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売却査定の手順と方法
売却査定の手順と方法
個人の住宅を売却する売却査定は、あくまでも任意の個人的な目的で行われる査定です。一般の売却を行う不動産仲介会社が行います。不動産会社にとっては、その後売主との売却の媒介契約を受託するための営業促進の意味があり無料で行われます。インターネットでも一括査定のサイトなども多く見受けられます。これらの査定とはどのようなものか、また、査定額は不動産会社の販売価格の想定につながるため、売主にとっては物件を高く評価してくれる会社を選ぶ相見積りのような意味があります。売主にとって知っておくべき売却査定の手順と方法について説明します。
目次
1. 不動産の売却査定とは
2. 売却査定の手順
(1)不動産仲介会社に机上査定(簡易査定)を依頼する。
(2) 机上査定(簡易査定)内容をもとに、訪問査定(詳細査定)を依頼する。
(3) 必要書類の確認
(4) 現地での訪問査定の実施
(5) 査定結果の検討
3. 不動産売却の査定方法
(1) 机上査定(簡易査定)
(2) 訪問査定(詳細査定)
4. 査定の評価手法
(1) 原価法
(2) 取引事例比較法
(3) 収益還元法
まとめ
1.不動産の売却査定とは
不動産の売却査定とは、売主が売却依頼を検討する不動産会社に対して、売却を予定する土地や建物などの不動産の価値を現在の市場価値に照らし合わせ金額を算定してもらうことを指します。
不動産会社は、その不動産の持つ個別性に加え、独自のデータや近隣の売り出し事例・取引事例などの客観的データを踏まえ売却査定価格として算出します。
2.売却査定の手順
不動産査定の全体的な手順を確認しておきましょう。
(1) 不動産仲介会社に机上査定(簡易査定)を依頼する。
不動産仲介会社に不動産の売却査定依頼や売却相談を行います。インターネット経由や近隣の不動産仲介会社の店舗に、売却査定依頼や売却相談をおこないます。
不動産仲介会社は、売却予定の不動産情報を売主からのヒアリングや公的書類などから精査確認をおこないます。
売主は査定を依頼した会社の中から、売却を依頼する会社を選ぶステップとして位置づけ不動産会社を選ぶのが適切です。査定依頼する会社は基本的には複数社を選びます。査定は最初に机上査定(簡易査定)を行い、結果を検討します。
(2) 机上査定(簡易査定)内容をもとに、訪問査定(詳細査定)を依頼する。
不動産仲介会社の行った机上査定結果を検討し、良いと思う不動産会社を2~3社に絞り込み、不動産会社へ直接連絡し訪問査定の依頼をします。
(3) 必要書類の確認
査定をスムーズにするために、必要な書類をあらかじめそろえておきます。査定時にそろっていればいるほど正確な査定額を出してもらいやすくなります。
必要な書類は不動産会社と事前に打ち合わせます。例としては次のようなものがあります。
・物件の登記済権利書
・固定資産税納税通知書
・公図
・壁芯面積(専有面積)が分かる資料(マンションの場合)
その他耐震診断報告書などがあれば加えます。
(4) 現地での訪問査定の実施
不動産仲介会社と訪問日時を設定し、現地にて担当者が来て物件の内容、周辺環境、駅から物件までの距離などを確認し査定します。
(5) 査定結果の検討
査定価格結果を確認するのと同時に内容の説明を受けます。それぞれの不動産会社がもつ特徴や、知識や経験の豊富さ、対応なども併せたうえで媒介契約を交わすか総合的に判断します。
3.不動産売却の査定方法
不動産仲介会社がおこなう売却査定方法としては、先述した次の2種類があります。
・机上査定(簡易査定)
・訪問査定(詳細査定)
机上査定は、おおよその売却査定価格を知りたい場合に、また、訪問査定は、精度の高い売却査定価格を把握したい場合に、不動産仲介会社に依頼する査定方法となります。
(1) 机上査定(簡易査定)
机上査定は、おおよその売却査定価格を知りたい場合に依頼する査定方法です。
自分が所有している不動産の情報をインターネットであれば入力し、不動産会社との連絡では伝達します。不動産情報は、依頼者の氏名・連絡先の他に、以下の5種類が一般的です。
①住所
②物件の種類(マンションや一戸建て、土地など)、構造、立地その他関連情報
③間取り、方角
④面積(建物面積、土地面積)
⑤築年数
不動産会社では、これらの不動産の個別的情報を元に、周辺の取引事例、公示価格などの各種データを踏まえて、概算の売却査定価格を算出します。
