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重要事項説明書の意味と内容とは
重要事項説明書の意味と内容とは
不動産会社は売主の依頼でマンションや土地、戸建など不動産の営業をする時に、買い手に対して重要事項説明書を説明します。重要事項説明書に内容は、取引物件、取引条件、その他の事項になりますが、売主としても買い手に対して取引物件に関する責任を負っています。説明責任は不動産会社に課せられたものですが、その前提となる事実の状況についての説明や資料の提供は売主でなければできません。買い手の保護につながる重要事項説明書は消費者保護のために公的に定められたものです。
目次
1. 重要事項説明書とは
(1) 重要事項説明の目的は買主の保護
(2) 重要事項説明の時期と説明者の義務
2. 重要事項説明書に記載しなければならない内容
(1) 取引物件に関する事項
(2) 取引条件に関する事項
(3) その他の事項
(4) 区分所有建物の場合に追加で説明する事項
まとめ
1.重要事項説明書とは
不動産売買における重要事項説明とはどんなものなのでしょうか。
(1) 重要事項説明の目的は買主の保護
重要事項説明とは、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律に定められた手続きで、不動産の売買をするときには必ず行わなければなりません。そして、その目的のひとつは買主の保護です。不動産は高額で特殊な個別性、特殊性のある商品のため、一般の消費者は不動産の取引き経験は一生に1度か2度しかなく、そのため知識もあまり持たず、買主が被害をこうむらないために取引を仲介する不動産会社に対して、重要事項説明という手続きが義務づけられています。
(2) 重要事項説明の時期と説明者の義務
宅建業法では、重要事項説明は必ず契約の前に行うと決められています。また、不動産の売買では、不動産会社の宅地建物取引士が押印した書面(重要事項説明書)を買主に交付し、取引士が対面で説明しなければなりません。
2.重要事項説明書に記載しなければならない内容
重要事項説明書に記載しなければならない内容とは次のようなものです。
(1) 取引物件に関する事項とは
①登記記録に記録された事項
不動産登記簿に記された、土地や建物に登記されている所有権などの権利の内容です。また、売主が借りている住宅ローンの抵当権のように、売買に影響する権利についても説明しなければなりません。また、借地権や借家権のように登記記録に記録されていない権利も重要事項説明書には記載して説明しなければなりません。同様に売買に影響を与えるものだからです。
②法令に基づく制限の概要
都市計画法や建築基準法などの法令に基づく制限のことです。建物の用途を制限する用途地域や、建物の大きさを規制する建ぺい率・容積率、敷地と道路の関係など、住宅の建築や増改築などに大きく影響する規制内容などが記載されます。
③私道に関する負担に関する事項
敷地が面している道路が私道の場合は、その位置や面積、権利関係、共有の場合はその持ち分、利用のための負担金の有無などを記載します。
④飲用水などの供給施設・排水施設
飲用水・電気・ガスの供給施設と排水施設がすぐに使える状態かどうかです。また、供給形態や給排水管・ガス管の埋設位置などの明示があります。施設が未整備で将来整備される計画がある場合は、負担金の有無や金額、整備される予定時期などを説明します。
⑤宅地造成または建物建築の工事完了時における形状・構造等
宅地造成や建築工事が未完成の場合については、工事完了時の形状や構造、間取り、内外装の仕上げなどを平面図で説明します。
⑥建物状況調査の概要等
建物が既存の建物(中古住宅)であるときは、過去1年以内に建築士(既存住宅状況調査技術者)による建物状況調査が行われたかどうかを記載し、行われた場合は調査結果の概要を記載します。
⑦区分所有建物の場合
物件がマンションの場合、敷地の権利の種類、借地権の場合は地代など、管理規約や使用細則の内容、駐車場や専用庭などの使用料、管理費や修繕積立金の額、管理会社の名称や管理形態などを記載します。
特に売主が管理費や修繕積立金を滞納している場合は、買主が購入後に滞納額を負担しなければならなくなるので説明が必要です。また、共用部分の修繕工事に必要な値上げや一時負担金が予定されている場合は説明しなければなりません。
(2) 取引条件に関する事項とは
①代金、交換差金および借賃以外に授受される金銭
売買契約では手付金、固定資産税、管理費などの精算金などのことで、その金額や目的、授受の時期などについて説明が必要となります。
②契約の解除に関する事項
どのような場合に解除できるのか、どのような手続きが必要になるのか、解除によってどのような効果が発生するのかについて説明します。
③損害賠償額の予定または違約金に関する事項
損害賠償額の予定または違約金に関する定めがある場合、その額や内容を説明します。
④手付金等の保全措置の概要(不動産会社が自ら売主になる場合)
不動産会社が自ら売主となる売買では、一定の額または割合を超える手付金などを受領する場合には、その保全措置が義務付けられており、その内容を説明する必要があります。仲介による売主が個人の場合は該当しません。
⑤支払金または預り金の保全措置の概要
不動産会社が買主から金銭を受領する場合、その金額が50万円以上のものは重要事項として保全措置の有無やその概要について説明しなければなりません。
⑥金銭の貸借(ローン)のあっせんの内容
不動産会社が買主のためにローンのあっせんを行う場合は、金額や金利などの融資条件のほか、融資が受けられなかった場合にどのような措置を講じるかを説明します。
⑦担保責任の履行に関する措置の概要
担保責任の履行に関して保証保険契約の締結などの措置を講じるかどうか、講じる場合はその概要を説明する必要があります。
(3) その他の事項とは
①国土交通省令・内閣府令で定める事項
土地・建物が土砂災害警戒区域内にあるときや、耐震診断を受けたものであるとき(1981年5月以前に着工したもののみ)、また、水害ハザードマップにおける物件の所在地などについても説明する必要があります。
②割賦販売に係る事項
不動産会社が割賦販売をする場合、物件や周辺環境などに心理的に告知すべき事項などがある場合は、その旨やその内容について説明しなければなりません。
(4) 区分所有建物の場合に追加で説明する事項
区分所有建物の場合には追加で次のような点樹につき説明しなければなりません。
①専有部分の用途その他利用の制限に関する規約の定め(案も含む)があるときはその内容
②一棟の建物およびその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名及び住所
③一棟の建物の敷地に関する権利の種類、内容
④共用部分に関する規約の定め(案も含む)があるときは、その内容
⑤一棟の建物またはその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定め(これに類するもの及び案を含む)があるときはその内容
⑥一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定め(案を含む)があるときはその内容とすでに積立てられている額(滞納している者がいるときはその旨も)
⑦建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額
⑧一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用、その他建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者のみ減免する旨の特約の定め(案を含む)があるときは、その内容
⑨一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容(記録が保存されていない場合は、その旨)
まとめ
・重要事項説明とは、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律に定められた手続きで、不動産の売買をするときには必ず行わなければなりません。そして、その目的のひとつは買主の保護です。
・宅建業法では、重要事項説明は必ず契約の前に行うと決められています。また、不動産の売買では、不動産会社の宅地建物取引士が押印した書面(重要事項説明書)を買主に交付し、取引士が対面で説明しなければなりません。
・重要事項説明書に記載しなければならない内容には次の点があります。
①取引物件に関する事項
②取引条件に関する事項
③その他の事項
④区分所有建物の場合に追加で説明する事項