TOP > 不動産売却の基礎知識 > 不動産査定 > 不動産を高く売る方法
不動産を高く売る方法
―不動産販売にもマーケティングは必要―
不動産を販売する場合、売主は少しでも高く売りたいのが気持ちです。不動産を高く売るには、高く売れる時期、個別不動産の相場以上の価値・魅力のアピール、強い宣伝営業力、高く買ってくれる顧客層の開拓力などの要素があります。また、売り急ぐ必要があるのかどうかも状況に影響します。時期が悪い時は誰が売っても高く売れる可能性は低いと言えます。高く売れる時まで待てるのかどうかも重要です。不動産は個別商品で特殊性があり、相場で価格が決まってくる要素はありますが、マーケティングの基本を参考に工夫していく必要性があります。
目次
1.不動産販売にもマーケティングは必要
2.好景気の時に売る。
3.低金利の時に売る。
4.売却査定を行い、価格が高い会社、査定ポイントの内容が高い会社と提携する。
5.営業力の高い会社と提携する。
6.高くても買ってくれる顧客層を絞り込み営業する。
7.インターネット、SNSなどの活用などで新しい顧客層を開拓する。
8.土地は更地化して売る。
9.マンションや戸建ての住宅は内覧で気にいってもらう。
10.高く売れる時まで待つ。
まとめ
1.不動産販売にもマーケティングは必要
マーケティングでは物事の基本要素である5W1Hが必要です。さらに営業ではHを1つ加えて5W2Hと言われています。
WHEN(いつ)、WHERE(どこで)、WHO・WHOM(誰が・誰に)、WHAT(何を)、WHY(なぜ)、HOW(どのように)、HOW MUCH(いくらで)という要素です。
不動産の販売においては上記の中でも、WHEN(販売時期)、WHO・WHOM (売り手としての提携不動産会社と、買い手の顧客層の対象の絞り込み)、HOW(営業方法)、HOW MUCH(価格設定)が基本となります。WHAT(特定物件)、WHERE(物件の場所)、WHY(売却理由)は確定しているでしょう。
高く売るという販売戦略から言えば、高く売れる時期、高く買ってくれそうな顧客層、その顧客層に有効な営業方法などが重要になってきます。販売戦術では商品プレゼンテーションの方法、インターネットなどのメディアの活用などがあります。
2.好景気の時に売る。
不動産販売も市況に影響されます。好景気の時は不動産も売れる環境下にあります。不動産の購入は高価格だけに市況が悪ければ手控えられます。必要性が高くても購入ではなく賃貸などの利用方法が選ばれます。法人では今まで所有していた自社ビルを投資会社や金融会社に売却して、そのままリース、レンタルで利用する方法がとられる時が多くあります。
土地が値上がり基調であるかどうかを判断するには、近隣の地価公示価格を確認するのが良い方法です。地価公示とは、定点観測地点の価格を国が毎年調査し公表する制度です。
地価公示ポイントは全国で26,000地点あります。
3.低金利の時に売る。
低金利であれば金融機関は低い金利で資金を調達できるので、企業や個人への貸出においても、金利を引き下げることができるようになります。企業は、運転資金(従業員への給料の支払いや仕入れなどに必要なお金)や設備資金(工場や店舗建設など設備投資に必要なお金)を調達し易くなります。また、個人は住宅の購入のための資金を借り易くなります。
日本の超低金利政策は、1990年代後半から2000年代前半にかけてのいわゆる「失われた十年」における不況克服策としてとられ一連の金融超緩和政策から行われています。低金利の状態は現在も続いています。
住宅ローン金利も歴史上最低水準の超低金利が続いているます。住宅ローンは数千万円単位の借入だけに、わずかな金利差が大きな利息差となるため、金利動向は住宅購入検討者にとってきわめて重要な問題です。
国債市場で海外投資家などの影響を受けて一時的な金利変動はあるかもしれませんが、日銀が現在の金融政策を転換しない限り金利の変動幅は少ないと予想されます。コロナでの景気の後退で、景気刺激策としても低金利は継続すると思われます。
4.売却査定を行い、価格が高い会社、査定ポイントの内容が高い会社と提携する。
不動産会社複数社での売却査定は価格を比較でき高く売るという視点で有効です。複数の会社に査定をしてもらうと、各社で査定額に差が出ることがあります。物件を高く評価してくれた会社は物件への理解があると考えられます。また、価格だけでなく査定額の”根拠”も重要です。プラスの評価ポイント、マイナスの評価ポイントをできるだけ細かく、周辺の事例なども交えながら説明してくれる会社の根拠は信頼性が高いと言えます。
