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「空き家バンク」と空き家売却促進の現状 -千葉県匝瑳(そうさ)市、旭市、銚子市-
千葉県で茨城県に近い地域に香取・東総ゾーンがあります。九十九里浜に面したサーフィンや銚子の漁港など首都圏に属する中で自然環境に恵まれた魅力に富んだ地域です。これらの地域はコロナ渦でリモート業務が行われる中で、仕事をする場所としても再注目されています。空き家や空き地であった不動産も活性化するチャンスではないでしょうか。ここでは、千葉県匝瑳市、旭市、銚子市の「空き家バンク」と空き家売却促進の現状を紹介します。空き家売却促進では移住促進策などがあります。
1.千葉県の「空き家バンク」と空き家状況
(1) 千葉県の空き家状況について
平成25年に国が実施した住宅・土地統計調査によると、千葉県の空き家数は約36万7千戸で、住宅総数に対する割合は12.7%(平成30年度12.6%)です。
また特に問題となりうる、別荘などの二次的住宅や賃貸・売却用の住宅を除く、その他の住宅の空き家数は約13万4千戸で、住宅総数に対する割合は、4.6%となっています。
千葉県でも全国的な傾向と同様、空き家数は年々増加の傾向にあります。
(2) 香取・東総ゾーンの「空き家バンク」の状況
千葉県の地域では、香取・東総ゾーンがあります。ゾーンには、銚子市、旭市、匝瑳市、香取市、神崎町、多古町、東庄町があります。
この地域で、空き家バンク企業がスタートしているのは、匝瑳市と銚子市です。
{1} 匝瑳市空き家バンク事業
匝瑳市空き家バンクでは、空き家の有効活用を通して、移住および定住の促進による地域の活性化を図る事業を行っています。
「空き家を誰かに売りたい、貸したい」などと考えている空き家、空き地の所有者の方には、空き家バンクへの登録を勧めています。
実際の契約交渉などの仲介は、市と協定を締結した市内宅地建物取引業者が行います。
【問い合わせ】
〒289-2198 匝瑳市八日市場ハ793番地2 匝瑳市役所企画課 まちづくり戦略室
電話番号:0479-73-0081 ファクス番号:0479-72-1114
*匝瑳市空き家バンク
https://www.city.sosa.lg.jp/page/page000262.html
{2} 銚子市空き家バンク事業
銚子市では市内に点在する空き家を地域の資源と捉え、市内への移住・定住希望者へ空き家を貸し出す(または売却する)ことで、地域活性化・人口減少対策として活用するため空き家バンク事業を行っています。
銚子市では市内で空き家をお持ちの方で、貸したい・売りたいと考えている「空き家」情報を募集しています。
【募集する空き家】
- ◆所有者があきらかな空き家
- ◆大規模な修繕を必要としない空き家
- ◆宅建業者へ媒介を依頼していない空き家
- ◆市税の滞納がない空き家(所有者)
・銚子市は、空き家の情報提供は行いますが、契約行為や当事者間の調整には関与いたしません。
・契約交渉は、銚子市と協定を結んだ一般社団法人千葉県宅地建物取引業協会北総支部の会員(仲介事業者)が仲介を行います。(仲介手数料が発生します。)
【問い合わせ】
銚子市役所 企画財政課 銚子創生室 移住定住推進班
電話番号:0479-24-8912 / FAX:0479-25-4044
*銚子市空き物件データベース
http://www.city.choshi.chiba.jp/akidb/
2.匝瑳市の空き家売却促進と移住支援制度
(1) 転入者マイホーム取得奨励金
定住促進により人口減少の抑制と地域の活性化を図るため、匝瑳市に定住する意思を持って市外から転入し、新築または中古住宅を取得した人に奨励金を交付しています。
{1} 対象住宅
次のいずれの条件にも当てはまる住宅が対象です。
- a.専用住宅または併用住宅で、居住面積が50平方メートル以上であること
- b.建築基準法に規定する確認済証および検査済証の交付を受けていること
(中古住宅および都市計画区域の区域外に所在する新築住宅を除く)
- c.当該住宅の所有権取得の登記が完了していること
{2} 交付対象者
平成24年4月1日から令和3年3月31日までに定住し、住宅を取得した人で、次のすべての条件を満たしている人が対象です。
- a.住宅を取得した日と匝瑳市へ転入した日との間に3年以上の期間がないこと
- b.転入前3年間に匝瑳市に住民登録がないこと
- c.匝瑳市に10年以上居住する意思があること
- d.交付申請時に交付対象住宅に定住していること
