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相続登記の義務化にともなう「所有不動産記録証明制度」とは?

相続登記の義務化にともなう「所有不動産記録証明制度」とは?

 

不動産の所有者について相続があったときは、相続により不動産の所有権を取得した者は、相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更登記をしなければならないという民法改正が行われました。これに伴い不動産登記法も改正になり、新たに「所有不動産記録証明制度」が生まれました。これは現在の不動産登記では、あくまでも土地や建物ごとに作成されており、所有権の登記名義人ごとの登記情報は作成されていません。そのために、登記名義人が死亡した時に、登記名義人が全体としてどのような不動産を所有していたかを知ることができません。「所有不動産記録証明制度」とはこのデータベースの構築そのものの改革につながる改正です。「所有不動産記録証明制度」の内容と関連事項を紹介します。

目次

1.不動産登記の現状

(1) 現行の登記の物的編成主義

(2) 登記名義人別の登記情報のデータベースがない。

2.相続登記の申請の義務化に伴う「所有不動産記録証明制度」について

(1) 所有不動産記録証明制度とは

(2) 所有不動産記録証明書の交付請求が可能な者の範囲

(3) 所有不動産記録証明制度は名寄帳を進化させたといえる制度

(4) 所有不動産記録証明制度の問題点

まとめ

 

1.不動産登記の現状

 

(1) 現行の登記の物的編成主義

 

現行不動産登記法の下では、登記記録は、土地や建物ごとに作成されている物的編成主義を取っています。

 

(2) 登記名義人別の登記情報のデータベースがない。

 

そのため、特定の者が所有権の登記名義人となっているものを網羅的に抽出し、公開するデータベースは構築されていません。

その結果、所有権の登記名義人が死亡した場合に、その所有する不動産としてどのようなものがあるかについて全体的に把握しきれず、見逃された土地について相続登記がされないまま放置されてしまう事態が少なからず生じていると指摘されています。

 

2.相続登記の申請の義務化に伴う「所有不動産記録証明制度」について

 

(1) 所有不動産記録証明制度とは

 

所有不動産記録証明制度とは、相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくすることで、相続登記の申請に当たっての当事者の手続的負担を軽減するとともに、登記漏れを防止する観点から、登記官により、特定の被相続人が登記名義人として記録されている不動産を、一覧的にリスト化し証明する新設された制度です。

 

*不動産登記法119条の2(所有不動産記録証明書の交付等)

第百十九条の二

何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。

 

(2) 所有不動産記録証明書の交付請求が可能な者の範囲

 

特定の者が登記名義人となっている不動産を一覧的に把握するニーズは、より広く生存中の自然人のほか、法人についても認められるとの指摘がされていることから、これらの者についても所有不動産記録証明制度の対象となります。

 

ただし、個人についてはプライバシー等に配慮して請求範囲を、本人及び相続人その他の一般承継人に限定することとしています。

 

(3) 所有不動産記録証明制度は名寄帳を進化させたといえる制度

 

これまでも、固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめた不動産の一覧表の「名寄帳」というものは存在していました。しかし、名寄帳は市区町村ごとに作成されており、市区町村をまたいで不動産を所有している場合は、思い当たる市区町村に名寄帳を請求して不動産の有無を確認することが必要でした。しかし、どこに所有不動産があるのか心当たりがない場合は、専門家に依頼し、相続財産調査を行う必要がありました。

それでも所在がわからない場合は、不動産が正しく相続されず、そのまま所有者不明の土地になってしまうケースもあり、この状況の解決策として所有不動産記録証明制度は名寄帳を進化させたといえる制度です。

 

(4) 所有不動産記録証明制度の問題点

 

所有不動産記録証明は、その時点における登記簿に記録されている所有者の氏名又は名称及び住所は過去の一定時点のものであり、必ずしもその情報が更新されているものではないことです。正確な最新の情報の把握ができるかどうかの問題は残されています。

 

まとめ

 

・所有権の登記名義人が死亡した場合に、その所有する不動産としてどのようなものがあるかについて把握しきれず、見逃された土地について相続登記がされないまま放置されてしまう事態が少なからず生じています。

・所有不動産記録証明制度とは、相続登記の申請の義務化に伴い、相続人において被相続人名義の不動産を把握しやすくし、特定の被相続人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化し証明する新設された制度です。

・これまでも、市区町村ごとに作成された固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめた不動産の一覧表の「名寄帳」というものは存在していましたが、市区町村をまたいでの情報一覧はありませんでした。

・所有不動産記録証明制度の問題点は、登記簿に記録されている所有者の氏名又は名称及び住所は過去の一定時点のものであり、必ずしもその情報が更新されているものではないことです。

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