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不動産のAI査定、一括査定とは
不動産のAI査定、一括査定とは
AIの普及が社会的に進んでいますが、不動産の査定でもAI査定が眼につくようになりました。また、ネット上では一括査定のサイトが増えており、通常の査定でも広く利用されています。しかし、一括査定は査定項目の入力は売主により1回で査定サイト登録でき、多くの登録不動産会社の眼に留まるシステムですが、査定そのものはコンピューターがやるものではなく、人間がやるものです。では、AI査定とはどのようなものか、どの程度の信頼性があるのか、どの場合でも使えるのかなどと、定着している一括査定はどのようなものか、そのメリット・デメリットはどのようなものかなどを通じて、AI査定と一括査定の使い方などを紹介します。
目次
1.不動産のAI査定
(1) AI査定とは
(2) AIによる不動産査定の仕組み
(3) AI査定の特性
(4) AI査定の信頼性は?
(5) AI査定の現状での活用
2.不動産一括査定
(1) 不動産一括査定とは
(2) 不動産一括査定の仕組み
3.不動産一括査定のメリットとデメリット
(1) 一括査定のメリット
(2) 一括査定のデメリット
4.AI査定、一括査定の使い方
(1) マンションの場合と戸建て住宅の場合
(2) 一括査定サイトの選び方
まとめ
1.不動産のAI査定
(1) AI査定とは
AIは、2000年代から始まった機械学習の実用化により可能となった技術で人工知能を現し、人間の知能による知的作業をコンピューターにさせるものと定義されています。人間が膨大なデータを処理して答えを導くと大変な時間がかかりますが、AIなら短時間で答えを出すことができます。不動産におけるAI査定とは、不動産における一定の項目を入力すると短時間でAIが不動産査定額を算出するシステムです。
(2) AIによる不動産査定の仕組み
不動産査定で使われるAIは、次にあげるデータを入力することによって査定を行います。AIに保存された過去の多数の類似物件の取引データとの照合や比較計算によって、短時間で不動産価格を算出する仕組みになっています。データとしては次のようなものです。
・所在地
・種類や用途
・面積
・構造
・建築年
・居住状態
上記の入力データは、人の手による一括査定においても同様です。
(3) AI査定の特性
①短時間で結果が出る。
コンピューター上の処理にため短時間で結果が提供されるメリットがあります。
②匿名で査定を行える。
匿名で査定を行えるサイトもあります。匿名であればメールアドレスのみで査定ができます。匿名であれば売却の個人情報が出さずに済み、不動産会社の営業もかかってはきません。自分の物件の相場を知るのに役立ちます。
(4) AI査定の信頼性は?
実際に物件の売却を考えている場合、AIによる査定価格はどれくらい信頼してよいものなのかが気になるところです。AI査定は情報蓄積が多くなるほど査定精度が向上していきますが、情報量が少ない場合は精度が低くなってしまいます。
①戸建ての場合
戸建て住宅の価格決定要素は大変細かく、インターネットでの入力項目が限られている状況では、精度はあまり高いとは言えません。たとえば敷地の形状、正確な方位、土地の高低差、敷地の道路付け、注文建築で建てられた戸建て住宅のデザイン・機能、その他隣地の情報など複雑な要素が個別的にあります。現状のAI査定ではこれらの部分は評価に反映することができません。
また、築年数が同じ物件であっても、耐久性や維持メンテナンスの状況によって、法定耐用年数を大幅に超える高耐久な物件もあります。戸建て住宅は、価格決定要素が複雑で現状では人間が関わるからこそ査定に加算できる評価ポイントが多くあります。
②マンションの場合
分譲マンションの査定は、とくに都心部では物件データが多く、同一マンション内での成約事例などがある場合もあります。マンションは一戸建てと異なり供給業者が限られておりまた、建物としての品質や性能にある程度の標準性があり、ある程度のグレードでの分類が可能です。
ただし、地方都市などでは物件数が少なく、年間成約事例も少ない場合があり、データ数が少ないと正確性は不十分と言えます。
(5) AI査定の現状での活用
現状のAI査定はマンションの場合は一定の有効性があると思えます。しかし、戸建て住宅では現状ではあまり正確とは言えないでしょう。マンションにおいても下記の不動産の一括査定などとの併用が検討されます。
2.不動産一括査定
(1) 不動産一括査定とは
不動産一括査定とは、一度の申し込みで複数社に同時に査定依頼を出せるサービスです。
多くの場合ネット上の査定サイトで、無料サービスで行われています。
(2) 不動産一括査定の仕組み
一括査定サイトによって異なりますが、基本的に会員登録は不要、入力フォームで申し込みをするだけです。
査定依頼を出せる不動産会社は自分で選ぶのではなく、サイトに登録している不動産会社に限定されます。サイトにより提携している不動産会社の数、種類に差はあります。大手会社のみのところもあり、また地域の不動産会社と提携しているところもあります。
売主が申し込みの際に入力した情報を基に、一括査定サイトに登録している不動産会社とのマッチングが行われ、対応する不動産会社の査定結果がユーザーのもとに届く仕組みです。
3.不動産一括査定のメリットとデメリット