- e.世帯全員の匝瑳市の市税および国民健康保険税に滞納がないこと
- f.過去に本奨励金の交付を受けていないこと
{3} 奨励金の額
- a.新築住宅…40万円(市内建築業者で建築した場合は、20万円を加算)
- b.中古住宅…20万円
{4} さらに、新築・中古問わず次の加算条件があります。
- a.申請者またはその配偶者が40歳未満の夫婦が転入した場合…20万円を加算
※申請者とその配偶者の転入した日が同じ日である場合または申請者の転入した日とその配偶者の転入した日との期間が6カ月以内である場合に限ります。
- b.世帯に義務教育終了前の子どもがいる場合…1人に付き5万円を加算(最大20万円)
- c.匝瑳市に定住する意思を持って市外から転入し、新築又は中古住宅を取得した方に奨励金を交付します(新築最大100万円、中古最大60万円)。
(2) フラット35の借入金利について一定期間の引き下げ
匝瑳市転入者マイホーム取得奨励金の交付と併せて、フラット35(民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローン)の借入金利について、一定期間の引き下げを受けることができます。
(3) 住宅リフォーム補助事業
市民の住宅環境の向上を図るため、市内の施工業者を利用して住宅のリフォーム工事を行う市民に対して、その工事費用の一部の補助があります。
{1} 対象住宅
新築から10年以上経過している住宅
その他の住宅リフォームに係る補助を受けていないこと
{2} 対象者
- a.住宅の所有者または所有者の2親等以内の親族で、そこに住民登録がありかつ居住している人
- b.補助金交付後10年以上居住する意思を持っている人
- c.所有者および申請者の世帯全員が市税および国民保険税に未納がないこと
- d.暴力団および暴力団員と関わりがないこと
- e.対象住宅において所有者および所有者の2親等以内の親族がこの補助金の交付を受けていないこと
{3} 対象工事
- a.市内の施工業者によるリフォーム工事(工事金額が税抜き20万円以上のもの)
- b.別途定める項目のいずれかに該当するリフォーム工事
- c.当該年度の1月末日までに工事が完了し、かつ実績報告ができること
- e.共同住宅および併用住宅については、個人住宅部分のみ該当
{4} 補助金の交付額
工事金額(税抜き)の10%(上限20万円。千円未満の端数は切り捨て)
(4) 耐震診断補助
住まいの木造住宅について、耐震診断を実施した場合に、診断費用の一部を補助します。
(5) 耐震改修補助
住まいの木造住宅について、耐震診断の結果に基づく耐震改修を実施した場合に、工事費の一部を補助します。
(6) 住宅用太陽光発電システム設置費補助金
市では、地球温暖化の防止および地域における再生可能エネルギーの導入促進のほか、地域経済の活性化を図るため、住宅用太陽光発電システムを設置しようとする人に対し、補助金および奨励金を交付しています。
予算に限りがあるため、予算額に達した時点で受け付けを終了します。
{1} 対象者
次のいずれにも該当する人であること
- a.匝瑳市の区域内に住所を有し、かつ、住民基本台帳に記録されている人(発電システムの設置完了時に住民登録をする人を含みます)
- b.自ら居住し、もしくは居住しようとする住宅に新たに太陽光発電システムを設置しようとする人(既築住宅に新規設置・住宅の新築に併せて設置)
- c.発電した電力について、電気事業者と特定契約を締結している人
- d.設備の設置費を負担し、設備を所有する人
- e.匝瑳市の市税および国民健康保険税に未納がない人
{2} 補助の条件
次のいずれにも該当する発電システムであること
- a.住宅の屋根などへの設置に適し、低圧配電線と逆潮流ありで連携するもの
- b.太陽電池の出力を監視するなどにより、全自動運転を行うもの
- c.太陽電池の最大出力の合計値または系列ごとのパワーコンディショナーの定格出力の合計値が10キロワット未満であるもの
- d.太陽電池モジュールの性能および安全性が指定された基準に該当するもの。また、規定の設備が設置されていること
- e.未使用品であること
- f.申請時において、設置工事に着工していないこと
(7) 合併処理浄化槽設置促進事業補助金
住宅に小型合併処理浄化槽(10人槽以下)を設置する場合に補助金を交付しています。
(8) 生ごみ処理機等設置促進事業補助金
家庭用生ごみ処理機または生ごみ堆肥化容器(コンポスト)購入費の一部を補助します。
