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土地測量の時、土地家屋調査士と測量士の違いは何か?
土地測量の時、土地家屋調査士と測量士の違いは何か?
土地の測量をやる点は共通している土地家屋調査士と測量士の違いはどのようなものでしょうか。土地測量するのだから、どっちだって似たようなものだろうと思っていても、お互いの仕事の領域は異なるためその違いについて知っておくことが必要です。土地家屋調査士と測量士もどちらも国家資格なので位置づけはあります。どのような時にどちらに頼むのかなど、土地家屋調査士と測量士の違いについて紹介します。
目次
1. 土地家屋調査士とは?
(1) 不動産の表示に関する登記に関する業務
(2) 土地の筆界を明らかにする業務
2. 測量士とは?
3. 土地家屋調査士と測量士の違い
(1) 測量士は土地の登記はできない。
(2) 測量士は登記目的の測量はできない。
(3) 土地家屋調査士は登記を目的としない測量はできない。
まとめ
1.土地家屋調査士とは?
土地家屋調査士とは、法務省所管の国家資格で、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家です。
・不動産の表示に関する登記に関する業務
・土地の筆界を明らかにする業務
*土地家屋調査士法第1条
「土地家屋調査士は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もって国民生活の安定と向上に資することを使命とする。」
(1) 不動産の表示に関する登記に関する業務
表示に関する登記とは、土地の全部事項証明書の表題部に関する登記のことを言います。
土地の表題部には土地の所在・地番・地目・地積が記載されていて、これらが変更(更正)されたときに土地の表示に関する登記を申請します。
(2) 土地の筆界を明らかにする業務
土地家屋調査士法は2019(令和元)年6月12日に一部を改正する法律が公布され、2020(令和2)年8月1日施行されました。改正前の土地家屋調査士法第1条では「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」という文言は記載されていませんでしたが、改正後にその文言が追加されました。
隣地との境界の確定の測量は確定測量と呼ばれます。確定測量は、資格をもった土地家屋調査士と隣地の所有者の立会いの下、境界点の同意を得て行われます。確定測量により測量図面が出来上がり、確定測量図面をもとに境界点の同意を得た境界確定書面を付けることで、土地を分割登記する分筆や土地の登記をやり直すための地積更生登記が可能になります。
土地の境界確定の場合は登記を目的としており、土地家屋調査士の仕事の領域です。
2.測量士とは?
測量士(測量士補)とは、国土交通省所管の国家資格で、技術者として「基本測量(すべての測量の基礎となる測量)」、「公共測量(国又は地方公共団体の実施する測量)」に関する計画を作製又は実施する者をいいます。
測量士と測量士補の違いは、測量士は測量作業の責任者として計画書の作成まで行えるのに対し、測量士補ができるのは、計画書をもとに行う測量業務のみです。
*測量法第48条
①技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は、第四十九条の規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない。
②測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する。
③測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する。
測量法第49条
①次条又は第五十一条の規定により測量士又は測量士補となる資格を有する者は、測量士又は測量士補になろうとする場合においては、国土地理院の長に対してその資格を証する書類を添えて、測量士名簿又は測量士補名簿に登録の申請をしなければならない。
②測量士名簿及び測量士補名簿は、国土地理院に備える。
上記測量法のように測量士は公共測量が主の業務となります。
3.土地家屋調査士と測量士の違い
(1) 測量士は土地の登記はできない。
測量士も土地家屋調査士も、測量を行う点は同じですが、測量士と土地家屋調査士との最大の違いは「登記ができるかどうか」です。
測量士は「測量の技術者」であるのに対し、土地家屋調査士は「土地の境界・用途をはっきりさせ、登記をする人」です。
測量士は、土地の登記は行えません。
(2) 測量士は登記目的の測量はできない。
測量士は登記を行うことができないので、登記目的の測量をすることはできません。
登記が目的でなく、純粋に土地の大きさを知りたいという場合なら、測量士に測量してもらってもかまいません。
(3) 土地家屋調査士は登記を目的としない測量はできない。
土地家屋調査士は、測量士とは逆に登記を目的としない測量は行えません。
たとえば土地家屋調査士はトンネル工事のための測量を行えません。
工事のための測量は測量士、登記のための測量は土地家屋調査士ということになっています。基本的に土地家屋調査士への依頼は登記を必要とする個人からであり、測量士への測量の依頼は公共団体がメインになるというのも違いといえるでしょう。
まとめ