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空家等対策の推進に関する特別措置法の概要

知っておくべき行政の空き家対策

―「空家等対策の推進に関する特別措置法」とはー

住宅分野における空き家の状況では、住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の総数は、この20年で約1.5倍に増加し、賃貸用又は売却用の住宅等を除いた「その他の住宅」は、この20年で約1.9倍に増加しています。
適正に管理されない空き家等が周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしていること等を背景に状況から行政でも取り組みが強化され、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月に施行されました。法律に加え、財政支援措置及び税制措置を講じることにより、空き家対策を総合的に推進するとしています。この行政の政策の転換点となったこの法律について紹介します。

注)この文章における用語表記については、一般的な使い方の場合は「空き家」とし、法律名が関わる場合は「空家」としています。

1.「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空家法)の制定で何が変わったのか?

空家法制定前とその後で変わったことは次のような点です。

(1) 物件所有者不明の場合の行政の調査権の明確化

空き家物件所有者不明の場合、不動産登記簿だけでは所有者までたどり着かない場合があり、また固定資産税台帳における納税者情報などの利用についても秘密漏えい罪(地方税法22条)に当たる懸念から、情報の提供が難しい状況でした。
そのため空家法10条によって、納税義務者の同意を踏まえずに納税者情報を目的外利用でき、さらに同条3項では関係自治体などへの協力依頼がされることとなり、行政の立入調査権限も認められました(9条)。

(2) 行政の「助言」・「指導」、「勧告」、「命令」の三段階の手法の明確化

「特定空家等」(空家法2条2項)の所有者に対して、空家法14条では、「助言」・「指導」、「勧告」、勧告に係る措置の「命令」という三段階の手法をおいています。
「助言」・「指導」は、行政指導に当たり、相手方への法的義務は発生しない段階です。
「勧告」は行政指導の要素がありますが、住宅が建っている土地については固定資産税や都市計画税が減免される優遇制度について、地方税法の2015年3月の改正により、「勧告」を受けた「特定空家等」の所有者はこの優遇措置が受けられなくなることになりました。
命令については代執行などの行政処分が行われます。

(3) 行政代執行などの実効性確保措置

空家法制定前は、条例上に基づく命令に従わない場合、「行政代執行」まで行う自治体もあれば、制裁的な「公表」を使う自治体(例、埼玉県所沢市)などさまざまでした。空家法では行政代執行措置が定められ(14条9項)、さらに空き家の所有者が不明な場合の略式代執行手法も定められました(同条10項)。

(4) 国や県による財政的措置その他の措置をする規定の整備

空家法上、空き家対策は市町村が中心に対応することが明示されていますが、それとは別に、国や県による財政的措置その他の措置をする旨の規定が整備されました(15条)。

2.空家法の空家等の定義

(1) 背景

適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要です。(法1条)

(2) 定義

{1} 空家等とは

空家等とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの(長期間にわたって使用されていない状態をいい、例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないこと)及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。(法2条1項)

{2} 特定空家等とは

特定空家等とは、
a. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
b. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
c. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
d. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 にある空家等をいう。(法2条2項)

2.空家法施策の概要

(1) 所有者責任と市町村による対策

第一義的には空家等の所有者等が自らの責任により的確に対応することが前提です。

「空家等の所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。」(法3条)

所有者等の経済的な事情等から空き家の管理責任をまっとうできない場合、住民に最も近い行政主体であり 個別の空家等の状況を把握することが可能な立場にある市町村が対策を実施することが重要としています。

(2) 空家等の実態把握・所有者の特定等 市町村内部で固定資産税等に関する情報の活用が可能(法10条)

従来、秘密漏えいに該当するおそれがあり、同じ市町村内でも税務部局から提供できなかったものですが行政の権限が明確化されました。

空家等及びその跡地の活用の促進 空家等対策を推進する上では、その跡地も含めた空家等を地域資源として利活用していくことも重要とし、市町村は、空家等及び空家等の跡地に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。」(法13条)とされています。

(3) 行政の助言又は指導、勧告、命令

市町村長は、管理不十分で放置することが不適当な建築物等について、所有者等に対して、
・除却、修繕、立木竹の伐採その他の必要な措置をとるよう、助言又は指導
・改善されないと認めるとき、勧告
・勧告に係る措置をとらなかった場合、命令
・履行しないとき、十分でないとき、完了見込みがないときは、行政代執行法に基づく代執行が、過失なく必要な措置を命ぜられるべき者を確知できないときは、略式代執行ができることとなっています。

(4) 税制措置

・市町村長が空家法の規定に基づく勧告をした特定空家等については、当該特定空家等に係る敷地について、固定資産税の住宅用地特例の対象から除外することになります。

結果として固定資産税が6分の1となる特例が適用されず固定資産税が6倍になります。

・相続人が、相続により生じた古い空き住宅又は当該空き住宅の除却後の敷地を一定期間内(相続日から起算して3年を経過する日の属する年 の12月31日まで)に譲渡した場合、 譲渡所得から3000万円を特別控除する。

