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不動産売却の流れ
―不動産売却が初めての方が知っておくべきステップと全体像―
一般の方では不動産売却は一生で1・2回の大仕事ではないでしょうか。不動産売却作業を不動産会社に任せるにしても、売主としてやるべきことを知っておく必要があります。また、値引きを要求された場合の判断は売主がしなければなりません。予定通りに売れない場合の対応では、値下げや時間を掛けてもじっくり営業する態勢作りが必要となります。売主としての基本的な判断をする知識は必要です。この記事では、不動産売却の流れを売り主の視点でステップごとに説明しますので不動産売却の全体像がつかめます。
目次
1.不動産売却の流れ
2.STEP1:不動産売却に関する情報収集と意思決定
3.STEP2:不動産会社への売却相談
4.STEP3:売却査定
5.STEP4:不動産会社との媒介契約
6.STEP5:不動産の売却活動
7.STEP6:買主との売買契約
8.STEP7:物件の引渡し・決済
まとめ
1.不動産売却の流れ
不動産売却は、まず自分自身で行う①不動産売却に関する情報収集と意思決定から始まり、不動産会社との打ち合わせによる②不動産会社への売却相談、物件価格を想定する③売却査定の上、提携する不動産会社を決定する④不動産会社との媒介契約、そして営業を開始する⑤不動産の売却活動を経て、買主の目当てが出てきて購入決定してもらえばれば⑥買主との売買契約へ進み、⑦物件の引渡し・決済へと進みます。
売却期間は3ヶ月から6ヶ月が1つのメドになります。物件、販売時期により簡単に販売が進まない場合は販売が延長される場合もあります。また、不動産会社との媒介契約の変更もありえます。
2.STEP1:不動産売却に関する情報収集と意思決定
まず売主自身が売却をするかどうかを意思決定しなければなりません。最終的な意思決定でなくても、基本的に売却活動をするかどうかの判断と一定の判断基準をもつ必要があります。そのためには不動産売却に関する情報収集をし、情報に基づき売却検討をする必要があります。情報収集では、物件に関する価格相場、取引事例、市場環境、物件の市場性などがあります。売却に関する情報の結果を検討します。住み替えなどの場合は、売却の時期と売却希望価格、使用していない不動産の場合は、売却の希望価格、投資で購入した物件の場合は、購入額以上の希望価格などの販売の判断基準は整理しておく必要があります。
3.STEP2:不動産会社への売却相談
不動産会社へ売却相談し専門家の意見を聞きます。物件の資料に基づき市場性や市況、売却の可能性などを聞きます。どの不動産会社と相談するかですが、物件のある地域に詳しい地域性のある不動産会社、戸建てやマンションなど不動産の種類、売買や賃貸などの業態、個人・法人の顧客層など得意な分野から適合する不動産会社、知名度のある大手不動産会社などの中から選択します。特徴が異なる複数の会社を選択し当たってみると判断ができるようになり、比較ができます。
不動産会社選択の基準としては、販売実績、得意な分野との適合、会社の規模や信用性、認知度などがあります。絞り込んだうえに訪問して相談するのが適切です。訪問打合せすれば会社としての姿勢や雰囲気、物件売却への熱意、責任者やスタッフの人柄などが判断できます。相談では物件内容がわかる資料があればより正確に検討してもらえます。
不動産会社は3社程度をメドに行い比較検討します。
4.STEP3:売却査定
相談した不動産会社やインターネットによる査定依頼により物件の売却査定を依頼します。
不動産の「査定」とは、不動産会社が売却予定の不動産の相場を想定し売れそうな価格を評価することを指します。
複数の査定結果を比較検討します。査定価格だけでなく査定ポントまでのデータがあるとより参考となります。査定結果は書面であるのが望ましいです。口頭だけだと後にその通りにならない場合、言った言わないという問題が生まれます。
価格査定の方法には、机上査定と訪問査定(実査定)の2種類がありますが、1次的には机上査定で構わないですが、より正確には不動産会社の物件の内覧をしてもらい訪問査定を受けるのが通例です。複数の不動産会社に依頼すれば、査定価格で比較検討することができます。
また、インターネットでの一括査定のサイトがあります。一括査定とはワンストップで複数の不動産会社に対して一度に査定してもらうことができるものです。登録会社は大手などが多くあります。
5.STEP4:不動産会社との媒介契約
相談結果、査定結果などから依頼する不動産会社を選びます。そして、売主として不動産会社との間で媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産仲介において売却が成立したときの不動産会社が受け取る報酬額や売却活動の方針を取り決める契約です。報酬は成功報酬制です。
媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。売主の希望で契約の種類を選びます。
一般媒介契約は提携できる不動産会社は複数であって構わず、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」は1社のみとなります。売買活動の不動産会社の報告頻度では、「一般媒介契約」では任意、「専任媒介契約」では2週間に1回以上、「専属専任媒介契約」では1週間に1回以上などと規定されています。
「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」では契約期間は3ヶ月が基準となっています。
「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の相違を理解し、自分の希望に合った形態や不動産会社への信頼性、営業・販売活動の内容、実績などから会社を選択します。
6.STEP5:不動産の売却活動
媒介契約を結ぶと、正式に不動産会社が不動産の売却活動を開始します。
販売活動は売主の状況や売却する物件によって異なりますが、まずは相場や査定額・不動産市況をもとに売り出し価格を決定します。その後、不動産会社の販売促進活動が開始され、広告を見て興味を持った人や不動産会社の活用する情報ネットワークから、買い手側の不動産仲介会社などからの問い合わせを受けます。不動産会社は買主や買主側の仲介会社へ物件の案内・説明をおこないます。また、売主が内覧などで協力する場合もあります。
なお、専属専任媒介契約、もしくは専任媒介契約を結んだ場合、不動産会社は定期的に売主へ売却活動報告を行う義務があります。そのため、メール・電話・手紙、訪問何らかの方法で不動産会社から連絡が来るので、売りに出した反響がどの程度あったかを定期的に知ることができます。
営業段階で買い主からの条件交渉(値引き交渉)を受けることもあります。価格交渉の他にも引渡し時期なども条件になることがあります。
7.STEP6:買主との売買契約
購入意思が固まった人から不動産会社経由で購入申込書(買付証明書)を受け取ります。
買主が決定したら、不動産会社が「買主側の住宅ローン事前審査」と「物件の最終調査」をおこない、特に問題がなければ不動産売買契約を結びます。
売買契約は、売主・売主側仲介業者・買主・買主側仲介業者の四者が、売主側仲介業者のオフィスで行うことが多いです。大手の場合は売主側買主側双方の仲介を1社で行う場合もあります。
宅地建物取引士が重要事項説明の読み合わせを行います。了解後売買契約書を締結します。契約では、契約書への署名押印、用意した書類をもとでの本人確認、手付金の授受を同時におこないます。契約後、印紙が適切に貼られた契約書を売主・買主が一部ずつ保有します。
なお、売買契約時で売主の必要書類は以下のものなどです。
・実印、認印
・身分証明書
・物件登記済権利証
・印鑑証明書
・収入印紙
8.STEP7:物件の引渡し・決済
売買契約書のなかで定めた日時と場所で決済と引渡しが行われます。売却価格分の代金を買主から受け取るだけでなく、買主の住宅ローンが残っている場合は融資先の金融機関との間で返済を行います。また、売主では物件胃抵当権が設定されている場合抵当権の抹消準備をします。また、売主は買主への引き渡しの前に、隣地との境界や引き渡す面積を確定するために土地の確定測量を行う場合があります。
売主、買主、不動産会社、必要に応じ金融機関の担当者を交えて決済が完了したら、同日のうちに不動産の引渡しが行われます。
まとめ
・不動産売却に関する情報収集と意思決定
売主自身が不動産売却に関する基本的な知識を持ち、相場などの情報を知ることが重要です。不動産会社への丸投げは避けるべきです。
・不動産会社への売却相談
複数の不動産会社を訪問もしくはオンラインで相談し、会社としての考えを聞きます。また、相談件結果を参考に提携依頼をするかどうかを判断します。
・売却査定
相談した不動産会社、サイトでの査定依頼をした不動産会社などの査定結果を参考に、売却の可能性や査定価格を比較検討します。査定方法には机上査定、訪問査定があります。
・不動産会社との媒介契約
相談結果、査定結果などから依頼する不動産会社を選びます。そして、売主として不動産会社との間で媒介契約を結びます。媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
・不動産の売却活動
買い手の値引き要求が出た場合は売主の判断が必要となります。
・買主との売買契約
売買契約は、売主・売主側仲介業者・買主・買主側仲介業者の四者で一堂に会して行う場合が多くあります。
・物件の引渡し、決済
買主の住宅ローンが残っている場合は融資先の金融機関との間で返済を行い、また売主は抵当権設定がされている場合は抵当権の抹消をします