TOP > 不動産売却の基礎知識 > 不動産の売却 > 不動産の売却方法―仲介と買取のメリット・デメリット
不動産の売却方法―仲介と買取のメリット・デメリット
不動産の売却方法―仲介と買取のメリット・デメリット
不動産を売却する方法には、大きく分けると不動産会社に仲介してもらう方法と、買取をしてもらう方法とがあります。仲介は、不動産会社に幅広く一般に物件の買主を探してもらう方法で、買取は、不動産会社や買取専門会社が物件の買主になるものです。不動産会社や買取専門会社はその後物件を再販売します。ここでは仲介と買取の相違を知り、そのメリット、デメリットを整理します。売主の考え方、置かれた状況により売却方法を選択する場合の参考にしてください。
目次
1. 不動産の仲介とは
2. 不動産の買取とは
(1) 買取保証
(2) 即時買取
3. 仲介のメリットとデメリット
(1) 仲介のメリット
(2) 仲介のデメリット
4. 買取のメリットとデメリット
(1) 買取のメリット
(2) 買取のデメリット
5. 売主による仲介と買取の選択
まとめ
1.不動産の仲介とは
不動産を売りたい人が仲介不動産会社に売却を依頼し買い手を探してもらう方法です。
売却を依頼する場合には、不動産会社と売却を依頼した人が媒介契約を締結する必要があります。
媒介契約においては3種類の契約方法があり、複数の業者に仲介を依頼することができる一般媒介契約、1社のみに依頼する専任媒介契約と専属専任媒介契約があります。
媒介契約の内容としては、
・売却業務を不動産会社に委託する。
・売却できた場合には、仲介手数料を支払う。
という点が基本となります。
売却に関する仲介手数料は、通常の価格帯であれば売却価格の3%プラス6万円(別途消費税)以内と宅地建物取引業法で定められています。
2.不動産の買取とは
売却したい物件を不動産会社、買取専門会社に直接買い取ってもらう方法です。
売主にとっては、不動産会社、買取専門会社と金額面で折り合いがつけばすぐに売却可能な点があります。また、直接の売買のため仲介手数料は不要です。
不動産会社はその物件を、そのままかリフォームするなどをして転売します。販売するための広告費や税金、利益を見込むため、買取金額は相場より低めに設定されます。
なお、不動産の買取方法には、大きく分けて以下の「買取保証」と「即時買取」の2つがあります。
(1) 買取保証
不動産会社に仲介を依頼して市場で欲しい人を探しつつ、一定期間売れなかったら取り決めていた額で不動産会社に買い取ってもらう保証をつけることです。売主にとってはより高い価格で売りたい希望はありますが、売れなかった場合の買取保証がある点が安心となります。ただし、不動産会社により、また物件により、買取保証が行われない場合があります。買取保証を行う不動産会社、物件は限定されていると言ってよいでしょう。
買取の保証があるので、売れない不安が常に付きまとうことはないでしょう。ある程度高く売りたいが売り切らなくてはいけない期限が決まっている人にとっては良い保証でしょう。
(2) 即時買取
即時買取とは、不動産会社に即時で買い取ってもらうシステムです。即時買取の仕組みを取っている不動産会社、買取専門会社であれば、依頼して査定審査後すぐに家を買い取ってもらうことができます。
買取の決定は早くて7日~1カ月ほどです。
買取価格は、相場の60~70%の価格になることが多いと言われています。
3.仲介のメリットとデメリット
(1) 仲介のメリット
仲介のメリットは、次のような点です。
①市場価格で売却される。
不動産会社は媒介契約を締結した場合には、不動産業者の情報共有ネットワークの「レインズ」に物件を登録します。レインズは不動産情報を多くの不動産業者の間で共有することにより、早期の売却活動を促進していくことが目的となっていて、ネットワークがあることで不動産会社も相場の価格をつかんで営業活動を行います。相場は近隣の取引事例をもとに形成されます。個別物件の事情により価格の査定はありますが、標準的には相場での販売が可能となります。
②売主にとって雑多な売却事務がない。
媒介契約は、売却手続きをほぼ全て不動産会社に委託しますので、契約書などの重要書類の作成や買主との交渉などはすべて媒介契約を締結した不動産会社が対応します。
売主は、不動産会社からの売却活動の進捗状況の報告を受けて、どのように今後売却活動を進めていくのかということを決めるだけとなり手続き、事務の煩わしさがありません。
③成功報酬制でリスクがない。