不動産一括査定を利用したらどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
(1) 一括査定のメリット
①インターネット上で簡単に利用できる。
不動産会社としては、一括査定サイトを利用する多くの顧客に自分たちの会社を知ってもらえる利点があります。また、新規の顧客を自社に取り込めるという期待値もあり、一括査定サイトに登録しています。
②複数の不動産会社に査定依頼する手間が省ける。
不動産を売却するとき、通常は不動産会社別に価格査定を依頼しますが、提示される査定価格は不動産会社によって異なります。そのため、複数社への相見積もりが必要となります。しかし、1社1社不動産会社を探し査定依頼するのは手間がかかります。
一方、一括査定サイトを使うと売却不動産の物件情報を入力するだけで、複数の不動産会社に査定依頼を出すことができ、手間も時間も省くことができます。
③複数の査定結果を比較することで適正価格がわかり、より高い査定額やその他の理由で不動産会社を選ぶことができる。
複数の不動産会社に査定依頼をすることで、査定価格の比較ができ、同じ物件でも不動産会社によって査定額には違いが出ます。高い査定額を出した会社に依頼することもできますし、査定内容が信頼できる会社に依頼することもできます。
(2) 一括査定のデメリット
一方、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
①不動産会社から多数の連絡が来る。
査定サイトに登録すれば、多くに不動産会社の目に留まり一定数の会社が査定額を提案してくる可能性があります。査定サイトに登録している不動産会社は競争関係にあり、他社よりも早く売主へ連絡を取りコミュニケーションを取りたいと思い、電話やメールなどが多数来る可能性があります。
②机上査定だけではなく、訪問査定の営業をしてくる。
一括査定はインターネット上の基本データの入力だけなので正確な査定では訪問査定が必要です。そのため、不動産会社は訪問査定の必要性を訴え、訪問査定の営業をしてきます。訪問査定をすれば売主と直に顔を合わせ、人間関係を作ることができるからです。売主にとっては不動産会社が自宅へ訪問してくるのは負担があります。
③訪問査定をすれば、売却の依頼を受ける媒介契約の営業をしてくる。
不動産会社によっては訪問査定時に売却意思を確認されるでしょう。売却意思があれば売却の依頼を受けて媒介契約を締結することを提案し営業してきます。その対応に時間や手間もかかります。
④希望する不動産会社や売却物件に特殊性がある場合は、査定してもらえない場合がある。
一括査定サイトでは希望する不動産会社がある場合はサイトにその会社が登録していない場合もあります。また、特殊性のある物件の場合は、不動産会社によっても得意不得意があり、応募が出てこない場合もあります。その場合はやはり得意な会社を探し、個別に依頼する必要性があります。
4.AI査定、一括査定の使い方
(1) マンションの場合と戸建て住宅の場合
マンションの場合は、AI査定も一括査定でも適正な価格はある程度の標準性があり参考になると思います。
戸建て住宅の場合は、AI査定は現状ではあまり適当ではなく、一括査定においても同様に机上査定である程度の査定額は判断できますがやはり訪問査定が必要です。
(2) 一括査定サイトの選び方
様々な不動産一括査定サイトがあるなかで、いったいどのサイトを選べば良いのか迷う方も多いのではないでしょうか?比較したい項目は以下となります。
①対象エリア
売る物件の場所が十分カバーされているかどうかです。特に地方の物件の場合にチェックが必要です。
②提携している会社の数
提携している不動産会社の数は登録している会社の数が多ければ一般的にはマッチングの可能性が高いと考えられます。ただし、エリアとの関係、得意分野との関連も考慮に入れる必要があります。
③不動産会社の特性
不動産会社といっても、マンションの売却が得意な会社、戸建ての売却が得意な会社、首都圏に特化している会社など特徴は様々です。そして、地域に強い会社が多くあります。その場合は地域エリアとのマッチング性が重要です。また、全国をカバーする大手会社もあります。
④同時に査定依頼できる会社の数
不動産一括査定サイトでは、同時に依頼できる不動産会社の数に上限があります。
まとめ
・不動産におけるAI査定とは、不動産における一定の項目を入力すると短時間でAIが不動産査定額を算出するシステムです。
・AI査定の特性としては、次のようなメリットがあります。
①短時間で結果が出る。
②匿名で査定を行える。
・AI査定は情報蓄積が多くなるほど査定精度が向上していきますが、情報量が少ない場合は精度が低くなってしまいます。
・不動産一括査定とは、一度の申し込みで複数社に同時に査定依頼を出せるサービスです。
・一括査定では、査定依頼を出せる不動産会社は自分で選ぶのではなく、サイトに登録している不動産会社に限定されます。サイトにより提携している不動産会社の数、種類に差があります。
・一括査定のメリットとしては、複数の不動産会社に査定依頼する手間が省けるなどの点があります。
・一括査定のデメリットとしては、不動産会社から多数の連絡が来るなどの点があります。
・AI査定、一括査定の使い方としては、マンションの場合はAI査定も一括査定でも適正な価格はある程度の標準性があり参考になると思いますが、戸建て住宅の場合は、個別性が高く、現状ではAI査定も一括査定の机上査定も正確性は乏しいと思えます。