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「レインズ」での不動産売却依頼の流れ
「レインズ」での不動産売却依頼の流れ
不動産の売買、賃貸では、中古住宅を始めとした不動産の流通システムの構築が最重要課題となってきます。不動産の流通システムは、民間機関が個別にやっていては統一した基準が作れず、また、不動産という高額商品の取引では大きなリスクがともないます。国の管理の下に一定の基準を持ったシステムで、広範な地域、地域ごとに分散している中小を含め不動産会社のほとんどが参加する幅広い物件登録が可能なシステムが必要です。このシステムで多くの物件のマッチングを行うことにより、相場の基準に合った適切で迅速な取引が可能となります。このマッチングを行うレインズでの取引を、不動産売却依頼の流れを中心に見てみましょう。
目次
1. レインズとは
(1) レインズとは
(2) レインズを利用する意味
2. レインズでの売却の流れ
3. レインズでの媒介契約による登録義務、報告義務
(1) 媒介契約における物件登録義務
(2) 専属専任媒介契約・専任媒介契約における報告義務
4. 売主によるレインズ登録物件の取引状況の確認
(1) 売主向けIDとパスワードの発効
(2) 取引状況の確認
(3) 登録証明書
まとめ
1.レインズとは
(1) レインズとは
「レインズ(REINS)」とは、英語の「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の頭文字による呼称で、国土交通大臣から指定を受けた公益財団法人不動産流通機構のグループが運営し、不動産会社が加盟するコンピューターネットワークシステムです。
会員となっている不動産会社はこのコンピューターネットワークシステムにより、売買では、売りたい人の依頼に基づいて不動産情報を登録し、加盟不動産会社がマッチングさせ買いたい人を探すものです。
全国には地域ブロック別にレインズが4つあります。北海道、東北6県、北関東3県、首都圏1都3県、甲信越3県の17都道県を事業圏域として事業をおこなっているのが公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)です。
*レインズタワー
http://www.reins.or.jp/
(2) レインズを利用する意味
レインズを利用する意味としては、次のような点があります。
➀媒介契約制度に基づく取引の安全性の確立
加盟する不動産会社の媒介契約制度に基づく物件登録によって、不動産取引を安全に行うことができます
②豊富な取引事例を参考にした適正価格による取引の実行
蓄積された豊富な取引事例を参考にして、適正価格で安心な不動産取引を行うことができます
③豊富な登録物件によるマッチングの可能性の高さ
不動産流通業界に関わる多数の不動産会社の売買物件の情報登録で、高いマッチングの可能性があり、結果として、短期間での売買を可能にします。
2.レインズでの売却の流れ
住まいや不動産を売りたい時、東日本レインズでは次のような流れになります。
➀STEP 1 売却検討・相談
売主が不動産の売却を不動産会社に相談します。
②STEP 2 東日本レインズで検索
不動産会社は東日本レインズで検索して、近隣の相場や取引事例などを確認します。
③STEP 3 査定
不動産会社は、不動産を調査して、レインズの検索結果などに基づき根拠ある売却価格を売主に提示します。
④STEP 4 媒介契約締結(書面の交付)
売主は不動産会社から、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類の媒介契約の内容や違いの説明を受け、不動産会社と媒介契約を締結し書面の交付を受けます。
⑤STEP 5 東日本レインズへ物件登録
不動産会社は、物件情報を東日本レインズへ登録し、登録証明書が発行されます。
⑥STEP 6 登録証明書受領
売主は不動産会社から登録証明書を受領し、登録内容に誤りがないか確認します。
東日本レインズに物件を登録すると、登録内容を記載した登録証明書が発行されます。必ず不動産会社から登録証明書を受け取り、登録内容を確認します。
⑦STEP 7 業務報告を受ける。
売主は不動産会社から、業務の処理状況の報告を書面で受けます。
⑧STEP 8 物件案内・購入申込みの受領
