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不動産売却に必要な書類と取得方法 PART1
―売却に備えていつ・どのような書類が必要かー
不動産を売却するには、さまざまな書類が必要になります。必須の書類もあれば、あればベターなものもあります。また、書類が必要となる時期についても知っておく必要があります。書類の用意に時間がかかる場合もあるからです。また、書類で新たに入手する必要のあるものは、どこで入手するかの取得場所についても知っておく必要があります。
目次
1.不動産売却に必要な書類とは
2.不動産会社と契約を結ぶときに必要な書類
3.家を販売中に必要な不動産売却の書類
4.不動産を売却して引き渡すときに必要な書類
まとめ
1.不動産売却に必要な書類とは
不動産を売却する時は多くの書類が必要になります。書類では必須の書類とできればあった方が良い推奨の書類があります。
不動産売却の手順は、①不動産会社と契約を結んで売却を依頼する。②売却条件を決めて家を売り出す。③買主が見つかれば売買契約を結び引き渡す。という順番で進めます。
このプロセスで売主は不動産会社から物件内容、物件に管する権利、売主に関しての情報などを求められ、この情報に関する資料が書類などの形態で必要となります。
必要な書類には次のようなものがあります。
・登記済権利証、登記識別情報
・間取り図、測量図
・身分証明書
・建築確認済証、検査済証
・地積測量図、境界確認書(土地の場合)
・マンションの利用規約
・建設設計図書、工事記録書
・耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書
・地盤調査報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書
・ローン償還表、ローン残高証明書
・マンション管理規約、使用細則
・固定資産税納税、都市計画税納税通知書
・固定資産税評価証明書
・実印、印鑑証明
・住民票
・預金通帳(もしくは控え)
2.不動産会社と契約を結ぶときに必要な書類
(1) 登記済権利証・登記識別情報
必須の資料です。必要な時期は、媒介契約時から売買契約時・引き渡し時までです。
法改正によって2005年3月7日以降は、登記済権利証に代わって「登記識別情報」が導入されています。登記名義人には12桁の符号が記された通知書が送付され、この符号から本人確認ができるようになりました。書面ではなく符号を提示するだけで済みます。
①用途
仲介会社と媒介契約を結ぶ際、販売活動の依頼主が間違いなく不動産の所有者であることを確認するために提示を求められます。同様の目的で、売買契約時にも買主に提示します。
また、売却後、不動産の所有権を売主から買主に変更する移転登記が必要になり登記済権利証・登記識別情報が必要になります。
②入手先
登記済証や登記識別情報は、売却にあたって改めて入手するものではなく、不動産の所有権登記をした時点で法務局から登記名義人に交付されているものです。
万一、紛失してしまった場合は、登記所に事情を説明して「事前通知」を送付してもらう方法や、法務局に申請し本人確認資料を作成してもらう方法があります。
(2) 間取図、測量図(戸建て住宅の場合の土地部分)
必須の資料です。必要な時期は、媒介契約時です。
①用途
建物の間取りや土地の測量結果を確認するための書類です。買主に物件情報を正しく伝えるために必要です。契約自体に不可欠な資料ではありませんが、不動産の内容を理解してもらうためには実質的に必要なものです。
②入手先
基本的には、不動産の取得時に入手しているはずですが、紛失してしまった場合は不動産販売会社に相談してみます。
マンションの場合は、管理会社でも保有していることが大半です。一戸建ての場合、建築した工務店やハウスメーカーがあれば保管している場合もあります。土地の測量図は測量会社でも保存している可能性があります。
(3) 身分証明書
必須の資料です。媒介契約時から売買契約時・引き渡し時でも必要となります。
①用途
媒介契約時は不動産会社に、売買契約時は買主に、引き渡し時は移転登記を依頼する司法書士に、契約者または依頼者本人である証明として提示します。
②入手先
運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなど、一般的に身分証明書として認められているものが対象となります。身分証明書の発行先ですでに発行されているものです。紛失の場合は発行先の手続きによります。
(4) 建築確認済証・検査済証
必須の資料です。一戸建ての売却の場合に必要となります。媒介契約時に必要です。
①用途
建築確認済証は、工事前の計画が法律に適合していることを証明する書類で、検査済証は工事の途中や完了時の検査で法律に適合していることを証明する書類です。
売却しようとしている一戸建てが、建築基準法にのっとって建てられているかどうかは、買い手の付きやすさや売却価格に影響します。
②入手先
対象の一戸建てを新築物件として購入している場合には、取得時に入手しているはずです。
紛失してしまった場合や、中古として購入していてもともとない場合では再発行してもらえません。
ない場合は、管轄の役所に申請すれば、建築確認申請時の内容と概要が記載された「建築計画概要書」や、台帳に記載されている内容を証明する「建築確認台帳記載事項証明書」を有料で発行してもらえ、建築確認済証や検査済証に代用できます。
(5) 地積測量図・境界確認書(土地の場合)
必須の資料です。必要な時期は媒介契約から引き渡しまでです。
①用途
土地地の売却時に必要な書類です。
a.地積計量図
土地の面積や、境界線を測量された証明の書類です。これらの情報は謄本記載されいますが、情報が古くトラブルの元にもなり兼ねない為、土地を売買する時には現状の土地の計測をする必要があります。新たに測量することになる場合、書類が整うまでには数ヶ月かかります。このため、おおよその数値で販売活動を開始し、並行して測量作業を進めることもあります。
b.境界確認書
土地の面積や隣接する他の土地や道路との境界の位置を証明する書類で、隣地トラブルを未然に防ぐ安心材料として必須となります。
②入手先
売却しようと考えている土地が購入したものなら、基本的に購入時に入手しているはずです。
紛失している場合でも、地積測量図が作成されている場合は法務局に保管されているので取得できます。また、依頼した測量士会社や土地家屋調査士でも保管されている可能性があります。
ただし、境界確認書は、隣接するすべての土地所有者と境界線について合意したことを証明する書類で、公的に保管されているわけではありません。
(6) マンションの利用規約
あればベターな資料です。契約自体には必要ありませんが買主にとっては必要な情報です。仲介会社にとっても必要な資料で媒介契約時に必要です。
①用途
マンションの売却時に必要な書類です。利用規約は、ペットの飼育の可否や駐車場の有無などマンションに住むためのルールが書かれてる書類です。買主は利用規約も含めてマンションの購入判断をするため必要です。
②入手先
通常、利用規約は、マンションの所有者全員に冊子として配られて保有してます。
紛失場合は、マンションの管理組合に問い合わせてコピーさせてもらいます。
(7) 建築設計図書・工事記録書
あればベターな資料です。媒介契約時に参考になります。
①用途
建築設計図書とは、工事のための図面と仕様書のことを指し、工事記録書とは、文字どおり工事の実施内容を記録した書類のことです。建築基準法や建築士法に従っているかを示し、一戸建ての場合は、これらがあると買い手にとって安心材料になります。
②入手先
手元にあれば使用します。新築で紛失した場合は建築した工務店やハウスメーカーがあれば保管している場合もあります。
(PART2に続く)