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戸建て土地部分の査定ポイント
戸建て土地部分の査定ポイント
戸建ての査定は土地部分と建物部分に分けて査定されます。土地については、通常の土地だけの査定と大きな変わりはありませんが、すでに住宅として使われているため住宅用地としての評価対象となります。戸建て土地部分についての査定ポイントや地価について紹介します。
目次
1. 土地の査定方法は取引事例比較法
2. 土地の形・面積
3. 接道義務
4. 周辺環境
5. 用途地域
6. 地価
(1) 公示地価と基準地価
(2) 相続税路線価
(3) 固定資産税評価額
まとめ
1.土地の査定方法は取引事例比較法
不動産の価格を求める方法には原価法・収益還元法・取引事例比較法の3つがあり、査定するものによって使用するものが異なります。
土地の査定を行う場合は取引事例比較法によるのが通常です。取引事例比較法とは、取引された過去の情報を基に、調べたい不動産の価格を求める方法です。売却する不動産と土地と面積や形が似ている土地をいくつか選び時期など修正を行っていきます。
比較される不動産は価格に大きなズレなどがないように3カ月~6カ月以内に売買された不動産が選ばれることが多くありますが、参考になる事例が少ない場合はそれ以前の事例が使用されることもあります。
土地を査定する際の査定ポイントには次のような点があります。
・土地の形、面積
・接道義務
・周辺環境
・用途地域
これらに地価などの情報をあわせて土地の査定額を算出します。
2.土地の形・面積
(1) 土地の形
土地を査定する際には、土地の形状が査定ポイントになります。形が綺麗で使いやすい土地ほど評価は高くなります。
土地の形では整形地と不整形地と呼ばれるものがあります。
整形地は、正方形や長方形などいびつな形をしていない土地で、土地を使う際の制限が少ないので評価が高くなります。
不整形地は、台形や旗竿(はたざお)地といった土地です。不整形地は方位を考慮に入れづらく、土地の中で建物を建てられない無駄なスペースが生まれ有効活用できない、などの点があり整形地に比べると土地の評価は下がります。
(2) 土地の面積
一般的に土地の面積が広くなると、土地の利用方法も広がり査定額も上がります。
しかし、土地の利用方法を制限している用途地域によっては、広すぎると逆に売れづらくなり価格が下がってしまう場合もあります。
住宅地の場合は土地が広い場合は、価格面で売りやすくするために、分割して売り出す場合が多くあります。
3.接道義務
接道義務とは、建築基準法で土地が規定以上道路に面していないといけないという規則です。原則4m以上の道路に、土地が2m以上接していることが条件となります。
ただし、接道義務は都市計画区域が定められている地域でのみ適用となるものです。
(1) セットバック
道幅が狭いと道路の中心線から敷地の端を下げるセットバックを行わなければなりません。
4m道路にするには道路の中心線から2m下げた位置になります。セットバックをすれば、その部分は道路に該当し自分の敷地が使えなくなります。
(2) 再建築不可の場合
接道義務が定められたのは1950年で、それ以前に建っていた建物は接道義務を免れています。ただし、その建物を壊し再度建築しようと考える場合は、新しい建物は現在の建築基準法に沿って建設しなくてはならなり、道路に2m以上接していない土地では再建築不可となってしまいます。
4.周辺環境
土地周辺の環境も評価する際の重要なポイントです。土地のまわりに何があるのか、土地にどのような影響を及ぼすのかなどがチェックされます。
チェックされるポイントは大きく分けて接近条件と環境条件です。
(1) 接近条件
①交通の便
土地からの最寄り駅やバス停への距離が近いほどポイントは高くなります。具体的には80mを1分とし、10分までは1分=1.5ポイント、10分越えは1分=1ポイントで評点付けします。
ただ、駅から徒歩圏外の土地の場合、バスでの移動が主流になるので、バス停との距離やバスの運行頻度で価値が評価されます。
②公共・公益施設
市役所、学校、病院、保育園、幼稚園などの公共・公益施設が近いほどポイントが高くなります。具体的には土地から徒歩10分(800m)以内に公共施設がどれだけあるかが重要になってきます。
③商業施設、スーパーマーケット