空き家の最大の発生要因である相続のタイミングで、古い空き住宅や敷地の有効活用を促す目的です。

(5) 財政支援措置

空家法に基づき空家等対策計画に沿った空き家の活用や除却など市町村による総合的な空き家対策への支援を実施されます。

(6) 空家法以外の廃屋撤去に関係する法制度

空家法以外の廃屋撤去に関係する法規には次のようなものがあります。

・建築基準法(10条)
建築物が著しく保安上危険、又は著しく衛生上有害な場合に、特定行政庁が所有者等に対し、除却、修繕等必要な措置を命令。
・消防法(3条)
火災の予防に危険があると認める場合に、消防長又は消防署長が所有者等に対し、屋外における消火、避難等消 防活動に支障となる物件の除去を命令。
・道路法(44条等)
沿道区域の立木等が道路に倒壊した場合の道路交通の支障を排除するため、道路管理者が当該土地等の管理者に対し、必要な施設を設ける等の措置を命令。
・災害救助法(4条)
災害における応急救助として障害物の除却を都道府県知事が実施(市市町村長が委任により一部実施)。

3.空家法制定後の条例改正

(1) 地方自治体の条例

空家法制定後においては、市町村は、空家法上の手法を利用して空き家への対応をすることが可能です。
前庭として、市町村には自治立法権があり、「法令に違反しない限り」で条例を制定することが可能です(地方自治法14条1項)。

(2) 空き家条例の意味

空家法があるにもかかわらず、市町村が条 例を存置ないし新規制定するのは、同法だけでは、その空き家対策にとって不十分と考えられている場合などです。
事項不足、内容不足の点です。
事項の追加については、空き家条例および空家法の目的を実現するためには必要であるが同法には規定がされていない場合です。
内容の追加については、一応の規定はあるけれども、十分な内容(程度・手続)とはなっていない場合です。

(3) 空き家条例の方向

都市部の行政では、基本的な方向としては、空き家の除去と活用の2極の方向があり、除去に取り組む自治体の例は少なくありません。
除去の方法としては、強制的除去のハード手法と、助成をして合意の上での除去のソフト手法があります。強制的除去は行政代執行となり住宅の撤去・排除などです。東京都大田区、墨田区、京都府京都市、兵庫県神戸市、神奈川県横須賀市などの例があります。一方、助成をして除去する例には、東京都足立区の「老朽家屋等解体工事助成」があります。また、東京都文京区では、空き家住宅を更地化した場合、固定資産税上昇の一定期間の据置制度などがあります。

・空き家条例には次のようなものがあります。
〇宇都宮市空き家等の適正管理及び有効活用に 関する条例
〇前橋市空家等対策の推進及び空家等の活用の 促進に関する条例
○市川市空家等の適切な管理に関する条例
〇世田谷区空家等の対策の推進に関する条例
〇京都市空き家の活用、適正管理等に関する条例
など

4.空家法の限界

(1) 代執行そのものの限界

「特定空家等」について行政代執行や略式代執行を行ったとしても、その費用が事実上回収できないことが、すでに指摘されています。積極的に代執行制度を利用して「特定空家等」を除去した事例においても数十万円から数百万円を超える費用がかかっており、費用を所有者から回収できない場合は、税金で賄わなければならなくなり、市町村にとって大きな負担となります。

また、仮に代執行を経て危険な状況を脱したとしても、その後の管理はどうするかも問題となります。たとえば「空家等」(空家法2条1項)の概念には、庭木や雑草も含まれるので、そのような物に対する代執行の場合は、改めて同様の状況が生まれてしまわないような対応も考えなければなりません。

(2) 所有者の空き家解決の動機の不十分さ「特定空家等」化予防策

空き家の所有者は、子が都市部に流出し、親が亡くなったり高齢者専用住宅に移動して空いた家をそのままにしておいても当面は困りませんが、売却したり賃貸しようと考えた時に空き家をどうするかが大きな問題となって顕在化します。

「特定空家等」予備軍の建物について、所有者自らが、積極にこれを改善あるいは除去する理由があるかというと、多くの者にとっては百万円単位で撤去などの費用がかかることもあり、先送りしがちです。

・まとめ

空家法の効果は、次のような点です。

  • (1) 物件所有者不明の場合の行政の調査権の明確化
  • (2) 行政による「助言」・「指導」、「勧告」、「命令」の三段階の手法の明確化
  • (3) 行政代執行などの実効性確保措置

・空き家法により「特定空家等」が規定されました。特定空家等とは、下記のような住宅です。

  • a. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • b. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • c. 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • d. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 にある空家等をいう。(法2条2項)

・空家法により、行政の助言又は指導、勧告、命令の3段階の手法が明確化され、命令を履行しないなどの場合には行政代執行が行われる場合があります。

・固定資産税の住宅用地特例の対象から除外(固定資産税の6倍化)
市町村長が空家法の規定に基づく勧告をした特定空家等については、当該特定空家等に係る敷地について、固定資産税の住宅用地特例の対象から除外することになります。
結果として固定資産税が6分の1となる特例が適用されず固定資産税が6倍になります。

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