不動産売却における「オンライン内見」の活用

 

コロナウイルスの流行により不動産の取引にも変化があります。人との接触を避けて外出を自粛する顧客が増えているため、不動産営業でも内見方法の整備や活用の拡大が必要です。また、オンライン内見は、コロナウイルス対策だけではなく、買い手の遠方からの情報検索や、多くの物件を見たい買い手にとっての時間の有効活用からも意味があります。現状では、賃貸物件のオンライン内見は拡大していますが、今後、売買においても拡大が予想されます。オンライン内見のアプリ、メリット・デメリットなどについて説明します。

目次

1． オンライン内見とは？

2． オンライン内見によく使われるアプリ・ツール

(1) Zoom

(2) Google Meet

(3) Microsoft Teams

(4) LINEのビデオ通話

3． オンライン内見のメリット

(1) 買主が遠方にいても物件を見学できる。

(2) 買主は見学にかかる時短・交通費の節約になる。

(3) コロナ対策として密な環境を避けることができる。

(4) 売主は内見者の数を増やすことができる。

4． オンライン内見のデメリット

(1) オンラインでの限界がある。

(2) パソコンやスマートフォンの操作が苦手な人から敬遠される。

(3) インターネット回線の利用環境の問題がある。

5． オンライン内見を成功させるコツ

まとめ

 

１．オンライン内見とは？

 

オンライン内見とは、不動産会社のスタッフ（場合により売主も可能）が実際に現地物件において、インターネットを使ってオンライン上で物件の映像を投影しながら、顧客に映像と声で物件の詳細情報や周辺環境を案内し物件の紹介をする内見の手法です。

 

顧客はパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末とインターネットに接続できる環境などがあれば、実際に現地に行くことなく、自宅などでも物件の見学が可能になります。

 

２．オンライン内見によく使われるアプリ・ツール

 

オンライン内見によく利用される普及し比較的簡単にオンライン内見ができるアプリ・ツールについて紹介します。

買主は不動産会社から送られてくるURLをクリックするだけや、事前に連絡を受け指定されたアプリをパソコン・スマートフォンにダウンロードして利用します。

いずれも端末にカメラとマイクの機能の装備が必要です。

 

(1) Zoom

 

Zoomはオンラインでの会議、打合せなど、現在主流となっているオンラインミーティングのツールです。

 

もちろんオンライン内見に参加する買主は無料で利用できます。

参加側は利用登録をせず、URLをクリックするだけでミーティングに参加ができます。

事前にZoomのアプリをダウンロードしておきます。

 

手順としては次のようになります。

①オンライン内見が始まる前にZoomのパソコン・スマートフォン用のアプリをダウンロードしておく。

②参加当日、不動産会社から送られてきたURLをクリックし、会議参加をクリックする。

③「ビデオ付きで参加」「ビデオなしで参加」の選択画面で「ビデオ付きで参加」をクリックする。

④不動産会社が許可をすることで入室が可能になり、オンライン内見がスタートする。

⑤内見が終わったら「退出」をクリックして終了する。

 

(2) Google Meet

 

Google MeetもZoomと同じく無料で会議等に利用が可能なオンラインミーティングツール。です

 

Zoomと違うところは、主催者・参加者共にGoogleのアカウントが必要という点です。

 

パソコンで利用する場合は、Googleのアカウントさえ持っていれば、アプリ等のインストールは不要です。スマートフォンで参加する場合には、Google Meetの無料アプリをダウンロードする必要があります。

 

手順としては次のようになります。

 

・スマートフォンの場合

 

①Google Meetのアプリをダウンロードする。

②Googleアカウントでアプリからログインする。

Googleアカウントを持っていない場合は登録する必要があります。

③オンライン内見当日、「会議コード」を入力し入室する。

会議コードは、主催する不動産会社から事前に送られてきます。

④オンライン内見完了後、退出ボタンを押下して終了

 

・パソコンの場合

 

①担当スタッフより事前にURLもしくは案内が送られてくる。

②オンライン内見当日、URLをクリックし画面に沿って名前等を入力して参加する。

③オンライン内見完了後、退出ボタンを押下して終了

 

