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不動産売却を考えた時最初に押さえておくべきポイント
不動産売却を考えた時最初に押さえておくべきポイント
不動産売却を考える方にはいろいろな理由があります。新たに住むところを探す必要のある住み替えの場合や、親の相続の物件で売却して現金化し遺産分割する必要がある場合や、使わない空き家の物件を相続し売却したい場合などがあります。それぞれの理由により、予算や時間の制限が出てきます。そして、その目的により売却の方法や注意点に関する知識が必要です。それら最初に押さえるべきポイントについて説明します。
目次
1 不動産売却を行う理由は?
(1) 住み替え
(2) 相続
(3) 資産整理、空き家処分
(4) 現金化の必要性
2 不動産売却の方法
(1) 仲介
(2) 買取
3 不動産売却価格の査定
(1) 査定する会社
(2) 査定方法
4 不動産売却にかかる税金、費用
(1) 税金
(2) 仲介手数料
(3) 抵当権抹消費用
(4) ハウスクリーニング費用
(5) 測量費用
(6) 解体費用
5 不動産売却にかかる期間
6 売買契約、物件の引渡し・決済
まとめ
1.不動産売却を行う理由は?
不動産売却を行う理由には次のようなものがあります。
①住み替え
②相続
③資産整理、空き家処分
④現金化の必要性
(1) 住み替え
人生のライフサイクルによって住み替えが発生します。
結婚すれば新居を構え、子供が生まれ部屋が狭くなれば、より広い家が必要になります。また、仕事の関係で、働く場所の近くへの引越しが必要になる転勤や転職があります。そして、その後子供が独立をすれば、部屋が余ったりしたり、より生活の便利な場所への住み替えのニーズが生まれてくる場合があります。
住み替えに関するもので、現在の住まいの売却と新規住宅の購入が必要になる場合があります。この場合の注意点は、新居を探してから今の家を売却する「買い先行」で行うのか、今の家を売却してから新居を探す「売り先行」で行うのかの方法があります。
資金計画により、どちらの方法を取るかが決まります。資金に余裕があるのは特別の場合で、通常は二重ローンを避けるために売り先行で行うのが賢明です。売れた金額により新居を探しリスクを避ける面があります。また、住み替えローンについて調べておくことが必要です。
定年後の住み替えでは現在の住まいの住宅ローンが終わっている場合や、残っていても債務金額が少ない場合が通常で、資金的には余裕をもって住み替えを行えるのが一般的です。
(2) 相続
不動産の相続の場合で相続人が複数いる場合は、広い土地でないと分割して利用できないため売却の必要性に迫られます。もしくは、不動産を相続した人が他の相続人に手持ちの現金などで支払う必要性が出ますが資金的余裕がないとできません。
相続不動産の売却をするには相続の手続きの期限内で行うなど時間的な制限が出てきます。期間的に売却するのが難しい場合は、共有で持ち分の登記をしその後売却することなどがあります。
また、不動産資産の相続の場合の評価額や税制の面についても調べておくことが重要です。
(3) 資産整理、空き家処分
相続により取得した不動産で現在使っていない物件では、売却処分したい場合が多くあります。住む人がいなくなった家でも、所有しているだけで固定資産税などの費用や維持管理費がかかるためです。
また、資産が多くある人でも遊休資産の処分は、他の用途のための資金の必要性や固定資産税対策から必要な場合があります。
これらの場合は一般的に時間的には余裕を持って取り組むことができます。
ただし、親などの相続で入手した物件では、地方の物件などが多く、売却しづらく価格が安すぎるなどの点で売却の困難性がある場合が多い現状です。
(4) 現金化の必要性
住宅をローンで購入したけれどその後仕事の影響で支払いが難しくなった場合や負債を抱えてしまった場合など、返済のために現金化が必要になり不動産の処分が必要になります。事業では経営上の理由のための不動産の売却処分は多くあります。
2.不動産売却の方法
不動産の売却の方法では、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。売主が売却を急ぐ場合は買取をしてくれる会社を探します。売主がより高く売りたい場合は仲介が適当です。
(1) 仲介
不動産会社に物件の買主を探してもらう売却方法です。不動産が売れたら仲介手数料を支払う媒介契約を結んで行います。媒介契約を結んだら、不動産会社は各種の広告を出したり、ポスティングを行なったり、レインズという不動産団体のインターネット情報ネットワークを通じて物件の購入希望者を探します。仲介手数料は成功報酬制で支払います。
なお仲介の形態には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種があります。これらの特徴、相違については別の項目で説明します。
(2) 買取