食料品や衣料品などの生活必需品を販売するスーパーや商店街に近いほど、ポイントは高くなります。具体的には土地から徒歩5分(400m)以内にどれだけあるかが重要になってきます。逆に徒歩圏内(1,600m)に商業施設がない場合価値が下がります。
(2) 環境条件
住宅地としての適性度が評価されます。低層の戸建て住宅が立ち並んでいる地域の場合は優良住宅地として高い評価ポイントを受けます。一方で、周辺地域に工場や老朽化したアパート、その他一般的に嫌悪される場所がある場合などマイナスポイントになります。
①街路の整備
街路区画が整然としている状況であれば評価ポイントは高まります。逆に街路に計画性がなく無秩序、または行き止まりが多かったりすると評価ポイントは下がります。
②周辺環境に影響を及ぼす施設等
ゴミ焼却場、汚水処理施設、墓場、葬儀場、ガスタンク、規模の大きい変電所、高圧線、ガソリンスタンドなど公益性はあるのですが、近隣住民に嫌われる施設の場合、評価ポイントは下がります。
③騒音・振動
幹線道路、高速道路、鉄道が近くにあり、騒音や振動があるエリアの場合評価ポイントは下がります。特に、窓を閉めても騒音や振動が残るエリアは価値が下がります。逆に交通量が少なく閑静な地域の場合は高いポイントになります。
④日照・通風
日照や通風の具合は健康的な生活をする上で重要な評価ポイントになります。南側に日光が確保できているか、通風をさえぎる建物や障害物がないかで評価が高まります。
⑤眺望・景観
土地からの眺望が良ければ価値は高まります。特に高台で周囲の景観が得られている土地は好評価となります。また、富士山が見える、スカイツリーが見えるなども評価ポイントになります。
⑥供給処理施設の整備状況
排水施設とガス施設が利用できる土地かで評価されます。例えば、下水処理施設がない場合、個別浄化槽の設置もない場合はいずれも評価は下がります。
5.用途地域
用途地域とは、都市計画法の一部で土地の使い方が制限されているもので、用途地域が設定された土地では、建てる建物の高さや建物の使い道も制限されます。
用途地域は住宅地・商業地・工業地など13種類に分けられており、住居に関する地域では、
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中層住居専用地域、第二種中高住居専用地域、第一種住居地域などがあります。
6.地価
土地の査定ポイントに基礎となる地価を参考に土地全体の査定が行われます。
地価では基準となる公的評価額があります。土地の公的評価額には「公示地価(または基準地価)」「相続税路線価」「固定資産税評価額」の3つがあります。
(1) 公示地価と基準地価
公示地価は国土交通省が全国約2万6000地点の地価を調査し公表しているものです。
基準地価は全国約2万1000地点の地価を都道府県が調査し、国土交通省が全国のデータをとりまとめて公表しているものです。
・公表機関:国土交通省(基準地価は都道府県が調査し、国土交通省が発表)
・調査時期:毎年1月1日時点(基準地価は7月1日時点)
・調査目的:公的な地価データとしてさまざまな指標に活用
(2) 相続税路線価
相続税路線価は国税庁が毎年公表している地価のことです。路線価とは道路に面した土地の価格水準を表したものを指します。
価格は公示地価の80%相当を目安に定められており、「路線価図」には1平方メートル当たりの単価(千円単位)で記載されています。
・公表機関:国税庁
・調査時期:毎年1月1日時点
・調査目的:相続税などを算定する際の評価額を決めるため
(3) 固定資産税評価額
固定資産税評価額は固定資産税や都市計画税の税額を計算するために、市区町村で定める土地や建物の価格のことです。地価は公示地価の70%相当額を目安に定められ、3年ごとに見直されます。
・公表機関:市区町村
・調査時期:1月1日時点(3年ごとに見直し)
・調査目的:固定資産税などの算定の基準とするため
まとめ
・土地の査定を行う場合は取引事例比較法によるのが通常です。取引事例比較法とは取引された過去の情報を基に調べたい不動産の価格を求める方法です。
・土地を査定する際の査定ポイントには次のような点があります。
①土地の形、面積
②接道義務
③周辺環境
④用途地域
・公的な地価制度には次のようなものがあります。
①公示地価と基準地価
②相続税路線価
③固定資産税評価額