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不動産登記をオンラインで行う方法
不動産登記をオンラインで行う方法
不動産登記を行うには、従来の窓口・郵送の2つの申請方法以外に、2008年からオンライン申請が可能になりました。オンライン申請では、自宅に居ながら登記申請ができます。窓口申請と同じく、法務局の業務時間内に申請すればその日に受理されるのがメリットです。しかし、オンライン申請には一定のハードルがあり、申請には専用ソフトや電子署名、電子証明書などが必要で、申請を行う前に環境を整えておく必要があります。これらの方法について説明します。
目次
1. 不動産のオンライン登記申請の概要
(1) 不動産登記に関する分野
(2) 不動産登記をオンラインで申請するメリット
(3) 不動産登記オンライン申請のデメリット
(4) オンラインでの登記情報提供サービス
2. 不動産登記をオンラインで申請する方法
(1) 必要な書類を用意する。
(2) 登記申請書を作成する。
(3) 申請書を提出する。
3. 不動産登記のオンライン申請の流れ
(1) オンライン申請の流れ
(2) 事前準備について
(3) 添付資料の提出と電子署名について
まとめ
1.不動産のオンライン登記申請の概要
(1) 不動産登記に関する分野
オンラインでの不動産登記に関する場合は次のようなものです。
➀登記申請に関するもの
・不動産の所有者が亡くなった相続の場合
・転勤等で引っ越した場合
・住宅ローン等を完済した場合
・亡くなった不動産所有者の建物を取り壊した場合
②登記された証明書取得に関するもの
・不動産の登記事項証明書を取得したい場合
・地図証明書や図面証明書を取得したい場合
(2) 不動産登記をオンラインで申請するメリット
窓口、郵便で申請するのと比較し、オンライン申請には次のようなメリットがあります。
①自宅からでも申請でき手間がかからない。
オンラインでの不動産登記申請は、パソコンやスマートフォンを使って自宅からでも簡単に行えます。わざわざ法務局や郵便局に行く手間がかからない他、手書きする必要もありません。
②どこでも短時間でできる。
窓口申請では場所と時間が限られます。一方、オンライン申請は場所を気にする必要がないので、自分の都合が良いときに不動産登記が行え、受付時間も窓口よりも長い点があります。また、窓口の受付で待つ時間がなく短時間で済みます。
・窓口申請の受付時間 平日8:30〜17:15
・オンライン申請の受付時間 8:30〜21:00
③登記の完了を確認できる。
不動産登記をオンラインで申請すると、登記情報提供サービスというサイトで登記情報が閲覧できます。窓口・郵送申請の場合は登記情報の確認に書類の発行が必要ですが、登記情報提供サービスを活用すればそのような手間がかかりません。
④手数料が安くなる。
先ほどご説明した申請費用を比較すると、以下のとおりです。
・窓口申請 600円
・郵送申請 600円+郵送代
・オンライン申請 (窓口受け取りの場合)480円 (郵送受け取りの場合)500円
オンライン申請は、他の申請方法と比べると100〜120円ほど安く済ませることができます。その他、法務局や郵便局に行くための交通費もかかりません。
(3) 不動産登記オンライン申請のデメリット
➀全てがネットで完結する訳ではなく、添付書類については、窓口へ持って行くか、郵送で送る必要があること
上記を行う手間がかかります。
②発行された証明書の受け取りはオンラインではできず、窓口か郵送で受け取らなければならないこと
窓口受取りの場合は窓口へ行く手間と時間がかかります。
(4) オンラインの「登記情報提供サービス」
オンラインで不動産などの登記情報、地図・図面情報の閲覧ができます。登記情報提供サービスというもので登記情報閲覧が無料で行え、登記した内容がオンラインで確認出来ます。
2.不動産登記をオンラインで申請する方法
不動産登記のオンライン申請は次のステップで行えます。
(1) 必要な書類を用意する。
不動産登記には、主に以下の書類が必要です。
・登録名義人の住民票
・本人確認書類のコピー
・印鑑証明書
・戸籍謄本
登記の内容により必要書類が変わるため、事前に調べ確認します。また、これらの添付書類の提出には電子署名や電子証明書が必要です。
(2) 登記申請書を作成する。
オンラインで登記申請書を作成するには、申請用総合ソフトを利用する必要があります。申請用総合ソフトは、法務局の登記・供託オンライン申請システムのホームページからダウンロードし、自宅のパソコンにインストールする必要があります。
