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不動産登記の種類、必要書類、費用
不動産登記の種類、必要書類、費用
不動産の売買では必ず不動産の登記が必要となります。相続の場合も同様です。司法書士などの専門家に手続きを任せがちですが、不動産登記にはどのようなものがあり、必要な書類と税額などの費用について知っておくことが必要です。不動産登記の種類、必要書類、費用について紹介します。
目次
1. 不動産登記とは?
2. 不動産登記の種類
(1) 建物表題登記
(2) 所有権保存登記
(3) 所有権移転登記
(4) 抵当権設定登記、抹消登記
3. 登記申請の際の必要書類
(1) 建物表題登記の場合
(2) 所有権保存登記の場合
(3) 所有権移転登記の場合
4. 不動産登記の費用
(1) 税金
(2) 専門家への報酬
まとめ
1.不動産登記とは?
不動産登記は、不動産を購入・取得した際にその不動産の物理的状況(住所や面積、建物の構造など)や権利関係(所有権や抵当権など)を明らかにするために行うものです。
権利関係の登記は法律で義務付けられていませんが、物理的状況については登記が義務付けられています。
登記を行うとこれらの情報は法務局が管理する登記簿に記載され、手数料を支払えば誰でも閲覧することができます。また、登記内容が記載された登記簿謄本の交付を受けることも可能です。
2.不動産登記の種類
不動産登記には次のような種類があります。
- 建物表題登記
建物を新築した時は、必ず「建物表題登記」という表題の登記を申請しなければなりません。
不動産の登記簿には「表題部」と「権利部」があり、表題部には、土地であれば、その所在、地番、土地の現況や土地の面積、建物であれば、所在、地番、家屋番号、種類、構造や床面積などの基本的な情報が登記されます。
- 所有権保存登記
所有権の登記のない不動産について、最初に行われる所有権の登記のことです。新築の建物やマンションを購入した場合、もしくは以前の所有者が所有権保存登記をしていない土地や建物を購入・取得した場合に行います。
- 所有権移転登記
不動産を購入・取得した際に、前の所有者から所有権が移ったことを明確に示すために行う登記のことです。
中古住宅の場合は、土地と建物それぞれについて所有権移転登記を行います。新築住宅の場合は、土地についてのみ売主から買主への所有権移転登記を行い、建物については所有権保存登記を行います。
不動産を売買した場合、売主から買主へ登記名義の変更手続き(所有権移転登記)をしなければなりません。
また、不動産の相続、贈与の場合も同様に所有権移転登記が必要となります。
- 抵当権設定登記、抹消登記
金融機関などの住宅ローンを使用して不動産を購入した場合は、金融機関からローンの返済が滞った際にその不動産を差し押さえることができる権利である抵当権の設定登記が求められます。
住宅ローンを完済し、抵当権抹消登記の申請をすることで、抵当権は抹消されます。
3.登記申請の際の必要書類
- 建物表題登記の場合
表題部の登記は建築した建物の建築確認証など次のような書類が必要です。
・登録名義人となる人の住民票(新居の住所に住所変更しておく)
・本人確認書類のコピー(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、パスポート等)
・印鑑証明書(共有持ち分とする場合。共有者全員)
・建築確認申請書
建築確認済証+検査済証または工事完了引渡証明書などを建築施工会社などからもらいます。
・その他 委任状(自分で手続をする場合は不要)など
- 所有権保存登記の場合
所有権の保存登記の際に必要な書類は次のようなものです。
・建物の所有者全員の住民票
・住宅用家屋証明書(その建物が居住用の住宅用家屋で特例の適用を受けられることを証明した書類。市区町村長が発行)
・長期優良住宅建築等計画のある場合は認定通知書の写し(権利部の登記の際に減税が受けられる)
・その他 委任状(自分で手続きする場合は不要)など
- 所有権移転登記の場合
所有権移転登記の売買と相続の場合をご紹介します。
①売買の場合
売主と買主で必要な書類が異なります。
- 売主
・登記識別情報(A4の緑色の用紙のもの)または登記済証(いわゆる権利証)
・印鑑証明書(発効後3カ月以内のもの。登記簿上の住所と印鑑証明の住所が異なる場合、別途住民票などが必要)
・固定資産評価証明書
・その他 委任状(自分で手続きする場合は不要)など
- 買主
・身分証明書(原則として顔写真のついたもの)
・印鑑証明書(住宅ローンで抵当権を設定する場合)
②相続の場合
・住民票(被相続人の住民票の除票、相続人全員の住民票)
・固定資産評価証明書または課税明細書
・戸籍謄本(被相続人、法定相続人のもの)
※以下はケースに応じ異なる書類です
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・遺言書、相続関係図など
・その他 委任状(自分で手続きする場合は不要)など
4.不動産登記の費用
不動産登記の費用では税では登録免許税があります。登録免許税は「登記を受ける人」(登記によって権利を保護される人)が税金を納めます。例えば住宅の売買があった際には買主、不動産を相続した際は相続人、住宅ローンで抵当権を設定する場合は借主が登録免許税を支払います。
- 税金
不動産登記を行う際には登録免許税を支払わなくてはなりません。
新築時の表題登記は非課税ですが、権利部の登記には登録免許税かかります。
- 売買時の登録免許税
登録免許税は次の計算式で求められます。
*登録免許税額=不動産の固定資産税評価額✕税率
不動産は土地と建物で別個にかかります。
税率は次のようなものになります。
- 土地 2%(令和5年3月31日までに登記を受ける場合は1.5%)
- 建物 2%
ただし「住宅用家屋の軽減税率(令和6年3月31日まで)」適用で一般住宅の所有権保存登記は0.15%となります。
- 抵当権・質権の設定
債権金額または極度額の0.4%です。ただし「住宅用家屋の軽減税率」適用で0.1%になります。抵当権の順位変更は1,000円です。
- 贈与・遺贈時など無償名義による移転の登録免許税
無償名義とは金銭の授受がなく無料で取得した所有権のことを指します。家族や夫婦、親子の間で名義変更を行い無償で譲渡するような場合がこれにあたります。
- 土地 2%
- 建物 2%
- 相続時の登録免許税
- 土地 0.4%
- 建物 0.4%
- 抵当権抹消登記の登録免許税
不動産1個につき1,000円です。
- 専門家への報酬
不動産登記の手続きは不動産所有者自身が行うこともできますが、登記の手続きには専門的な知識が必要なため、専門家に手続きを依頼するのが一般的です。
①司法書士への報酬
専門家によって異なりますが目安としては次のようなものです。
・所有権保存登記 報酬の目安:1万~5万円
・所有権移転登記 (売買)報酬の目安:2万~8万円
・所有権移転登記(相続)報酬の目安:3万~10万円
・抵当権設定登記 報酬の目安:2万~5万円
②土地家屋調査士への報酬
土地家屋調査士は対象の不動産の調査、測量、法務局への申請、申請のための書類や図面作成を行います。
・建物の表題登記(建物を新築した場合に、その建物の所在や面積など物理的状況を調べて行う登記のこと)報酬の目安:8万~12万円
・土地表題登記(これまで登記されたことのない土地について、所在や面積など物理的状況を調べて行う登記のこと)報酬の目安:7万円~
まとめ