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共有名義の不動産は離婚したらどうなる?
共有名義の不動産は離婚したらどうなる?
離婚の際、夫婦で共有名義にしている不動産があると、将来のトラブルにつながります。共有名義の解消や離婚時に必要な現金の必要性のために売却も必要になってきます。共有名義不動産については、他にも住宅ローンや税金の支払いなどさまざまな問題があります。共有名義の不動産の解消と売却について手続きや注意点をまとめます。
目次
1. 共有名義のままにする問題点
(1) 共有物件の場合、他の共有者の同意がないと売却、賃貸借や抵当権設定などができない。
(2) 住んでいない場合でも維持費がかかる。
(3) 放置される可能性も高くなる。
2. 共有名義を解消する方法
3. 離婚時の共有名義の変更の方法とは?
(1) 住宅ローンを完済している場合
(2) 住宅ローンが残っている場合
4. 共有名義の解消のためにかかる税金
(1) 持分を取得する側にかかる税金
(2) 持分を相手に譲る場合にかかる税金
5. 売却する際のポイント
(1) 共有名義のまま売却できる。
(2) 売却して利益が出た場合の分け方
(3) 共有名義の一方が反対をしているケース
(4) 共有分割調停や共有持分訴訟になる可能性もある。
まとめ
1.共有名義のままにする問題点
(1) 共有物件の場合、他の共有者の同意がないと売却、賃貸借や抵当権設定などができない。
離婚後、夫婦で物件を共有名義にしていると、一人ひとりの共有者ができることが限られており、他の共有者の同意がないと長期の賃貸借や抵当権設定、売却などの重要な行為はできません。住んでいる一人がリフォームしようとしても規模により制限される場合があります。離婚した後も、何かあるたびにいちいち相手に連絡をとって打合せしなければなりません。
(2) 住んでいない場合でも税金、維持費がかかる。
不動産は、所有しているだけで毎年固定資産税がかかります。また、マンションであれば管理費などがかかります。住んでいなくても出ていくお金があることはデメリットとなります。また共有している以上、固定資産税は分担するのが原則です。ところが相手が清算に応じてくれないと負担が1人に集中してしまい、トラブルにつながります。
(3) 放置される可能性も高くなる。
共有物件を活用するには双方の合意が必要ですが、実際には元夫婦が協力して物件を活用するのは困難です。また、売却に一方が反対する場合もあります。結果として不動産が放置される可能性も高くなります。
2.共有名義を解消する方法
共有名義の状態を解消する方法は、以下の2種類です。
①どちらかが相手の持分を買い取る。
②2人で協力して売却して代金を分け合う。
夫婦の一方が離婚後も家に住みたいなら相手の持分の買取を、どちらも住まないのであれば売却をするのが良いでしょう。
3.離婚時の共有名義の変更の方法とは?
名義変更の手続き方法は、住宅ローンが残っているかどうかで手続き方法が大きく異なります。
(1) 住宅ローンを完済している場合
住宅ローンを完済しているときは、財産分与協議に基づいて、単独名義での不動産登記をすればOKです。
離婚時の財産分与は折半が基本であるため、どちらかの名義に変更したら、不動産の価値の半額相当分を「代償金」として相手方に支払います。
共有の持ち分が半々ではなかった場合でも、離婚による財産分与の際には半分ずつ財産を分割します。持ち分が多い人が代償金の額に不満がある場合は売却による配分を考えた方が適当かもしれません。
(2) 住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残った状態のままでは、名義変更をすることができません。名義変更前に、片方の住宅ローンを完済しておかなくてはなりません。
方法としては、どちらか片方の名義に統一することに決めたら、金融機関に名義変更の意思を伝え了承を得ます。そして、ローンの借り換えの手続きをおこないます(片方の住宅ローンに一本化します)。
4.共有名義の解消のためにかかる税金
離婚後住宅の共有名義を解消すると税金がかかる可能性があります。
(1) 持分を取得する側にかかる税金
共有持分を受け継ぐと、法務局で名義変更の登記をしなければなりません。そのとき「登録免許税」という税金がかかります。また不動産を取得した後は、毎年固定資産税を払っていかねばなりません。
ただし分与された財産が過大な場合、離婚を利用して贈与税や相続税を逃れようとした場合などには「贈与税」がかかります。贈与税がかかると「不動産取得税」も発生する可能性があります。
(2) 持分を相手に譲る場合にかかる税金
共有持分を相手に譲る場合には「譲渡所得税」がかかる可能性があります。ただし居住用不動産の場合、譲渡所得(不動産譲渡によって得られた利益)が3000万円以下であれば譲渡所得税はかからない特例があります。
5.売却する際のポイント
次に共有不動産を売却する際のポイントについて確認します。
(1) 共有名義のまま売却できる。
共有不動産は「夫婦共有名義」のままで売却できます。ただしその場合、2人が協力して手続きを進めなければなりません。不動産仲介業者への依頼、買主との売買契約など、すべて夫婦連名となります。印鑑登録証明書なども2人分が必要です。
(2) 売却して利益が出た場合の分け方
不動産を売却すると、売却金が入ってきます。売却金は財産分与の対象になります。
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれ分け合うことをいいます。不動産は、財産分与の対象に含まれます。一般的に、夫婦の財産形成に対する貢献度は同程度であると考えられており、財産分与をするときには、夫婦が2分の1ずつにするのが原則です。ただし、2人で協議し、「共有持分通り」に分けても構いません。
(3) 共有名義の一方が売却に反対をしているケース
共有名義の一方が売却に反対をしている場合、持ち分のみを売却する方法もあります。
ただし、持ち分のみを売却する場合は、買い手がつかない可能性があります。その際は、買取専門の不動産業者に依頼をする方法があります。
(4) 共有分割調停や共有持分訴訟になる可能性もある。
共有分割調停とは、話し合いによって協議が整わなかった場合、裁判所の調停委員に間に入ってもらって、話し合いを仲介してもらう手続きのことです。調停委員から客観的な和解案を提案してくれるので、合意できる可能性が高くなります。
共有分割調停でも、相手と合意ができなければ「共有物分割訴訟」という裁判によって解決するしかありません。
まとめ
・共有物件の場合、他の共有者の同意がないと売却、賃貸借や抵当権設定などができません。
・共有名義を解消する方法は、以下の2種類です。
①どちらかが相手の持分を買い取る。
②2人で協力して売却して代金を分け合う。
・離婚後住宅の共有名義を解消すると税金がかかる可能性があります。
・共有不動産は共有名義のまま売却できます。ただし共有者2人の協力が必要です。
・不動産を売却すると売却金が入ってきます。売却金は財産分与の対象になり、財産分与をするときには、夫婦が2分の1ずつの配分にするのが原則です。ただし、2人で協議し、「共有持分通り」に分けても構いません。