行政が提供する、不動産登記の申請用総合ソフトは「登記ねっと」と呼ばれ、正式名称は「登記・供託オンライン申請システム」と言います。
*法務省 「商業・法人登記のオンライン申請について」
(3) 申請書を提出する。
すべての記載が完了したら、申請データを送信します。平日の8時30分から17時15分に送信すると、送信日当日に受理されます。17時15分以後の時間では翌営業日になります。
3.不動産登記のオンライン申請の流れ
利用に当たっては、法務省の「操作手引書(不動産登記申請)【簡易版】のうち「1-1 不動産登記申請【共通編】」などを参考にできます。
・操作手引書(不動産登記申請)【簡易版】における申請の流れは次のようなものです。
(1) オンライン申請の流れ
はじめに 「オンライン申請の流れ」
STEP 0 • 事前準備
STEP 1 • 申請情報の作成
STEP 2 • 申請情報の形式チェック・保存
STEP 3 • 添付情報への電子署名の付与と電子証明書の添付
STEP 4 • 添付情報の添付
STEP 5 • 申請情報への電子署名の付与と電子証明書の添付
STEP 6 • 申請情報の送信
STEP 7 • 処理状況の確認
STEP 8 • 登録免許税の納付
STEP 9 • オンラインにより送信しない添付情報の提出
STEP 10 • 登記所から「補正」のお知らせがあった場合
STEP 11 • 手続終了(登記完了証(電子公文書)の取得
(2) 事前準備について
➀「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)
(https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/)
トップページから申請者情報の登録を行い、申請者ID及びパスワードを取得します。
②「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)のホームページから申請用総合ソフトをインストールします。
③申請用総合ソフトを起動し、ログインします。
「申請者情報登録」の際に登録した申請者ID及びパスワードを入力します。
(3) 添付資料の提出と電子署名について
オンライン申請であっても添付書類は法務局へ提出する必要があります。
この方法を特例方式といい、別名、半ライン申請と呼ばれています。
➀添付資料の提出
a. 特例方式(半ライン申請)とは
不動産登記の添付資料には、印鑑証明書や戸籍謄本など、簡単にはデータ化できない、重要な書類が含まれます。
本来であれば、オンライン申請の場合は、申請書以外の上記添付書類についても電子署名を行い、オンラインで提出する事が可能です。しかし、全ての書類を電子化するのは、非常に手間がかかり、現実的には難しく、オンライン申請がなかなか普及しませんでした。
そこで申請書のみをオンラインで申請し、添付書類は窓口に持参するか、郵送する、という新しい方法が認められるようになりました。
これが特例方式であり、半分をオンラインで行い、半分を書面で行う方式ということから、半分とオンラインをかけて、半ライン申請と呼ばれています。
b. 特例方式を使った場合の添付書類の提出期限
特例方式を使った場合、添付書類の提出には期限が設けられています。
オンライン申請の受付から2日以内に提出することになっています。
②電子証明書について
a. 電子証明書とは
電子証明書とは、個人の情報を証明するためのもので、インターネット上の身分証明書のようなものです。前述しましたが、オンライン申請ではこの電子証明書が必要となります。
一般の人が不動産登記をオンライン申請でする場合は、公的個人認証サービスを利用して、電子証明書を取得することになります。
公的個人認証サービスとは、インターネットを介して安全で確実な行政手続きを行えるように希望者に無料で電子証明書を提供しています。
b. 電子署名について
不動産登記の申請書に必要な申請人の押印に代って電子署名を施すことになります。
前述の通り、オンライン申請では電子証明書の準備と、電子署名の両方が必要となります。
窓口申請や郵送の場合は、印鑑と、それを証明する印鑑証明書の両方を用いる訳ですが、それがオンラインになった場合、印鑑(=電子署名)と印鑑証明書(=電子証明書)のイメージです。
法務局では、電子署名の施された申請書が提出されたら、電子署名と電子証明書によって、申請人自身の申請であることや改ざんされていないことなどを確認することになります。
まとめ