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転勤になり戻るかどうかわからない場合、家は売るか、貸すか?
転勤になり戻るかどうかわからない場合、家は売るか、貸すか?
転勤になった時に、自己所有の住宅の場合は一時的な場合は残しておきますが、転勤から戻るかどうかわからないケース、もしくは、他の地方への転職では、売るか貸すかの判断が必要になってきます。厳密には、今の家をどうするかの選択では、売るか、貸すか、そのまま空き家にしておくかの3つがあります。これらのメリット、デメリットを含めて検討します。
目次
1. 転勤期間による判断
(1) 1年程度の短期
(2) 3年程度の期間
(3) 転勤から戻るかわからず、長期間に及びそうな場合
2. 空き家にしておくメリット・デメリット
(1) 空き家にしておくメリット
(2) 空き家にしておくデメリット
3. 賃貸のメリット・デメリット
(1) 賃貸のメリット
(2) 賃貸のデメリット
4. 売却のメリット・デメリット
(1) 売却のメリット
(2) 売却のデメリット
まとめ
1.転勤期間による判断
(1) 1年程度の短期
1年程度の短期であると想定されれば、そのまま空き家にしておくことが通常です。
貸すにしても、1年未満の短期で借りる人は家の建て替え時の仮住まいの人などに限定されます。
(2) 3年程度の期間
職場の異動期間の慣例を参考に、3年程度の期間であれば貸すことを検討し、定期借家契約を検討します。
定期借家契約は期間を限定し、契約の更新がないので、契約が終了したら必ず退去してもらえるので安心です。ただし、借りる側のニーズとマッチしていなければならず借りる人が少ないのも現実です。
賃貸アパートや賃貸マンションのほとんどは、「普通借家契約」で賃貸されています。「普通借家契約」で家を貸すと入居者は強力に保護されるので、「正当な事由」がない限り、契約更新が可能となります。所有者が転勤から戻って再び住みたいというだけでは「正当な事由」とは認められないので、入居者に退去してもらえない可能性が大きいと思われます。
(3) 転勤から戻るかわからず、長期間に及びそうな場合
転勤から戻るかわからない場合、今住んでいる家を売却する判断があります。
住宅ローンを抱えている場合、転勤中も、住宅ローンや固定資産税、都市計画税が発生します。これらの支払いに耐えられるかどうかが、売却や賃貸に出すときのポイントです。
2.空き家にしておくメリット・デメリット
空き家にしておくメリット、デメリットについて見てみます。
(1) 空き家にしておくメリット
転勤をするとき、持ち家を空き家にするメリットは次のような点です。
①他人に貸さないので家の現状維持ができ安心
②自分の都合でいつでも戻れる。
家を他人に貸すことで汚されたりする心配がありません。また、転勤が早めに終わったときなど、いつでも自宅に戻って再び住むことができます。
(2) 空き家にしておくデメリット
転勤中、家を空き家にするデメリットは以下の通りです。
①住宅ローンの負担
旧宅の住宅ローンが残っている場合には、住宅ローンの返済の負担があります。転勤先の住居費を自分で負担する場合はローンと加えて二重の負担になる場合があります。ただし、勤務先の会社で通常は住居費を負担してくれる場合は転勤先の住居費はかかりません。
②日常家に風通しをしていないため、家が傷む。
③郵便ポストにチラシがたまり、夜間電気が付いていないため、空き家と想像され、粗大ゴミなどが捨てられる。
3.賃貸のメリット・デメリット
賃貸にする場合の注意点があります。住宅ローンを借りている場合です。住宅ローンは、居住用という理由により優遇金利が設けられ金利が安くなっているため、自分が住まなくなり賃貸へ出す場合には、金融機関(銀行など)に相談する必要があり、認められない場合もあります。優遇金利の打ち切りなどによって金利が高くなる場合もあります。また、転勤などの理由で、やむを得ず引っ越しせざるを得ないケースについては、住宅ローン返済中の自宅を賃貸に出すことを認めているケースもあります。
また、「期間を数年間に限定して貸し出す物件」という事情から、家賃設定を低めにしなければ借り手が見つかりにくい場合もあります。さらに、管理業務の手数料が、通常の物件よりもリロケーション物件になるとやや高くなってしまいます。
では、持ち家を賃貸にする場合のメリットとデメリットは次のような点です。
(1) 賃貸のメリット
①定期借家契約で賃貸すれば再び住むことができる。
更新のない定期借家契約で貸し出します。契約が終了したら確実に退去してもらえるので、転勤から戻った時に自分が再び住むことができます。
②家賃収入が得られる。
入居者が見つかれば、家賃収入を住宅ローン返済に充てることができます。
(2) 賃貸のデメリット
①住宅が痛む場合もある。
自宅を賃貸に出すときは、入居者によっては、自宅の状態が悪くなってしまう場合があります。
②好きなタイミングで戻れない。
定期借家契約で貸しても転勤期間が予想より早くなった場合は、その契約期間まで今までの自宅に戻れません。その場合は、残存期間新たに賃貸住宅に住まなければなりません。これは会社都合の理由ではなく個人都合の理由となり、会社に家賃を請求するわけにはいきません。
③入居者とのトラブルの可能性
家賃の滞納や入居者が近隣トラブルを起こすなどの可能性も考えておかなければなりません。管理のためには管理会社に依頼し管理費を払わなくてはなりません。
④空室になる可能性
入居者がすぐに見つからない場合、またその後空き家になった場合でも、住宅ローンの返済や、固定資産税、分譲マンションであれば管理費・修繕積立金などの支出があります。
⑤リフォーム費用などの負担
賃貸に出す際や入居者入れ替えの際のリフォーム費用や、故障が発生した場合の修繕費用はオーナーの負担になり経費がかさみます。
4.売却のメリット・デメリット
転勤時に持ち家を売却するメリット・デメリットを紹介します。
(1) 売却のメリット
転勤時に持ち家を売却するメリットは次のような点です。
①買換えが可能になる。
今の家を売却すれば、次の家の買い替えが可能になります。転勤先で定着することになった場合、転職の場合でもマイホームを購入することが可能になります。
②固定資産税や都市計画税、火災保険料などの維持費が不要となる。
売却した場合、固定資産税や都市計画税、火災保険料などの維持費が不要となります。
(2) 売却のデメリット
転勤時に持ち家を売却するデメリットは次のような点です。
①思い入れのある自宅を手放すことになる。
②売却活動を行うことの負担がある。
転勤による引っ越しや、移転の手続きなどやることがたくさんあります。転勤で家を売る場合は、引っ越し作業と同時進行で売却活動を行うことも考慮しなくてはなりません。
③売却代金で住宅ローン残債を完済できない場合がある。
住宅ローンの返済は、当初の返済金額は利子の比率が大きく、なかなか元本が減りません。
住宅ローンの残債が売却代金を上回ってしまうオーバーローンがあります。オーバーローンでも「自宅の売却代金+貯蓄額」で住宅ローンを完済できるのならば問題ないのですが、「自宅の売却金+貯蓄」でも残債を完済できないケースがあります。
ローンの残債を完済できないというときは、売るよりも貸すという選択肢を取らざるを得ない場合があります。
まとめ
・転勤では、売るか、貸すか、そのままの空き家にしておくかの判断基準はその期間の予測にあります。
・転職では戻らない可能性が高くなります。
・貸す場合は、貸す期間を定めて更新のない「定期借家契約」にすれば、家は期間後確実に戻ってきます。
・売る場合でオーバーローンになる時は売却は適当ではありません。