(3) Microsoft Teams

 

同様にマイクロソフトのビデオ会議システムです。Microsoft Teams のアプリのダウンロードは必要です。

 

(4) LINEのビデオ通話

 

スマートフォンの利用が主流となっている現代では、大半の人がLINEアカウントを持っているといっても過言ではないでしょう。友達登録さえしていれば、無料通話が気軽にできます。通常のスマートフォンでの電話と同じ要領で、アプリ内にある受話器のマークを押下し、「ビデオ通話」を選択します。

 

３．オンライン内見のメリット

 

オンライン内見をおこなうメリットは次のような点です。

 

(1) 買主が遠方にいても物件を見学できる。

 

オンライン内見は遠方にいてもインターネット環境があれば手軽に物件を見学することができます。

 

(2) 買主は見学にかかる時短・交通費の節約になる。

 

遠方から現地へ向かうとかなりの時間がかかります。また、交通費も負担になります。オンライン内見であれば、移動時間や現地に行く手間と費用を省くことができます。

 

(3) コロナ対策として密な環境を避けることができる。

 

コロナ禍では感染対策として人との密な接触を避けることができます。外出の自粛が必要な時期の場合や、見学する人の体調が心配な場合にも便利です。

 

(4) 売主は内見者の数を増やすことができる。

 

オンライン内見であれば多くの潜在的な買主の人が見学する可能性が拡大します。特に物件が交通の便が悪い場合などは売主にとっても有効なPR促進になります。

営業のために内見者の数を増やすことは確実に効果が期待できます。

 

４．オンライン内見のデメリット

 

(1) オンラインでの限界がある。

 

オンライン内見では、物件の概要をとらえることはできますが、リアルの日当たりや臭気、音や雰囲気の把握までは難しい点があります。この点を補う方法としては、窓を開けて周辺の音を拾ってもらったり、話さずに無音の状態を作ったり、不動産会社の担当者にタバコやペットの匂いがしないかなど確認してもらう方法もあります。

 

(2) パソコンやスマートフォンの操作が苦手な人から敬遠される。

 

高齢者などパソコンやスマートフォンの操作が苦手な人はオンラインを敬遠する可能性があります。

また、事前にアプリをダウンロードするなどの手間がかかります。

 

(3) インターネット回線の利用環境の問題がある。

 

インターネット回線が不安定な場合に、音声が聞き取りづらくなったり映像が止まったり乱れたりすることがあります。また、端末に通信費が発生するので、Wi-Fi環境が整った場所から接続することが必要です。

 

５．オンライン内見を成功させるコツ

 

オンライン内見の特性によりリアルの内見とはやや異なる点もあります。オンライン内見を成功させるコツは次のような点です。

 

➀対応時間は30～45分程度に留める。

 

パソコンやスマホ上で見て説明を受けるのは、普段以上に視覚や聴覚を集中し疲労します。オンライン接客が長時間にわたる場合は、あくまでの顧客の希望と反応が前向きの場合は良いですが、30～45分すれば疲れがたまりマイナスの状況が生まれる恐れもあります。

 

②文字情報は事前に共有する。

 

オンラインで細かい希望のやり取りを行った場合、想像以上に時間を使用します。取引で必要となる顧客情報などの文字情報に関しては事前に共有を行い、スムーズにヒアリングできるようにしておけば時間を効率的に使えます。

 

③買主の関心のあること、気になることを事前にヒアリングしておくこと

 

事前にヒアリングしておけば的が絞れます。

 

まとめ

 

・オンライン内見とは、不動産会社のスタッフが実際に現地物件において、インターネットを使ってオンライン上で物件の映像を投影しながら、顧客に映像と声で物件の詳細情報や周辺環境を案内し物件の紹介をする手法です。

・顧客はパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末とインターネットに接続できる環境などがあれば、実際に現地に行くことなく、自宅などでも物件の見学が可能になります。

・オンライン内見によく使われるアプリ・ツールには、Zoom、Google Meet、Microsoft Teams、LINEのビデオ通話などがあります。

・オンライン内見のメリットは、売主にとっても内見者の数を増やすことができ営業にプラスになります。