売却トラブル事例が分かる「不動産トラブル事例データベース」　PART１

 

不動産の売買は、一般の人にとっては一生で1度か、あっても数える程度のものでしょう。それだけに取引の不安は大きいものです。トラブルに合わないかなどと不安になるものです。どのような不動産売買のトラブルがあるのかを知るには、公的なものに国土交通省の「不動産トラブル事例データベース」のサイトがあります。トラブルにはどのような分野があり、実際の事件と裁判による判例がどうなっているかが参考になります。「不動産トラブル事例データベース」のサイトについて紹介します。

目次

1． 「不動産トラブル事例データベース」について

(1) 「不動産トラブル事例データベース」とは

(2) 「不動産トラブル事例データベース」の項目

2． 重要事項説明に関するもの

(1) 都市計画等の法令上の制限

(2) 土地建物の問題点

(3) 眺望・日照・周辺環境等

(4) その他

3． 瑕疵担保責任に関するもの

(1) 建物の瑕疵

(2) 土地の瑕疵

(3) 自殺物件・暴力団事務所の存在

(4) その他

4． 媒介契約と報酬請求に関するもの

(1) 媒介契約と報酬請求

5． 契約成立・解除等に関するもの

(1) 預り金・手付金の返還

(2) 契約違反（契約の不履行や遅延）

(3) ローン不成立の場合の特約

(4) 一定面積があることを前提とした売買

(5) その他

6． 競売等に関するもの

7． その他

8． サンプル実例

まとめ

 

１．「不動産トラブル事例データベース」について

 

(1) 「不動産トラブル事例データベース」とは

 

「不動産トラブル事例データベース」とは、これまでに発生した不動産取引をめぐるトラブル事例をもとに、消費者がトラブルの未然防止や、万一トラブルに発展した場合に円滑な解決が図れるように情報を提供するものです。制作は国土交通省で、サイト運営は一般財団法人不動産適正取引推進機構が行っています。

 

掲載内容は、

①裁判事例

②国土交通省各地方整備局や各都道府県で宅建業者に対して行った行政処分

③不動産適正取引推進機構で調整した特定紛争処理案件

 

の中から基礎的で有用と思われる事例を抽出し、項目ごとに整理したうえ、概要や紛争の結末等について要約して記載しています。

 

トラブル事例大項目、中項目、小項目から該当する事例を選択後、検索ボタンをクリックすれば該当する事例の記事が表示されます。

＊「不動産トラブル事例データベース」

https://www．retio．or．jp/trouble/index．html

 

(2) 「不動産トラブル事例データベース」の項目

 

大項目として、重要事項説明に関するもの、瑕疵担保責任に関するものなどがありますが、ここでは不動産の戸建ての売買に関連したもので売主に関わる分野などを紹介します。その他、賃貸借などに関するもの、マンションに関するものなどがあります。

 

２．重要事項説明に関するもの

 

(1) 都市計画等の法令上の制限

 

・都市計画等の法令上の制限

・都市計画道路の計画線誤表示をめぐるトラブル

・区画整理事業地内の道路拡幅不告知をめぐるトラブル

・市街化調整区域内の土地の説明義務

・連棟式建物の売買の説明義務

・接道要件を具備しない宅地についての金融機関の説明義務

・航空機騒音の告知義務

・市街化調整区域についての虚偽の説明

・建築制限に関する事項の不告知

・住宅の建築ができない土地の売買

 

(2) 土地建物の問題点

 

・越境物の不告知等をめぐるトラブル

・フローリング工事不可の不告知をめぐるトラブル

・車庫に関する不十分な説明をめぐるトラブル

・水道等についての説明不備

・前面道路の説明の誤り

・隣接地への越境等の説明

・マンションの方位についての説明義務

・マンションの設備騒音と意思表示の錯誤による契約の無効

・防火扉の操作方法等に関する説明義務

・雨漏り及び敷金の承継の説明不備

・土壌汚染に関する説明の未実施

・土壌の来歴や従前の使用方法の説明義務

(3) 眺望・日照・周辺環境等

・ごみ置き場に関する重説ミス

・近隣牧場の悪臭の不告知をめぐるトラブル

・隣地マンションの新築による日照阻害によるトラブル

・浸水被害と媒介業者の調査義務をめぐるトラブル

・水管橋工事の予定不告知をめぐるトラブル

・隣地住人からのクレームが予想される用途であることについての説明不備

・隣地の高架道路建設計画の告知義務

・隣地の建築についての虚偽の説明

・周辺道路計画の告知義務

・隣地の建築計画の秘匿

・青田売りマンションの完成後の状況を説明する義務

・入居後間近かの高さ５ｍの要壁の建築

・隣人とのトラブルについての媒介業者の説明義務

・眺望を売り物としていたマンションの売主の説明義務違反

 

(4) その他

 

・差押えについての説明不足

・租税特別措置法の誤った説明

・不完全な工事見積書を交付した媒介業者の責任

・売主のなした裁判上の和解と不知の買主の責任

・価格検討上の重要な事実の売主の説明義務

・売主が調査を拒否した事実についての媒介業者の責任

・滞納管理費及び修繕積立金の説明不備

・ペット飼育禁止の不告知

３．瑕疵担保責任に関するもの

 

(1) 建物の瑕疵

 

戸建てに関するもの

・土地付建物売買に係る建物瑕疵をめぐるトラブル

・中古住宅内の蝙蝠の棲息

・過去の建物火災についての調査・説明義務

・建物の不同沈下と売主等の責任

・建物の不等沈下と売主、造成業者、請負業者の責任

・シロアリ被害による暇疵担保責任

 

(2) 土地の瑕疵

 

・がら等が埋設された土地の瑕疵

・売買対象地中の多量のコンクリート塊等の存在

・中高層マンション建築用地の売買と地中障害物

・損害賠償請求は残存物の除去費用も含む。

・地震多発地での宅地分譲における宅地売主の責任

・土壌汚染と瑕疵担保責任

・冠水しやすいという土地の性状と隠れた瑕疵

 

(3) 自殺物件・暴力団事務所の存在

 

・自殺物件の不告知をめぐるトラブル

・山間農村地の物置での自殺

・自殺物件の価額と瑕疵担保責任

・取壊し目的の建物売買と2年前の自殺

・競売物件での所有者の夫の自殺

・自殺物件であった競売マンション

・借上社宅での従業員の自殺と使用者責任

・交差点を隔てた暴力団事務所の存在

・暴力団事務所と瑕疵担保責任

・取り壊された建物内での８年前の殺人事件

 

(4) その他

 

・下水道管接続等の不備をめぐるトラブル

・瑕疵担保責任と損害賠償請求権の消滅時効

・ゴミステーションの設置と瑕疵担保責任

・隣地と共有共用の埋設管と瑕疵担保免責特約

（PART２へ続く）