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戸建て住宅の査定ポイント PART2
―複雑な要素のある査定ポイントはどこにあるか?―
(PART1より続く)
(5) 【査定ポイント4】用途地域
用途地域とは、都市計画法の一部で土地の使い方を制限している法律で決められているものです。
用途地域が設定された土地では、建てる建物の高さや建物の使い道も制限されます。
①用途地域の種類
用途地域は住宅地・商業地・工業地など13種類に分けられており、住居に関する地域では、
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中層住居専用地域、第二種中高住居専用地域、第一種住居地域などがあります。
②市街化調整区域は評価が下がる。
都市計画法の中で指定されていると売れづらくなるのが市街化調整区域です。
市街化調整区域とは都市計画法の1つで、都市が広がりすぎないように建設が著しく制限されており、住宅や商業施設の建設ができません。
さらに、現在建っている住宅であっても建て替えやリノベーションなどを自由に行うことは許可されておらず、役所などで許可をもらわないとなりません。
そのため土地は売りづらく、不動産会社によっては市街化調整区域の仲介は扱っていないところもあります。
市街化調整区域でも建物を建てる以外の土地活用はあり、まったく売れないというわけではありませんが、建物などが建設しやすい市街化区域に比べると評価は大幅に下がります。
2.建物の査定方法とは
(1) 建物の査定のポイント、査定方法
戸建ての建物部分の査定をするときに使われる計算方法は原価法です。
原価法は、売却する物件をもう一度建てるなら、いくらかかるのかを計算し、そこから老朽化した分を引いて現在の建物の価値を算出します。計算方式は次の通りです。
*価格=再調達価格×延べ床面積×÷法定耐用年数×残存年数(法定耐用年数-築年数)
法定耐用年数は、構造ごとに法律で定められており具体的には木造で22年、鉄筋コンクリートで47年などです。
木造住宅の「耐用年数」は税法で22年でとされていますが、実務では「おおむね20年~25年で残存価値10%程度」として計算されています。
(2) 構造
構造は、建築物の要となる重要な確認事項です。
構造には、木造(在来工法、2×4工法)、重量鉄骨造(S造)、軽量鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)、コンクリート造があります。
また、加えて、耐震構造や防火性能などもチェックされます。チェックポイントは次のようなものです。
・新耐震基準が採用されているか(昭和56年―1981年以降の建築か)
・耐震等級(1~3)は?
・防火構造(他の建築物の火事から延焼を防ぐ性能。防火地域・準防火地域に平屋や低階層の住宅を建てる際に求められる構造)は?
・耐火構造、準耐火構造(火事による倒壊や延焼を防ぐ性能。住宅密集エリアや防火地域・準防火地域に求められる構造)は?
(3) 築年数
建物の査定時にまず見られるポイントは築年数です。
建物部分には住宅では種類によって法定耐用年数という指標が定められています。例えば居住用の木造建築は22年、鉄筋コンクリート造なら47年と定められています。
一般的には木造の戸建てが多いので、法定耐用年数を目安として築20年を超えた家の査定価格は1割程度まででゼロになることも珍しくありません。
築年数と売却相場の目安をまとめると下記のようになります。
・築10年の家の価値は、新築物件の半分ほど
・築15年の家の価値は、新築物件の3割
・築20年の家の価値は、新築物件の1割程度
築30年を超えた物件は「古家付きの土地」として土地のみの価格で取引されるのが一般的です。
(4) 内装、設備
次に見られるポイントは建物の内装や設備です。
①内装
使いやすい間取り、家具を配置しやすいか、生活導線がすっきりしているか、壁紙やフローリングの劣化状況も査定時のチェックポイントです。部屋がきれいな状態であるか、異臭はしないかなどの点もあります。
②設備
a.水回りの設備状況
キッチン、お風呂場、洗面化粧台などの水回りの設備のグレードや保存状況も念入りにチェックされるポイントです。高級システムキッチンや大型の給湯質があれば、査定額が上がる可能性があります。
b.最新設備の有無
最新の機能を備えた家であれば査定額のアップにつながります。
・ホームオートメーション機能
遠隔操作設備、自動点灯証明、モニターTVシステムなど
・自然エネルギーの利用
太陽熱温水器設置、太陽光発電機設置など
・冷暖房の設備
セントラル冷暖房など
・床暖房設備
c.雨漏りやシロアリ被害の有無
床下や屋根裏の点検口や押し入れ、クローゼットなどの天井部に雨漏り跡や木部腐食がないかも確認されるポイントです。
また、日当たり悪い箇所にシロアリ被害が発生していないかなどもチェックされます。
(5) 外装
屋根や外壁の塗装剥がれていないか、破損個所がないかも査定で見られるポイントです。
築年数が古い家は木部が腐食している箇所も出てくるので査定額に大きく影響します。
まとめ
・戸建て住宅の価格査定は土地と建物部分を分けて査定しその後総合して査定します。
・土地の査定方法は取引事例比較法によります。
・土地の査定ポイントは次の4つです。
①土地の形・面積
②接道義務
③周辺環境
④用途地域
・建物の査定方法は原価法によります。
・建物の査定ポイントは次の4つです。
①構造
②築年数
③内装、設備
④外装