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一般媒介契約の契約期間と契約の切り替えとは
一般媒介契約の契約期間と契約の切り替えとは
一般媒介契約の契約期間は、法律での定めはありませんが基本的に「3カ月が目安」とされています。とはいえ、実際には不動産会社によって契約期間が異なることもあるため、契約を結ぶ前に確認することが大切なポイントです。しかし、契約してもうまくいかない場合や契約の見直しをしたい場合もあるかもしれません。契約の基本は契約期間内の解除は避けたいものですが、やむを得ない場合は、一般媒介契約はいつでも解除できる面があります。なぜかというと、一般媒介の契約期間は法的に定められたものではなく行政の指導の範囲内のものだからです。一般媒介契約の解除方法、更新方法、一般媒介から専任媒介契約などへの切り替える場合について説明します。
目次
1. 一般媒介の契約期間について「目安は3カ月」
2. 一般媒介契約における契約解除
(1) 契約に契約期間内の解除規定が記載されている場合
(2) 契約規定に反する不誠実な行為があった場合や、営業努力が著しくされていない場合など
(3) 契約解除以外の方法
(4) 契約更新をしない方法
3. 一般媒介契約における契約期間の更新
(1) 原則として自動更新はない。
(2) 契約更新の方法
(3) 自動更新には特約が必要
4. 一般媒介契約から専任媒介契約などへ切り替えもできる。
(1) 契約形態の変更、契約先の変更は可能
(2) 契約先の変更ができない段階
まとめ
1.一般媒介の契約期間について「目安は3カ月」
一般媒介契約の契約期間は、法律での定めはありませんが、基本的に「3カ月が目安」とされています。これは、国土交通省が公示している標準媒介契約約款に、一般媒介契約の契約期間は3カ月以内が望ましいと記載されているためです。そのため、特別な事情がない限り、売主と不動産会社とで締結する一般媒介契約の契約期間は、3カ月以内とすることが一般的です。
2.一般媒介契約における契約解除
一般媒介契約における契約解除については次のように考えられます。
(1) 契約に契約期間内の解除規定が記載されている場合
契約に契約期間内の解除規定が記載されている場合、例えば、解除1カ月前までの予告が必要とあればそれに従います。
(2) 契約規定に反する不誠実な行為があった場合や、営業努力が著しくされていない場合など
契約の趣旨に反する状況にあると思える場合は、契約解除の申し出をすることができると考えるのが原則です。
媒介契約を結ぶ際には、いつまでに売却したいか明確な期間設定を行っておくことが適切です。その期間にメドが経たない場合は契約解除の申し出も妥当性が明確になります。
(3) 契約解除以外の方法
一般媒介契約の場合はそもそも複数の不動産会社と重ねて媒介契約を締結できることから、他の不動産会社を探したいという目的であれば、中途解約せずとも新たな不動産会社を探し提携することができます。
(4) 契約更新をしない方法
不動産会社側に明らかに不誠実な対応がない場合では、契約更新日を待って、「更新しない」という形で契約を解約するのが穏当な方法です。
また、解除をする際には、事前に解除の意向を必ず不動産会社に伝える必要があります。契約した不動産会社が営業に着手しているため一定の配慮は必要です。買い手の見込みが出てきている場合もありトラブルが生じる恐れもあるからです。
3.一般媒介契約における契約期間の更新
(1) 原則として自動更新はない。
媒介契約を更新する場合は、売主が書面で申し出る必要がありますので、一般媒介契約は自動更新されることはありません。これは、専任・専属媒介も同様です。
では、更新はどのようにすればよいのでしょうか。一般媒介契約の契約期間を更新する際の主な手順を解説していきます。
(2) 契約更新の方法
契約更新の主な手順は以下の通りです。
①不動産業者からの更新打診
契約期間の終了が迫ると、不動産業者から契約期間終了の連絡と併せて契約更新を打診されます。多くの場合は電話やFAXで連絡がくることが普通です。
②売主の更新の可否の判断
売主は不動産業者から連絡を受けて、媒介契約を更新するか否かを検討します。
3カ月を目安に不動産業者がそれぞれ設けている一般媒介契約の契約期間ですが、その期間を過ぎても売却できていない場合、どうして物件が売れなかったのか、その理由を明らかにすることが必要です。
一般媒介契約では、不動産業者におこなった売却活動について定期的に進捗を伝える義務が課せられていないため、積極的な活動を行っているかどうか不明の場合もあるからです。不動産業者の積極的な売却活動がないことが原因で購入希望者が現れていないのであれば、他の業者との契約への変更なども検討課題になる場合があります。
③契約更新承認すると不動産会社から契約書が書面で送られてくる。
契約を更新することを決断したら、その旨を不動産業者に連絡します。すると不動産業者から新しい契約書が書面で郵送されてきます。
④契約内容をしっかり確認する。
契約を更新するステップのなかで契約内容を再確認することが大切です。契約書の内容に変更点がある場合は特にそうです。
⑤署名・捺印をして返送する。
新たな契約書を確認したら、必要な個所に署名・捺印をおこなって返送し、契約更新を完了します。
更新せずに解約したい場合は、不動産会社からの更新の申出に応えなければ解約となります。
(3) 自動更新には特約が必要
媒介契約の契約期間は、通常再契約をしなければ更新されることはありませんが、一般媒介契約では自動更新の特約がついている場合があります。自動更新をしたくないという場合は、自動更新の特例を削除するように申し出ることができます。
自動更新の特約がついているかどうかは、契約書に明記することが義務づけられ、通常は不動産会社から契約時に説明されるはずですが、契約をする際には売り主としても注意が必要です。
4.一般媒介契約から専任媒介契約などへ切り替えもできる。
(1) 契約形態の変更、契約先の変更は可能
一般媒介を契約している複数社の中で、担当者の対応がよいなど「この1社に絞りたい」と思うことがあれば専任(専属専任)媒介契約に切り替えることは可能です。
一般媒介契約から専任(専属専任)媒介契約へ切り替えを行う場合、切り替えをした不動産会社以外の一般媒介契約を締結している不動産会社との契約の解除は忘れずに行うようにします。
(2) 契約先の変更ができない段階
①買い手が不動産の買付証明書を提出した後
買い手との売買契約は締結していなくても、仲介会社が不動産の買い手を見つけ、その買い手が不動産の買付証明書を提出した後は、特段の合理的な理由がない限り、仲介会社の変更は難しくなります。
②不動産売買契約後
不動産会社の仲介により買い手と売買契約を締結した後は、契約自体が成立し仲介契約も完了しているため仲介会社の変更はできません。
まとめ
・一般媒介契約の契約期間は、法律での定めはありませんが、基本的に有効期間は「3カ月が目安」とされています。
・一般媒介契約は、売主は基本的に契約期間中であってもいつでも解除することができます。ただし、解除が可能だとしても、解除をする際には、事前に解除の意向を必ず不動産会社に伝える必要があります。
・媒介契約の契約期間は、通常再契約をしなければ更新されることはありませんが、一般媒介契約では自動更新の特約がついている場合があります。自動更新を希望しない場合は特約を外す必要があります。
・一般媒介契約から専任(専属専任)媒介契約に切り替えることは可能です。