却しなければなりません。競売を回避するには、開札日前日までに物件の売買契約を交わすだけでなく、残代金を受け取り、残債を支払うステップまで終える必要があります。たとえ任意売却の途中であっても、競売で落札者が決定されるとその時点で任意売却ができなくなります。

 

④売り急ぎの場合、不利な条件で売却することになる。

 

売り急ぎをせず、売却活動に時間をかけ希望に近い条件で売却することが望ましいですが時間的な制限がるのは事実です。任意売却を行うと決定したら、できるだけ速やかに売却活動を始め、少しでも不利にならない条件で売却するように努めます。

 

(PART2へ続く)

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