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不動産売却のタイミングとは?
―売れる時、売るべき時はいつか?―
不動産売却の良いタイミングはあるのでしょうか?必要に迫られていれば、不動産売却のタイミングは今でしょう!ということになるかもしれません。しかし、不動産にも金融ほどではありませんが売るのに適した市況や時期、金利、税制などがあります。そのタイミングに自分の事情が合えば好ましいと言えます。また、親などの相続で得た地方の不動産など使っていない物件で売却を検討する場合は、売却に良い時期を知っておくことは大変プラスになります。
目次
1.「個人的な必要性」で見る売却タイミング
2.「市況」から見る売却タイミング
3.「時期」で見る売却タイミング
4.「ローン金利」で見る売却タイミング
5.「税金の優遇措置」で見る売却タイミング
6.「物件の築年数」で見る売却タイミング
まとめ
1.「個人的な必要性」で見る売却のタイミング
自分が住む住宅では、住み替えなどで家を売るタイミングは、利益とは関係なくどうしても生活上売らなければならないタイミングがあります。
住み替え理由では、家庭の事情と職場の変動などが大きなものです。また、使いやすさや綺麗さ、性能、生活の利便性などもあります。主な点は次のようなものです。
(1) 子育て・教育のため
①子供の出産
子供が生まれ家族が増えれば、将来を見越して部屋数の多い家に住み替えを検討する必要性が出てきます。
②子供の教育
特に第1子が小学校に入る時期を中心に、学校を途中から変えないように住み替えを検討する場合が多くあります。また私立学校など希望の学校に通わせるのに便利な地域に引っ越しする場合もあります。
(2) 仕事の転勤、転職のため
仕事の関係で転勤や転職があり、今までの住まいからでは通えなくなった場合などは住み替えの必要性が生まれます。子供が学校へ行っている場合は転校も必要となります。
(3) 親の介護や親との同居のため
親の介護の必要性や将来を見越しての親との同居や相続のために住み替えをする場合があります。親の住む住宅の土地に余裕がある場合は、2世帯住宅にする場合があります。
(4) 老後の生活のため
子供の独立や定年のタイミングで家を売るシニア世代の方もいます。子供が独立して家を出ていくと、夫婦ふたりだけになり住んでいる家の部屋を活用しきれないと感じる方が多いようです。また、医療環境や買い物などの便利さの追求により、郊外圏の住まいから都市部へ住み替えをする場合があります。
このような「個人の不要性」から見た不動産の売却のタイミングは、生活の変化の時期に合わせて決まります。いわば売るべき時と言って良いでしょう。
2.「市況」から見る売却タイミング
不動産の価格は、金融ほどではありませんが景気や社会情勢の影響を受けやすい特徴があります。不景気の時には不動産価格は下落し、好景気の時には不動産価格は上昇する傾向があります。
不動産価格のデータでは、国土交通省が発表している不動産取引価格指数というものがあります。また、公的な公示価格や路線価なども参考になります。
不動産市況は近年右肩上がりでしたが、コロナ禍で多少の変動があります。過去大幅に下落したのは2008年に起こったリーマンショック以降数年間などがあります。
いずれにしても好景気もしくは不景気でなければ売れる時で、不動産の売却タイミングです。
3.「時期」で見る売却タイミング
転勤や子供の進学先が変わるタイミングである4月直前の2月、3月は住み替え需要が大きくなるので、好条件で売却しやすくなります。
住宅を2月までに売り出すには、前年年末までに売却準備を進めて、1月には販売できる状況を作っておくことが望ましいでしょう。
4.「ローン金利」で見る売却タイミング
不動産は高額なため手持ちの現金では購入できない人がほとんどです。そのため買い手は融資により購入しますが、借入期間が長期になりローンの金利の負担が大きな要素となります。そのため金利が低い時の方が、高い時よりも売り時、売れる時と言えます。
現在は低金利時代で、売るには適切な時期が長期に続いていると言って良いかもしれません。金利の判断をしている日本銀行は今後も金利を低く抑える見込みです。コロナウイルスの影響で景気の落ち込みを回復するためにも、金利が急に上がることはほとんどありえないでしょう。