(9) 農業後継者新規就農支援助成金
匝瑳市内に住む40歳以下の新規就農者で、千葉県海匝農業事務所が開催する農業経営体
育成セミナーを受講した人、または千葉県指導農業士から6カ月以上の技術研修を受けた人に、年間20万円の助成を行っています。
*匝瑳市「移住・定住促進パンフレット」
https://www.city.sosa.lg.jp/data/doc/1550903280_doc_4_0.pdf
3.旭市の空き家売却促進と移住支援制度
(1) 定住促進奨励金
旭市では市内に定住する意思をもって住宅を取得し転入した人に「定住促進奨励金」の交付を行っています。
{1} 交付要件
- a.平成30年4月1日以降に市内に転入していること。
- b.平成30年4月1日以降に住宅を取得(自ら住宅を新築、あるいは新築住宅または中古住宅を購入し、所有権保存登記または所有権移転登記を行うこと)していること。
- c.住宅の取得の日と転入の日との間に3年以上の期間がないこと。
- d.転入の日から起算して過去3年以上旭市の区域外に住所を有していたこと。
- e.交付申請時において旭市に定住していること。
- f.世帯全員に旭市の市税及び国民健康保険税の滞納がないこと。
- g.過去に当該定住促進奨励金の交付を受けていないこと。
- h.申請する住宅が過去に当該定住促進奨励金の交付対象となっていないこと。
などの要件をすべて満たしている人が交付対象となります。
{2} 交付額
転入前の3年以上市外に居住していた方が、定住を目的として市内に住宅を取得し転入した場合(転入の日と住宅の取得の日に3年以上の期間が空かない場合に限る。)世帯構成の要件等に応じて最大150万円を交付します。
(2) 住宅リフォーム補助制度
{1} 対象住宅
市内の自己の居住の用に供する建築物【賃貸住宅は対象外】
※マンション等の集合住宅は個人専有部分、店舗等との併用住宅は個人居住部分
{2} 対象者
- a.市内に住所を有し、住民基本台帳に記録されていること。
- b.住宅の所有者等で、現に居住していること。
- c.対象者及び同居している者が市税を完納していること。
{3} 対象工事
- a.補助対象工事 別途規定あり
・他の制度による補助金等を受ける工事部分については対象外
・下水道処理区域、農業集落排水処理区域内で施設を利用していない住宅は、排水設備関連工事については対象外(施設へ接続する場合は対象)
- b.旭市内に本店、支店又は営業所を開設している法人、又は個人事業主によるリフォーム工事
- c.対象工事金額が20万円以上
- d.令和3年1月末までに完了し、実績報告ができること。
{4} 補助金額
対象工事に要した費用の10%(上限20万円)
※1住宅につき1回の交付です。
(3) 住宅用省エネルギー設備設置補助制度
市では家庭における地球温暖化防止対策促進のため、住宅用省エネルギー設備などを設置する人に対し、予算の範囲内において設置費用の一部を補助します。
{1} 補助額
- a.太陽光発電設備/1kwあたり2万円で上限10万円(千円未満切捨て)
- b.家庭用燃料電池システム(エネファーム)/上限5万円
- c.定置用リチウムイオン蓄電システム/上限10万円
- d.太陽熱利用システム(自然循環型を除く)/上限5万円
{2} 補助対象
次のいずれの要件も満たす人
- a.市内において自ら居住する、若しくは居住しようとする住宅に新たに設備を設置する人。または新品が設置された建売住宅を購入する人。
- b.市内に住所を有すること。(市への実績報告の日までに住民登録をする場合を含む。)
- c.世帯の全員が市に納付すべき税を滞納していないこと。
- d.設備設置費を負担し、設備を所有すること。
- e.設備を設置する住宅の所有者が申請者と異なる場合、全ての所有者又は共有者から同意を得ていること。
- f.設備を設置する住宅において、設置する設備と同種の省エネルギー設備等に対し、申請者または世帯員が、過去にこの補助金を受けていないこと。
- g.太陽光発電設備を設置する場合は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の規定により、電気事業者と設備で発電した電気に係る特定契約を締結していること(市への実績報告の日までに締結する場合を含む)。
- h.旭市暴力団排除条例第2条の各号に該当しないこと。
- i.実績報告書を補助金の交付の決定を受けた日の属する年度の3月10日までに提出できること。