売主は不動産会社から買主(購入希望者)の紹介を受け、内見等の案内をし、購入申込みがあれば、不動産会社から報告を受けます。
⑨STEP 9 売買契約締結(書面の交付)
売主は買主と価格等の売却条件で合意すれば、売買契約を締結し、書面の交付を受けます。
⑩STEP 10 東日本レインズに成約登録
不動産会社は、成約した価格等を東日本レインズへ登録します。
売買契約が締結されると、不動産会社は東日本レインズに成約登録を行う義務があります。
⑪STEP 11 残金決済・物件引渡し
売主は買主から残金を受領し、物件を引き渡します。
3.レインズでの媒介契約による登録義務、報告義務
媒介契約とは、売主または買主(賃貸借の場合は貸主または借主)が、住まいや不動産の売買・交換・賃貸借をするために、不動産会社に取引の成立に向けての活動を依頼する契約のことです。
(1) 媒介契約における物件登録義務
専属専任媒介契約・専任媒介契約については、宅地建物取引業法により、レインズへの登録や登録証明書の交付等が義務付けられています。
➀専属専任媒介契約の場合
媒介契約締結日の翌日から5日以内(不動産会社およびレインズの休業日は除く)に登録しなければなりません
②専任媒介契約の場合
媒介契約締結日の翌日から7日以内(不動産会社およびレインズの休業日は除く)に登録しなければなりません
③一般媒介契約の場合
登録義務はありませんが、登録は可能です。
(2) 専属専任媒介契約・専任媒介契約における報告義務
➀専属専任媒介契約の場合
専属専任媒介契約では1週間に1回以上の頻度で、依頼を受けた不動産会社は、売主に対し業務の処理状況を文書または電子メールで報告する義務があります。
②専任媒介契約の場合
専任媒介契約では2週間に1回以上の頻度で、依頼を受けた不動産会社は、売主に対し業務の処理状況を文書または電子メールで報告する義務があります。
4.売主によるレインズ登録物件の取引状況の確認
(1) 売主向けIDとパスワードの発効
専属専任媒介契約と専任媒介契約を締結した物件の登録証明書には、売主向けのIDとパスワードが記載されており、売主はインターネット上の専用確認画面で、売却を依頼した物件のレインズ登録内容や取引の現状を確認できます。
また、一般媒介契約でも、レインズ機構事務局に問い合わせし、本人確認を実施した上で、登録状況等を回答するサービスがあります。
(2) 取引状況の確認
専属専任媒介契約と専任媒介契約を締結した物件には、レインズに登録する項目に「取引状況」があります。
「取引状況」には、①公開中②書面による購入申込みあり③売主都合で一時紹介停止中のいずれかが掲載されており、売主も掲載されている「取引状況」を確認することができます。
(3) 登録証明書
不動産会社と媒介契約を結び、レインズに物件情報が登録されると、レインズから不動産会社に登録証明書が発行されます。登録証明書には、売却価格、所在地、面積など、レインズに登録されている物件情報の概要が記載されています。
専属専任媒介契約と専任媒介契約の場合、不動産会社は、売主に登録証明書を交付する義務が宅地建物取引業法で定められています。一般媒介契約で登録した場合も含めて、売主は不動産会社から必ず登録証明書を受け取り登録内容を確認します。
*登録証明書のサンプル
http://www.reins.or.jp/pdf/info/gaiyo/shoumeisho.pdf
まとめ
・「レインズ(REINS)」とは、国土交通大臣から指定を受けた公益財団法人の「不動産流通機構」のグループが運営し、不動産会社が加盟するコンピューターネットワークシステムです。
・会員となっている不動産会社はこのコンピューターネットワークシステムにより、売買では、売りたい人の依頼に基づいて不動産情報を登録し、加盟不動産会社がマッチングさせ買いたい人を探すものです。
・レインズを利用する意味としては、次のような点があります。
➀媒介契約制度に基づく取引の安全性の確立
②豊富な取引事例を参考にした適正価格による取引の実行
③豊富な登録物件によるマッチングの可能性の高さ
・専属専任媒介契約・専任媒介契約については、宅地建物取引業法により、レインズへの登録や登録証明書の交付等が義務付けられています。一般媒介契約では、義務はありませんが登録は可能です。
・専属専任媒介契約と専任媒介契約を締結した物件の登録証明書には、売主向けのIDとパスワードが記載されており、売主はインターネット上の専用確認画面で、売却を依頼した物件のレインズ登録内容や取引の現状を確認できます。