従って、ローンが低金利状態である現在は、買い手にとっては利息が低く住宅ローンの借入がしやすく、不動産の売却のためには良いタイミングです。
5.「税金の優遇措置」で見る売却タイミング
住宅を売るタイミングによっては、売却で発生する税金の優遇措置を受けることができます。税金を抑えることで手元に残るお金を増やすことができます。
不動産売却に関わる税金の優遇措置には次のようなものがあります。
(1) 譲渡所得の3000万円特別控除
3000万円特別控除とは、自宅の売却で発生した譲渡所得から3000万円を控除つまり差し引ける特例です。譲渡所得とは、自宅を買った費用より売った金額が多かった場合の差額です。地価が上がっている場合は顕著です。
適用要件としては、自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ることなどです。以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることです。所有期間に関係はありません。
(2) 長期所有の譲渡所得税優遇
不動産を売却すると、売却により生じた譲渡所得に対して所得税が加算され、所得税は譲渡所得に対して税率をかけて算出されます。課税譲渡所得金額の計算方法は、「譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)= 課税譲渡所得金額」となります。
重要な点は不動産の所有期間によって課される税率が異なることです。
①短期所有
短期所有とは所有期間が5年以下の場合で所得税率は30%、住民税率は9%です。
②長期所有
長期所有とは所有期間が5年超の場合で、所得税率は15%、住民税率は5%です。
上記から分かる通り、短期所有の不動産の所得税率に比べて長期所有の所得税率は半分です。
税金を少しでも安く抑えるためには、購入時から5年を超えた後に売却するのが良いタイミングとなります。
(3) 相続税の優遇措置
「取得費加算の特例」を適用することにより、相続した不動産を売却して利益が生じた場合に、課される所得税を軽減できます。取得費加算の特例をうまく活用すれば、取得費に相続税の一部を計上できるため、所得税を軽減することが可能です。
この特例を受けるには、相続してから3年10ヶ月までに売ることが条件です。
6.「物件の築年数」で見る売却タイミング
家は築年数が経過するごとに価値が下がります。中古住宅を高く売りたいなら、築年数が浅いうちに売ることが大切です。
なお、戸建てとマンションで資産価値の下落スピードが大きく異なります。
(1) 戸建て
戸建ては相場の下落が早い要素を持っています。戸建ては木造建築が一般的のため、鉄筋コンクリート造のマンションに比べて資産価値の下落スピードが速いのが特徴です。
築年数が10年になれば、一般的には新築の約半分まで相場が落ちます。その後築20年までは下落は緩やかですが、築15年時点で新築価格の3割、築20年で2割程度まで相場が下がると言われています。木造建築の一戸建ては、耐用年数が22年と定められているため、
築20年超の家は市場価値がほとんどゼロになります。
(2) マンション
戸建てに比較してマンション相場の下落は比較的緩やかに進むのが特徴です。
一般的には築5年以内のマンションの売却価格を10とした場合に、築10年で約8割、築20年で約4割程度と推移していきます。
ただし、築15年以後は設備の劣化もあり、全体的にも補修工事の必要性が出てきます。
マンション管理組合の積立金の状況なども大規模な修繕工事が必要となる場合は重要な要素となります。
マンションでは築5年以内であれば新築同様の物件として流通性が高い点があります。
土地は別として建築では物件の築年数が早い方が売れる時、売りやすい時と言えます。
まとめ
・不動産売却のタイミングは、住み替えなどの「個人的な必要性」による場合は時期に関係なく生活の必要性によることになります。
・ただし、自分が住んでいない住宅の相続物件などの場合は、時間をかけて売却できるため売れる時、売りやすい時について知っておくとプラスになります。
・不動産販売についてもマーケティングは必要で、市況、時期、ローン金利、税金の優遇措置、物件の築年数などがカギになります。
・市況では好景気の時が売れる時期です。
・時期では、毎年2~3月が売れる時です。
・ローン金利では低金利の時が売れる時です。
・税金の優遇措置は適用できる期間が有利です。
・物件の築年数は浅ければ浅いほど売れる時になります。