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宅地建物取引業者の「制限事項」、「禁止事項」とは(PART2)
宅地建物取引業者の「制限事項
」
、「禁止事項」とは(PART2)
(PART1より続く)
目次
1. 宅地建物取引業者の「制限事項」とは
(1) 広告の開始時期の制限
(2) 契約の締結時期の制限(売買、交換に限る)
(3) 損害賠償額、契約解除違約金の上限(宅建業者が売主の場合に限る)
(4) 手附の額の上限(宅建業者が売主の場合に限る)
(5) 瑕疵担保責任の特約についての制限(宅建業者が売主の場合に限る)
(6) 割賦販売契約の解除等に関する制限(宅地建物取引業者が売主の場合に限る)
2. 宅地建物取引業者の「禁止事項」とは
(1) 誇大広告等の禁止
(2) 自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の禁止
(3) 手附金の受領についての一部禁止
(4) 所有権留保等の禁止
(5) 不当な履行遅延の禁止
(6) 業務に関する禁止事項
まとめ
2.宅地建物取引業者の「禁止事項」とは
宅地建物取引業者には次のような「禁止事項」が定められています。
(1) 誇大広告等の禁止
これらの広告で以下のものが禁止されています。
①著しく事実に相違する表示
②実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示
③顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、他の物件を販売しようとする、いわゆる「おとり広告」及び実際には存在しない物件等の「虚偽広告」
広告とは、宅建業者が業務に関し、不特定多数の者に対し行う、新聞折り込みチラシ、配布用チラシ、新聞、雑誌、インターネットなどです。
(誇大広告等の禁止)
第32条 宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
(2) 自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の禁止
自己の所有に属しない宅地・建物については売主となる契約はできません。
(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)
第33条の2 宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約(予約を含む。)を締結してはならない。(以下略)
(3) 手附金の受領についての一部禁止
手附金の受領について一部禁止されています。(宅建業者が売主の場合に限る)
(手付金等の保全)
第41条 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう。以下同じ。)を受領してはならない。
第41条の2 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買(前条第一項に規定する売買を除く。)に関しては、同項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じた後又は次の各号に掲げる措置をいずれも講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。
第41条は未完成物件、41条の2は完成物件について禁止されています。
ただし以下の措置等を行った場合はこの限りではありません。
➀金額等
代金の5%以内の手附金かつ代金が1,000万円未満の場合
②所有権
・買主に所有権移転登記がされた後指定保管機関が保証委託契約を締結し、返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付した場合
・保険事業者が保証保険契約を締結し、保険証券等を買主に交付した場合
・質権設定契約で質権設定契約を証する書面を買主に交付し、指定保管機関に通知した場合
(4) 所有権留保等の禁止
所有権の移転を留保することを禁止しています。(宅建業者が売主の場合に限る)
(所有権留保等の禁止)
第43条 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあっては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、買主が、当該宅地又は建物につき所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
2 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合において、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。
3 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の売買を行なつた場合において、代金の全部又は一部に充てるための買主の金銭の借入れで、当該宅地又は建物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して返還することを条件とするものに係る債務を保証したときは、当該宅地又は建物を買主に引き渡すまで(以下略)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、宅地建物取引業者が当該保証債務を履行した場合に取得する求償権及び当該宅地又は建物につき買主が所有権の登記をした後の代金債権について、買主が、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
4 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の売買を行なつた場合において、当該宅地又は建物の代金の全部又は一部に充てるための買主の金銭の借入れで、当該宅地又は建物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して返還することを条件とするものに係る債務を保証したときは、当該売買に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、受領した代金の額から当該保証に係る債務で弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。
上記の(3)(4)は売主、買主共に宅建業者の場合は適用されません。
(5) 不当な履行遅延の禁止
不当に履行を遅延することを禁止しています。
(不当な履行遅延の禁止)
第44条 宅地建物取引業者は、その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し又は取引に係る対価の支払を不当に遅延する行為をしてはならない。
宅地建物取引業者が売主の場合は、登記、引渡しにつき、買主の場合は対価の支払いが、不当に履行を遅延することを禁じています。
(6) 業務に関する禁止事項
業務に関する禁止事項が定められています。
(業務に関する禁止事項)
第47条 宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
➀宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため、次のいずれかに該当する事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
イ 第三十五条第一項各号又は第二項各号に掲げる事項
ロ 第三十五条の二各号に掲げる事項
ハ 第三十七条第一項各号又は第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項
ニ イからハまでに掲げるもののほか、宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境、交通等の利便、代金、借賃等の対価の額若しくは支払方法その他の取引条件又は当該宅地建物取引業者若しくは取引の関係者の資力若しくは信用に関する事項であって、宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの
②不当に高額の報酬を要求する行為
③手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為
重要事項につき故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為は禁止されています。
また、規定の仲介手数料以外に高額な報酬を要求することは禁止されています。
まとめ
・宅地建物取引業者の「制限事項」には次のようなものがあります。
➀広告の開始時期の制限
②契約の締結時期の制限(売買、交換に限る)
③損害賠償額、契約解除違約金の上限(宅建業者が売主の場合に限る)
④手附の額の上限(宅建業者が売主の場合に限る)
⑤瑕疵担保責任の特約についての制限(宅建業者が売主の場合に限る)
⑥割賦販売契約の解除等に関する制限(宅地建物取引業者が売主の場合に限る)
・宅地建物取引業者の「禁止事項」には次のようなものがあります。
➀誇大広告等の禁止
②自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の禁止
③手附金の受領についての一部禁止
④所有権留保等の禁止
⑤不当な履行遅延の禁止
⑥業務に関する禁止事項