不動産会社が売主から直接物件を購入する売却方法です。買取の場合、不動産会社はリフォームなどを行い、市場価値を高めて再販売します。
リフォーム等のコストがかかり販売上のリスクもあることから、市場価格の7割程度の価格が目安です。
3.不動産売却価格の査定
(1) 査定する会社
一般的な不動産の売却では不動産会社に価格の査定を依頼します。心当たりの不動産会社や地域の不動産会社、またはインターネットによる査定依頼により、物件の売却査定を依頼します。
不動産会社による査定とは、不動産会社が売却予定の物件の公的評価額、市場性、価格相場を想定し売れそうな価格を評価するものです。
査定では複数の会社の査定結果を比較検討するのが一般的です。価格とともに評価する要素やポイントなども重要です。
その他、査定では目的により金融機関の融資のための査定、不動産鑑定士による公的価格の設定のための査定などもあります。
(2) 査定方法
価格査定の方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。
机上査定は、物件の内容に関して、建築種類、構造、所在地、面積、築年数などのデータに基づき現地を確認することなく行うものです。概算計算と言えます。
訪問査定は文字通り物件を訪問して細かく評価するものです。
売主は机上査定で複数社に査定依頼をその結果によりし訪問査定してもらう会社を絞り込んで行い、その中の会社と媒介契約を結ぶのが一般的です。
4.不動産売却にかかる税金、費用
不動産売却にかかる税金、費用には次のようなものがあります。
(1) 税金
①譲渡所得税
不動産を売却した利益にかかる税金に譲渡所得税があります。物件の所有期間により、短期譲渡所得と長期譲渡所得があります。税率は次のようです。現在は時限的に復興特別所得税が加算されます。
・所得税額(短期) = 売却益 × 30.63%
・所得税額(長期) = 売却益 × 15.315%
②住民税
不動産を売却したときにかかるものに住民税があります。物件の所有期間により、短期と長期で住民税率が異なります。税率は次のようです。
・住民税額(短期) = 売却益 × 9%
・住民税額(長期) = 売却益 × 5%
(2) 仲介手数料
不動産会社に支払う仲介手数料があります。
一般的な物件の売却手数料は、速算式では、(売却額×3%+6万円)+消費税
となります。
(3) 抵当権抹消費用
融資の住宅ローンで金融機関に設定されている抵当権がある場合は、抵当権を抹消するための手数料が必要です。事務費は1,000円ですが司法書士に依頼する場合は1万∼5万円の手数料が必要となります。
(4) ハウスクリーニング費用
ハウスクリーニングをした場合にかかる費用で、3万∼10万円程度が目安です。
(5) 測量費用
測量が必要な際にかかる費用で、ケースバイケースですが50~80万円で目安です。
(6) 解体費用
建物の解体が必要な際にかかる費用で、住宅の規模にもよりますが、100~300万円程度が目安です。
5.不動産売却にかかる期間
不動産売却にかかる期間は物件の場所の市場性、物件種別、価格、建築物の築年数などで売却しやすい物件、しにくい物件がありますが、一定の市場性がある物件であれば3カ月~半年程度が目安です。売りにくい物件の場合は長期にかかる場合があり、また売却条件の変更などが必要な場合もあります。
6.売買契約、物件の引渡し・決済
買主が決定したら、不動産会社が買主側の住宅ローン事前審査と物件の最終調査をおこない、特に問題がなければ不動産売買契約を結びます。
その後、決済と引渡しが行われます。買主の住宅ローンが残っている場合は融資先の金融機関との間で返済を行ってもらい、売主は物件に抵当権が設定されている場合は抵当権の抹消をします。また、売主は買主への引き渡しの前に、隣地との境界や引き渡す面積を確定するために土地の確定測量を行う場合があります。
決済が完了したら、同日のうちに不動産の引渡しが行われます。
まとめ
・不動産売却を行う理由には次のようなものがあり、理由により注意点があります。
①住み替え
②相続
③資産整理、空き家処分
④現金化の必要性
・不動産の売却の方法では、「仲介」と「買取」の2つの方法があります。売主が売却を急ぐ場合は買取をしてくれる会社を探します。売主がより高く売りたい場合は仲介が適当です。
・不動産の価格を決めるには、不動産を売却する不動産会社による査定が必要です。査定方法には、机上査定と訪問査定の2種類があります。
・不動産売却し利益がある場合の税金では、譲渡所得税と住民税があります。いずれも所有期間により長期と短期の税率が設定され、長期であれば税率が低くなります。費用では、不動産会社への仲介手数料がかかります。その他必要に応じて、抵当権抹消費用などがかかります。
・不動産売却にかかる期間は、物件の場所の市場性、物件種別、価格、建築物の築年数などによりますが、3カ月~半年程度が目安です。
・決済、引き渡しでは、買主の住宅ローンが残っている場合は融資先の金融機関との間での返済が、売主の物件に抵当権が設定されている場合は抵当権の抹消が必要です。