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事故物件の土地は更地化しても、告知義務はあるのか?
事故物件の土地は更地化しても、告知義務はあるのか?
事故物件の建物は、建物を解体し土地を更地にすれば十分売却が可能と考える方もおられると思います。また、事故が火事によるものか、人の死亡に関わるものかなどで違うのかと考える方もおられると思います。事故物件の建物の売却は、一般的な不動産に比べて売れにくいことは確かですが、事故物件の土地部分については、どのように扱われるのでしょうか?事故の生じた建物を取り壊して更地にすれば、相場に近い価格で売ることも可能なのでしょうか?これらの点について説明します。
目次
1. 事故物件とは
2. 建物を壊して更地化したら事故物件ではなくなるのか?
3. 事故物件としての告知は必要だが、事故物件を更地化するメリット・デメリットは
(1) 事故物件を更地化するメリット
(2) 事故物件を更地化するデメリット
4. 事故物件を更地化しても土地としての売却価格は下がる。
5. 事故物件を更地にした場合の告知義務期間
まとめ
1.事故物件とは
事故物件とは、過去に物件の内外において事故が起き、買主が購入を敬遠する理由のある不動産のことを指します。死亡に関わる事故では一般的には、自殺や殺人事件などが発生した物件を指すケースが多いですが、それほど不吉ではなくても、ボヤがあった場合や独り住まいの人が亡くなり発見が遅れ孤独死と見なされる場合などもあります。
2.事故物件の土地は更地化しても、告知義務はあるのか?
事故物件の土地は更地化しても、告知義務はあるのかについては、事故物件の建物を取り壊して更地にしたとしても、その土地が事故物件であることに変わりはありません。
事故物件を売却する際には、事故物件であることを告知する義務がありますが、建物を取り壊し更地化したからといって、告知義務がなくなるわけではありません。
ただし、事故物件の多くは建物に関しての事故や事件によるもので、その建物に住むにあたり、嫌悪感などが阻害要因になるものです。もちろん、告知義務を果たす必要はありますが、嫌悪感などは払拭される可能性はあり、売却金額も事故物件の中では相対的に上がる可能性はあります。
更地にしてすぐに売却する方法もありますが、周辺地域に住む人のイメージが払拭できないうちは、駐車場やコインパーキングとして一定期間賃貸し、ある程度の年数が経ってから売却する方法が有効です。
3.事故物件としての告知は必要だが、事故物件を更地化するメリット・デメリットは
事故物件の建物の場合でも結局売れるか売れないかは、物件の状況や立地などによって変わるため一概にはいえません。一般論としては次のような点があります。
・通常の不動産に比べると価値は下がるものの、値段を下げれば売れる可能性が高い。
・一般的な不動産仲介業者では売れにくいが、事故物件専門の買取業者なら買取を依頼できる可能性が高い。
満足できる価格帯で売却できるかどうかはさておき、売れる可能性がある物件では、更地にするメリット・デメリットを考える必要があります。
(1) 事故物件を更地化するメリット
事故物件を更地化するメリットには次のような点が考えられます。
①建物がなくなれば環境がリセットされ、売却しやすくなる可能性がある。
購入者の立場で考えると、事故が発生した建物よりは更地の方が心理的な負担は小さくなります。「事故が起こった建物が取り壊されているなら、その場所に住むくらいは問題ない」と考えられる場合があるというわけです。感じ方は人それぞれではありますが、敬遠されにくくなる可能性があることは確かです。
②駐車場などにすれば賃料収入が得られる。
駐車場や賃貸物件にするのは、事故物件の影響を比較的受けにくい運用方法です。駐車場や賃貸物件としてのニーズがある場所であれば十分運用の見込みがあります。一般的に人は駐車場の場所が事故物件だったかどうかを気にはせず、賃貸住宅物件に関しても、住居の購入に比べると細かなチェックをしないものです。
③時間経過により事故が風化される。
事故物件の建物がそのまま残っていると、周辺住民の記憶に残りやすく、いつまで経っても事故物件として記憶され続けます。しかし、更地にして土地として活用したり、新たな建物を建てたりすることにより、周辺住民の記憶も消えてゆきます。
(2) 事故物件を更地化するデメリット
①建物の解体費用が発生する。
建物を取り壊して更地にするには、当然ですが費用がかかります。売却や運用によって十分に利益が出せれば問題ありませんが、そうでない場合は赤字になってしまいます。
②更地になるため、固定資産税・都市計画税が高くなる。
住宅の建っている住宅用地であれば、固定資産税の優遇施策(減税措置)が受けられますが、土地だけの場合には優遇を受けられません。すぐに売却できる場合や建て替えを進める場合には問題ありませんが、土地として保有し続ける場合には、毎年の税金負担が重くなってしまいます。
4.事故物件を更地化しても土地としての売却価格は下がる。
事故物件を更地化しても、心理的瑕疵に関する重要事項説明において告知義務があります。心理的瑕疵を抱えてしまった事実は変わらないため、事故物件を更地化しても売却価格は下がってしまいます。
事故物件の売却価格は事故内容にもよりますが、通常より目安として20~50%程度値が下がります。
ただし、購入希望者が気にする要素の低い事故であれば相場に近い価格で売却できる可能性もあります。
5.事故物件を更地にした場合の告知義務期間
定められた期間はありませんが、事故物件では、賃貸物件の場合は3年間、売買物件の場合は無期限の告知義務が発生すると考えられます。
まとめ
・事故物件とは、過去に物件の内外において事故が起き、買主が購入を敬遠する理由のある不動産のことを指します。
・事故物件の建物を取り壊して更地にしたとしても、その土地が事故物件であることに変わりはありません。
・事故物件を売却する際には、建物を取り壊し更地化したからといって、告知義務がなくなるわけではありません。
・事故物件を更地化するメリットには次のような点が考えられます。
①建物がなくなれば環境がリセットされ、売却しやすくなる可能性がある。
②駐車場などにすれば賃料収入が得られる。
③時間経過により事故が風化される。
・事故物件を更地化するデメリットには次のような点が考えられます。
①建物の解体費用が発生する。
②更地になるため、固定資産税・都市計画税が高くなる。
・心理的瑕疵を抱えてしまった事実は変わらないため、事故物件を更地化しても売却価格は下がってしまいます。