不動産の仲介業務は成功報酬制のため、万一売れなかった場合は仲介手数料はかかりません。
(2) 仲介のデメリット
①仲介手数料がかかる。
不動産は一般的に高額になるため仲介手数料も高額になることです。
仲介手数料は通常価格であれば売却価格の3%+6万円(税別)以内ということになっていますので、売却価格が高ければ高いほど、仲介手数料の金額も比例して高くなるということになります。
②売れるまで時間がかかる。また、売れない場合もある。
仲介では売却まである程度の時間がかかります。仲介の場合は売却できる期間は、個別物件の条件により一概には言えませんが3カ月から6カ月程度が目安となります。また、売れない場合もあります。
4.買取のメリットとデメリット
(1) 買取のメリット
買取のメリットは次のような点です。
①即もしくは短期で、売却、現金化できる。
買取の場合は、買取業者が提示した金額で売主が納得すれば、売却は確実です。即時買取の場合にはすぐに現金化されます。早く現金化したいという場合には有効な手段です。買取保証の場合でも短期に売却できることが確実です。
②仲介手数料がかからない。
買取の場合は、売主と買主の直接取り引きになり仲介業務ではないため仲介手数料がかかりません。
仲介手数料は、例えば売却価格が3,000万円であった場合、税込みだと100万円程度となります。
③物件の瑕疵担保責任を負わない。
売主は不動産を売却する場合は「瑕疵担保責任」という責任があります。瑕疵とはキズのことで、瑕疵担保責任というのは、売却した不動産に後日欠陥が見つかった場合には、それに対して売主は責任を持たなければならないということです。
ところが、買主が個人の場合と異なり、買取業者が不動産会社(宅地建物取引業者)や専門会社である場合は、瑕疵担保責任は免除されます。不動産会社は専門的な事業者であり個人の消費者ではないためです。
④近所に売却活動を知られない。
通常、仲介という営業活動を不動産会社が行う場合は広告活動をします。広告ではチラシなどが配布され、また、物件の内見が行われたりします。そのため、近所の人に家を売り出しているということがわかってしまうということです。買取の場合は、買主の不動産会社と契約するだけであり広告は行われません。
(2) 買取のデメリット
①買取価格の安さ
買取のデメリットは価格の安さに絞り込まれます。
買取業者は、不動産を買い取って転売することが目的ですので、必要により家のリフォームを行い売りやすくするための付加的な作業を行います。また、転売のための利益を載せて売却活動を行います。そのため買取価格は当然市場価格よりもかなり安くなり、標準的には60~70%程度が目安と言われています。
②買取保証をする会社、物件の限定
仲介を行う不動産会社で買取保証までする会社は限定していることです。また、物件により再販売しにくい場合は買取が行われない場合もあります。どの会社、どの物件でも買取保証があるわけではありません。
5.売主による仲介と買取の選択
売主にとって仲介と買取の選択の基準は、時間的に現金化をどうしても急ぐ必要があるかどうかです。住宅ローンが払えなくなり売却を迫られている場合や、離婚などにより共有財産としての不動産を時間的に早期に処理したい場合などがあります。
また、売主の物件が売れるかどうかの不安が強く、買取の保証があれば安心な場合があります。上記は経済的理由、後者は精神的な理由と言えるでしょう。
まとめ
・不動産の仲介とは、不動産を売りたい人が仲介不動産会社に売却を依頼し買い手を探してもらう方法です。不動産会社と売却を依頼した人が媒介契約を締結する必要があります。
・不動産の買取とは、売却したい物件を不動産会社、買取専門会社に買い取ってもらう方法です。
・不動産の買取方法には、「買取保証」と「即時買取」の2つがあります。
・仲介のメリットは次のような点です。
①市場価格で売却される。
②売主にとって雑多な売却事務がない。
③成功報酬制でリスクがない。
・仲介のデメリットは次のような点です。
①仲介手数料がかかる。
②売れるまで時間がかかる。また、売れない場合もある。
・買取のメリットは次のような点です。
①即もしくは短期で、売却、現金化できる。
②仲介手数料がかからない。
③物件の瑕疵担保責任を負わない。
④近所に売却活動を知られない。
・買取のデメリットは次のような点です。
①買取価格の安さ
②買取保証をする会社、物件の限定
・売主にとって仲介と買取の選択の基準は、時間的に現金化をどうしても急ぐ必要があるかどうかです。