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代襲相続とその範囲とは?
代襲相続とその範囲とは?
家族の生死では、親より先に子供が亡くなることは珍しくありません。この場合、親の相続はどのようになるのでしょうか。本来相続人となる子が先に他界していると、親から言えば孫が相続人になる場合や、兄弟姉妹が相続人である場合は、甥や姪が相続人となる場合があります。これを「代襲相続」といいます。代襲相続が発生すると、親族でも普段付き合いのない人が相続人となり、相続の手続きがかなり煩雑なものとなる場合があります。代襲相続により、だれが相続人となるか、相続人の範囲はどこまでか、相続分はどうなるのかなどを説明します。
目次
1. 代襲相続とは
2. 代襲相続人の範囲
(1) 死亡した相続人の直系卑属(子や孫)
(2) 死亡した相続人の相続人となるはずであった兄弟姉妹の子
3. 相続欠格・排除でも代襲相続人となる。
(1) 相続欠格とは
(2) 相続廃除とは
4. 相続放棄は代襲相続にならない。
5. 代襲相続人の相続分
6. 代襲相続人の遺留分
まとめ
1.代襲相続とは
代襲相続とは、被相続人が死亡した時に、本来相続人となるはずであった人が既に死亡するなどをしていた場合に、その子などが代わって相続する制度のことをいいます。
被相続人が死亡した時に、子が既に死亡して孫がいた場合には、孫が子に代わって相続人となります。
新たに相続人となった人を代襲相続人といいます。また、死亡した相続人を被代襲者といいます。
2.代襲相続人の範囲
代襲相続人となる範囲は、基本的に次の2つのいずれかの場合です。
・死亡した相続人の直系卑属(子や孫)
・死亡した兄弟姉妹の子
(1) 死亡した相続人の直系卑属(子や孫)
➀子が実子である場合
被相続人の子からの代襲相続は、子や孫など直系卑属が順次連続する限り継続して代襲相続人となります。
例えば、父Aが亡くなり、母Bと長男C及び次男Dが相続人となった場合で、長男Cが既に亡くなっている時、長男Cの子であり父Aの孫であるEが長男Cの代襲相続人となります。
もし、孫であるEもすでに死亡していてEの子(父Aの曾孫)がいる場合にはその子が代襲相続人となります。
②子が養子である場合
被相続人の養子は実子と同様に相続人となりますが、養子の子が代襲相続人となるかは、生まれた時期によって異なります。
養子縁組の後に生まれた養子の子は直系卑属となり代襲相続人となりますが、養子縁組の前にうまれた養子の子(いわゆる連れ子)は、法律上は被相続人の直系の親族(直系卑属)ではないので代襲相続人となることができません。
・養子縁組の後に生まれた孫:代襲相続できる
・養子縁組の前に生まれた孫:代襲相続できない
(2) 死亡した相続人の相続人となるはずであった兄弟姉妹の子
被相続人の兄弟姉妹が相続人となるはずであったものの、その兄弟姉妹が死亡していた場合には、その兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)までしか代襲相続は生じません。すなわち、被相続人の甥・姪が死亡していた場合には、甥・姪の子が相続人となることはありません。
たとえば、被相続人である長男Aには子がなく配偶者も直系尊属である両親も亡くなっている場合、次男B、三男Cが相続人となります。しかし、三男Cが既に亡くなっているので三男の子で被相続人の甥にあたるDが代襲相続人になります。
もし、甥であるDが既に亡くなっていても、亡くなった相続人が被相続人の兄弟姉妹である場合はDの子は代襲相続人とはなりません。代襲相続人となるのは被相続人の甥・姪までとなります。
3.相続欠格・排除でも代襲相続人となる。
相続人の死亡以外でも、相続人が相続欠格、相続廃除の理由で相続権を失った場合は、その相続人の子が代襲相続人となります。相続欠格、相続廃除は本人のみの問題とされ、その子(孫)までは及ばないとされます。
(1) 相続欠格とは
相続欠格とは、相続人が次の犯罪行為や不正をした場合に相続権を失う制度です。
・故意に被相続人または先順位若しくは同順位にある相続人を死亡させ、または、死亡させようとしたために、刑に処せられた。
・被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった。
・詐欺または強迫によって、被相続人が遺言書の作成や、変更することなどを妨害した。
・詐欺または強迫によって、被相続人に遺言書を作成させ、または変更などをさせた。
・遺言書を偽造、変造、破棄、または隠匿した。
(2) 相続廃除とは
相続廃除とは、相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)が次の行為をした場合に、被相続人が家庭裁判所に請求し、家庭裁判所の審判や調停によってその相続人の相続権を失わせる制度です。これは遺言によってもすることができます。
・被相続人に対し虐待や重大な侮辱を加えたとき
・相続人に著しい非行があったとき
4.相続放棄は代襲相続にならない。
相続欠格・廃除の場合は、代襲相続はありますが、相続放棄の場合に代襲相続はありません。
相続放棄した人は、相続開始当初から相続人でなかったとみなされますので、もともと相続権が発生していないとされます。したがって相続放棄によって次の世代に相続権が引き継がれることはありません。
5.代襲相続人の相続分
代襲相続人の相続分は、被代襲者である子や兄弟姉妹の相続分を引き継ぐことになります。
また、代襲相続人が複数いる場合には引き継いだ相続分を均等に分けることになります。
代襲相続する孫が複数いる場合は、法定相続分を人数で分けます。
なお、相続税の計算ではまず基礎控除があります。基礎控除額の計算は3,000万円+法定相続人の数×600万円で、代襲相続人がいる場合は、代襲相続人の数も法定相続人の数に含めて計算しますが、亡くなっている被代襲者は含まれません。
代襲相続人は何人いても死亡した相続人の相続分を引き継ぐにすぎないため、代襲相続人以外の法定相続分が変わることはありません。
6.代襲相続人の遺留分
遺留分とは、相続人に認められている最低限の相続財産を取得する権利です。
相続人が直系卑属の場合は相続分の1/2が遺留分として認められていますが、相続人が兄弟姉妹の場合は遺留分が認められていません。
代襲相続の場合も、代襲相続人が被相続人の孫などの直系卑属の場合は遺留分も引き継ぐことになりますが、兄弟姉妹の代襲相続人である甥や姪には遺留分はないことになります。
まとめ
・代襲相続とは、被相続人が死亡した時に本来相続人となるはずであった人が既に死亡するなどをしていた場合に、その子などが代わって相続する制度のことをいいます。
・代襲相続人の範囲は、次の者です。
➀死亡した相続人の直系卑属(子や孫)
被相続人の子からの代襲相続は、子や孫など直系卑属が順次連続する限り継続して代襲相続人となります。
②死亡した相続人の兄弟姉妹の子
兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)までしか代襲相続は生じません。