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不動産仲介会社の「囲い込み」と問題点とは?
不動産仲介会社の「囲い込み」と問題点とは?
不動産の仲介で不動産仲介会社の「囲い込み」という問題があることはご存じでしょうか?不動産仲介会社が売主からも買主からも仲介手数料を得たいために起こる問題です。売主の人にも関わる問題で、不動産仲介会社の「囲い込み」の問題点について知っておくべきでしょう。また、その対策についても考えてみます。
目次
1. 不動産仲介会社の囲い込みとは?
2. 不動産会社の仲介手数料の位置づけ
(1) 不動産会社の仲介手数料の内容
(2) 仲介手数料は、仲介会社の唯一の成功報酬
3. 囲い込みが生まれる背景と仲介手数料の「片手」と「両手」
(1) 片手手数料
(2) 両手手数料
4. 囲い込みの問題点とデメリット
(1) 囲い込みの問題点
(2) 囲い込みのデメリット
5. 売主の囲い込みへの対策は?
まとめ
1.不動産仲介会社の囲い込みとは?
不動産仲介会社の囲い込みとは、不動産仲介会社が売主から専任媒介契約や専属専任媒介契約で売却依頼された物件を、自社で買主をも見つけ販売するために物件情報を隠し、他の不動産会社に販売させないことをいいます。
例えば、他の不動産会社から「○○の物件を買いたいって人がいるので物件を案内させてほしい」と電話があっても、「すみません、すでに申込みが入ってしまいました」と嘘をつき、紹介を断るなどです。
2.不動産会社の仲介手数料の位置づけ
(1) 不動産会社の仲介手数料の内容
仲介会社は、物件の販売、重要事項・契約書の作成、契約行為、住宅ローンの取次ぎ、登記の手配、引き渡し手続きなど、取引に必要な手続きをサポートします。仲介会社が入ることで、不動産売買が円滑に進み、無事に取引が成立します。
(2) 仲介手数料は、仲介会社の唯一の成功報酬
取引成立の際に双方から支払われるのが、仲介手数料になります。仲介手数料は、取引が成立した場合のみ、双方から支払われます。つまり、仲介手数料は取引の成果に対する成功報酬です。仲介手数料は、仲介会社の唯一の成功報酬で仲介報酬がないと事業は成立しません。
3.囲い込みが生まれる背景と仲介手数料の「片手」と「両手」
不動産仲介会社の基本的な収入源は、仲介手数料だけです。
せっかく売り物件があったものの、取引を成立させられずに手放してしまうのは非常に勿体ないのです。また、売り物件を取得したら必ず取引を成功させ仲介手数料を取得したいと思うものです。また、不動産仲介会社は媒介契約の形態では、自社のみが扱うことのできる専属専任もしくは専任媒介契約にすることを望むものです。媒介契約が1社のみに限定されるので確実な取引となり大きなメリットがあります。
(1) 片手手数料
売主と契約している不動産会社と、買主を探し出した不動産会社が異なる場合は、それぞれ直接やり取りしている相手方から仲介手数料を受け取る「片手仲介」があります。
(2) 両手手数料
売主と契約している不動産会社と、買主を探し出した不動産会社が同じ会社の場合は、1社が双方から手数料を受け取ることができ、手数料収入が2倍になる両手仲介があります。
この両手手数料を得たいことが、囲い込みの原因となっています。
囲い込みは、意外にも大手と言われる仲介業者で行われていることがあります。大手仲介業者は、会社の規模が大きく、店舗運営等の固定費や、宣伝費用、人件費等が莫大であるので、仲介手数料はなるべく多くとりたいことが背景になっています。
4.囲い込みの問題点とデメリット
(1) 囲い込みの問題点
両手仲介自体は宅建業法で禁じられてはいません。
しかし、1社による専属専任媒介、専任媒介契約では、指定流通機構のレインズへの物件情報の登録義務があります。売却の専任媒介契約を受けた不動産会社が、故意に情報を隠し、また独占することは禁じられ、専属専任媒介契約、専任媒介契約をする際には「決められた期間内に」「物件情報を指定流通機構(レインズ)へ登録する事」が義務付けられています。しかし、登録はしても実際には販売はしないこともありえます。
つまり、他の会社から「貴社が扱っている物件を買いたい人がいます」と連絡を受けたにも関わらず、不動産会社が本当ではないのに「その物件は引き合いが入っています」「契約予定です」などと嘘をついて断り、時間がかかっても自社で買主を見つけるのを目的としている場合は大きな問題となります。「囲い込み」は、売主に対する背信行為となります。
(2) 囲い込みのデメリット
不動産会社が両手仲介を優先し、囲い込みを行った結果、売却価格が相場より下がる場合があります。
売主が、その交渉過程を知らずに気づくことすらできない問題があります。
また、1社で買主も直に見つけようとするために時間がかかる場合もあります。早期に売却したい売主の希望に反する場合があります。
5.売主の囲い込みへの対策は?
基本的に囲い込みが行われる可能性があるのは、不動産会社と専属専任契約もしくは専任媒介契約をした場合です。一般媒介契約ではほとんど行われません。専属専任契約もしくは専任媒介契約をする場合は希望価格の値引きには注意すべきでしょう。
また、専属専任契約もしくは専任媒介契約専任媒介契約の場合に、反響が極めて低い場合や、頻繁に値下げの話を持ちかけられたりする場合には注意が必要です。
売主は物件の地域相場なども調べておくべきでしょう。
囲い込みについては、レインズ側でも罰則規定などを強化していますが、残念ながらまだまだ対策が現状に追いついていません。
不動産の売却に当たっては、積極的に情報公開し、納得できる売り出し価格で早期成約を実現する、信頼できるパートナーに仲介を託すことが重要です。
まとめ