(4) 生ごみ処理機等購入補助制度
市民が生ごみを微生物の活動で分解する容器や乾燥装置により消滅、減量化させる電動生ごみ処理機を市内の販売店から購入し、要件を満たす場合に、その費用の一部を補助します。
(5) 就業支援―新規転入農業者支援事業
旭市外から旭市内に新規に転入して、農業経営を行う方(45歳未満)に対して、農業機械や施設の取得費用や農地を借りる費用の一部を補助します。
*旭市「移住・定住支援」
http://www.city.asahi.lg.jp/attakaasahi/life/
4.銚子市の空き家売却促進と移住支援制度
(1) 銚子市住宅リフォーム助成事業
銚子市では、市内産業の活性化を図るとともに、市民の住環境の向上に寄与するため、市民が市内施工業者と契約して、住宅リフォームを行う場合に、その費用の一部を助成します。なお、平成29年4月から公共下水道への接続工事に対する助成を新設しました。
{1} 補助対象者
- a.銚子市内に住民票のある方
- b.居住する住宅を市内施工業者による20万円以上のリフォーム工事を実施する方
- c.市税等を滞納していない方
※市税等とは市税、下水道使用料および下水道事業受益者負担金・分担金を指します。
{2} 補助対象住宅
- a.銚子市内にある専用住宅(区分所有のマンションも含む)および併用住宅(住居部分の割合が2分の1以上)であること
- b.補助の対象となる方が居住していること
- c.補助の対象となる方又はその2親等以内の親族が所有していること
- d.所有者が市税等を滞納していないこと
下水道を接続していること又は接続の計画が市長の確認を受けていること(下水道供用開始区域のみ)
- 賃e.貸住宅でないこと
※下水道供用区域内住宅については、工事完成時に下水道に接続していることが必要です。
{3} 補助対象工事
- a.当該年度の1月末日までに、工事および支払が完了するリフォーム工事
- b.他の助成制度を利用していないリフォーム工事
補助対象リフォーム工事 別途規定あり
{4} 補助金の額
- a.20万円以上50万円未満のリフォーム工事 2万円
- b.50万円以上100万円未満のリフォーム工事 5万円
- c.100万円以上のリフォーム工事 10万円
- d.公共下水道への接続工事(新設)(1~3の額に増額)
- ア くみ取り便所を廃止する場合 5万円
- イ 浄化槽を廃止する場合 3万円
※補助金の交付を受けることができるのは、リフォーム工事を行う住宅につき、一度だけです。
(2) 木造住宅耐震改修助成事業
{1} 耐震改修に係る設計に要する費用
【助成金額】補助対象経費の3分の1(上限5万円)
{2} 耐震改修に係る工事及び監理に要する費用
【助成金額】補助対象経費の3分の1(上限45万円)
*銚子市「移住定住促進」
http://www.city.choshi.chiba.jp/sisei/teiju/
まとめ
・千葉県の空き家状況について
平成25年に国が実施した住宅・土地統計調査によると、千葉県の空き家数は約36万7千戸で、住宅総数に対する割合は12.7%(平成30年度12.6%)です。
・匝瑳市、銚子市では空き家バンク事業が立ち上がっています。
・匝瑳市の空き家売却促進につながる移住支援制度には次のようなものがあります。
□転入者マイホーム取得奨励金
・奨励金の額は、新築住宅…40万円(市内建築業者で建築した場合は、20万円を加算)、中古住宅…20万円
・さらに、新築・中古問わず各種の加算条件があります。
例)匝瑳市に定住する意思を持って市外から転入し、新築又は中古住宅を取得した方に奨励金を交付します(新築最大100万円、中古最大60万円)。
□住宅リフォーム補助事業
補助金の交付額は、工事金額(税抜き)の10%(上限20万円)
・旭市の空き家売却促進につながる移住支援制度には次のようなものがあります。
□定住促進奨励金
旭市では市内に定住する意思をもって住宅を取得し転入した人に「定住促進奨励金」の交付を行っています。
交付額は、転入前の3年以上市外に居住していた方が、定住を目的として市内に住宅を取得し転入した場合(転入の日と住宅の取得の日に3年以上の期間が空かない場合に限る。)世帯構成の要件等に応じて最大150万円を交付します。
□住宅リフォーム補助制度
補助金額は対象工事に要した費用の10%(上限20万円)
・銚子市の空き家売却促進につながる移住支援制度には次のようなものがあります。
□銚子市住宅リフォーム助成事業
補助金の額は、2万円から10万円です。