机上査定は時間的には短時間での作業が可能です。
(2) 訪問査定(詳細査定)
訪問査定とは、不動産仲介会社のスタッフが売却予定の不動産を実際に訪問し、様々な現地確認や調査をおこないます。
具体的には、不動産の個別的情報や不動産の市況データなどを基礎に、建物の経年劣化状況、設備の状況、接道状況、日当たり、周辺環境などを現地で詳細に確認、調査をおこないます。
さらに行政による各種法規制の有無、地域の住宅としてのインフラ状況、生活での利便性、教育環境、医療環境などを調査し、複合的に売却査定価格を算出していきます。
訪問査定は、時間的には数日を要することがあります。
4.査定の評価手法
不動産の売却査定方法として、簡易査定・訪問査定をご紹介してきましたが、その基礎となる売却査定価格を算出するための評価手法としては、次の3つがあります。
土地、一戸建て、マンション、投資・事業用不動産など売却予定の不動産の種別によって、採用する評価手法が異なります。
(1) 原価法
①原価法とは
原価法は、現在の物件と同じ建物を新築した場合の価格(再調達価格)を計算し、経過した年数による物件の建物や設備の劣化を評価額から差し引く減価修正のことで、建物評価を算出する評価法です。
原価法は主に一戸建てで用いられます。
②原価法の計算方法
物件の評価額を原価法で算出した場合、次のような計算式になります。
a. 建物評価額
建物評価額=建築単価(円/平方メートル)×建物面積×(1−経過年数/耐用年数)
建築単価に関しては、国税庁のサイトにある「建物の標準的な建築価額表」から確認可能です。また、耐用年数に関しては、同じく国税庁のサイトにある「耐用年数表」で確認します。
b. 土地評価額
土地の評価額に関しては「路線価」を利用する方法と「実際の取引事例」をもとに評価単価を定める2通りの方法があります。
一般的には、まず路線価による評価を参考にはしますが、実際の取引事例により比較検討する方法で実勢価格を算定します。土地評価額は、次のような計算式で算出できます。
土地評価額=実勢価格(時価)による単価(円/平方メートル)×土地面積
(2) 取引事例比較法
①取引事例比較法とは
取引事例比較法とは、対象不動産と同一エリア内で、条件に類似した不動産の取引事例を比較することで標準的な価格を導き出し、その上で物件の個別事情による修正をして、売却査定価格を算出する市場性に着目した評価手法です。マンション、土地など居住を目的とする不動産の売却査定時に用いられます。
②取引事例比較法の計算方法
取引事例比較法の計算式は、次のとおりです。
評価額=事例地の単価(平方メートル)×面積(平方メートル)×補正率
「補正率」とは、案件との個別要素と個別事情を考慮して掛け率を決めるものです。
一般的には補正率はマイナス30%~プラス20%で調整する場合が多くあります。
不動産会社ではレインズにおける成約情報を活用して事例を抽出しますが、地方や地域により物件の取引件数が少なく、参考にできるデータ自体がないこともあります。
(3) 収益還元法
①収益還元法とは
収益還元法は、投資用不動産が賃料により将来生み出すと予想される純利益から、現在の不動産価値を決定する評価法です。「対象不動産がどれくらいの値段であれば、将来にわたってどれだけの純利益を得られるか」という視点で物件の資産価値を評価するというものです。
一般的な収益物件の物件査定で用いられるため、投資用物件の査定法です。
②収益還元法の計算方法
収益還元法の計算方法は次の通りです。
評価額=1年の純利益÷還元利回り×補正率
収益還元法によって査定する場合でも、収益性だけを重視するのではなく、原価法により物件を評価し、取引事例比較法により土地の適正価格を評価した後に、利回りなどを分析します。
まとめ
・不動産の売却査定とは、売主が売却依頼を検討する不動産会社に対して、売却を予定する土地や建物などの不動産の価値を現在の市場価値に照らし合わせ金額を算定してもらうことを指します。
・売却査定の手順
①不動産仲介会社に査定を依頼する。
②机上査定の内容をもとに、訪問査定を依頼する。
③必要書類の確認
④現地での訪問査定の実施
⑤査定結果の検討
・不動産売却の査定方法としては、次の2種類があります。
①机上査定(簡易査定)
②訪問査定(詳細査定)
・査定の評価手法としては、次の3つがあります。
①原価法
②取引事例比較法
③収益還元法