価格だけが高くても根拠があいまいである場合や調査不足であれば、査定額通りに販売できません。査定額と実際の販売価格には相違があり、実際に売り出す時には査定額よりも安い価格設定を提案される可能性もあります。不動産会社によっては契約を取り付けたいがために、査定額を他社よりも高めに出してきている場合もあるかもしれません。
また、インターネットサイトでの「一括査定サービス」もあります。多数の会社でまとめて机上の査定が可能です。そこから会社を絞り込み訪問査定を依頼します。そのうえで比較検討します。
5.営業力の高い会社と提携する。
高く売るという視点からは営業力のある会社と提携すると可能性が高まります。営業力は販売ネットワーク、宣伝力、知名度、得意な分野、営業マンの個人力、会社の組織力などの結果、販売実績などで現れます。会社のホームページ、上場会社であれば経営内容、販売実績などの公開データが参考になります。
また、反面営業力の高い営業マンでは強引な営業をする場合もあり、売主との相性もあります。売主にとって、本当に高く売れさえすれば良いのか、価格だけでなく満足してくれる買い手との出会いの方が重要と、考え直す場合もあります。
大手会社の場合は経営規模が大きく知名度があり、会社全体の売り上げも大きいですが、現場の店舗で営業するのは担当者個人です。会社の看板だけで簡単に高く売れるわけではありません。組織での量的販売は可能でも、地域性のある個別物件で高く売れるかどうかの質的販売では営業力が高いとは言い切れません。
6.高くても買ってくれる顧客層を絞り込み営業する。
不動産を高く売るには、買主を選ぶことも重要です。土地では、買主が駐車場のような収益性が低い土地利用を目的として購入を検討している人に、土地価格を高くは提示できません。アパート建築や駐車場経営、買取転売を目的とした投資家や不動産会社等は、投資採算性を重視するため価格に対してシビアです。提示できる土地価格が低い傾向があります。
一方で、買主が自分の家を建てるために購入を検討している人であれば、一生に一度のマイホーム購入なので気に入ることを重視し相対的に高く購入してくれる可能性があります。
価格は、一般的に自分で利用することを前提とした最終消費者(エンドユーザー)が最も高い可能性があります。
7.インターネット、SNSなどの活用などで新しい顧客層を開拓する。
不動産には地域性があり、地域が近い人が買う可能性が高いと言われ、新聞折込チラシなど地域性のある媒体が広告に使われていますが、売りにくい物件ではより多くの人にPRしていく必要があります。
特殊性のある物件、田舎の物件などではより広域の人が見るインターネットのサイトの活用も可能性があります。また、個人的なメッセージ性をともなったSNSなどで、不動産広告など見ない層に直接訴えることもできます。このようなPRは結果的に新しい顧客層を開拓することになります。
8.土地は更地化して売る。
古家があれば取り壊して更地化するのが高く売れる方法です。古家は汚く購買意欲を削ぎます。更地が売りやすいのは、土地のイメージが明確になることと、更地には用途の多様性があり、取り壊しや撤去の費用を売主が負担することになっていても買い手にとっては手間がかからない点があります。
9.マンションや戸建ての住宅は内覧で気にいってもらう。
不動産を売り出すと、際に物件を見てみたいという人から不動産会社を通して内覧希望の連絡が入ります。内覧者の購入意欲を高めるために、住宅の良い点、きれいさなどをアピールします。
内覧者が部屋に入った時に受ける第一印象を良くするために、部屋をクリーニングし綺麗にし、物を整理してスッキリしたスペースにしておくことなどがあります。
また、不動産会社の担当だけでなく売主も内覧に立会い内覧者に挨拶するなどすることがプラスになる場合もあります。物件だけでなく、売主の人柄も気に入ってもらえば相対的に高く売れる可能性が出てきます。値引き要求をそれほどしなくなる場合もあります。
10.売れる時まで待つ。
不動産を高く売るには時期が重要です。景気の良い時、不動産価格が上昇基調の時に売りたいものです。売るのに急ぐ必要がない場合は売れる時まで待つのが有効です。
まとめ