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相続などに関わる生命保険金が出ないのはどのような場合か?
相続などに関わる生命保険金が出ないのはどのような場合か?
相続対策で生命保険は、被相続人が保険契約者になり配偶者や子供が保険金の受取人になる場合が基本的に多くあります。その場合、保険金は被相続人の相続財産に含まれないため相続対策になります。生命保険では終身保険という分野になります。しかし、保険では必ずしも人の死亡ですべて支払われるわけではありません。また、生命保険金が出ない場合もあります。一般的に生命保険金が出ないのはどのような場合かを説明します。
目次
1. 生命保険金が出ない場合
2. 支払事由に該当しない場合
(1) 支払事由の原因が責任開始前に生じている場合
(2) 入院・手術が支払事由に該当しない場合
3. 免責事由に該当した場合
(1) 死亡保険金(給付金)の免責事由の例
(2) 災害死亡保険金・入院給付金の免責事由の例
4. 告知義務違反による解除の場合
(1) 告知義務違反による契約解除
(2) 営業担当者などには告知受領権はないこと
5. 重大事由による解除、詐欺による取消、不法取得目的による無効の場合
6. 生命保険が失効してしまっている場合
まとめ
1.生命保険金が出ない場合
生命保険金が出ない場合は、支払事由に該当しない場合、保険会社の免責事由に該当した場合、加入者の告知義務違反による解除の場合、重大事由による解除・詐欺による取消・不法取得目的による無効の場合、保険金等不法取得目的による無効の場合、保険が失効してしまっている場合などが考えられます。
生命保険会社によって若干取り扱いが異なりますが主なものを説明します。
2.支払事由に該当しない場合
生命保険金が受け取れるのは、「約款」の所定の支払事由に該当した場合です。支払事由に該当しない場合には生命保険金が出ません。支払事由に該当しない場合は次のようなものです。
(1) 支払事由の原因が保障の責任開始前に生じている場合
高度障害保険金や入院給付金など(死亡保険金は除きます)について、保障の責任開始期(日)前に生じた病気やケガを原因によるものは、約款に特に定めがない限り生命保険金は出ないのが一般的です。
(2) 入院・手術が支払事由に該当しない場合
入院した日数が約款の所定の日数に満たない場合、約款の所定の支払日数の限度まで既に入院給付金を受け取っている場合、入院先が約款の所定の医療機関でない場合、治療を目的としない入院の場合などは、入院給付金は出ません。
また、手術が約款の所定の「支払対象となる手術の種類」に該当しない場合は、手術給付金は出ません。
3.免責事由に該当した場合
約款の所定の保険会社の「免責事由」(生命保険金が支払われない事由)に該当した場合、生命保険金は出ません。次のようなものがあります。
(1) 死亡保険金(給付金)の免責事由の例
①契約した保険の責任開始期(日)、または、復活日から一定期間内(1~3年)に被保険者が自殺した場合
(※)精神障害などにより正常な判断能力がない状態で亡くなった場合には、死亡保険金が支払われる場合があります。
②契約者または死亡保険金(給付金)の受取人の故意による死亡、障害の場合
③戦争その他の変乱による死亡、障害の場合。
ただし、状況や障害の程度によっては全額または一部を受け取れる場合があります。
(2) 災害死亡保険金・入院給付金の免責事由の例
①契約者、被保険者または災害死亡保険金受取人の故意または重大な過失による場合
(例)危険であることを認識できる状況で高速道路を逆走して対向車と衝突し、死亡し場合など。
②被保険者の犯罪行為による場合
③被保険者の精神障害の状態を原因とする事故による場合
④被保険者の泥酔の状態を原因とする事故による場合
(例)泥酔して道路上で寝込んでいるところ、車にはねられて死亡した場合。
⑤被保険者が法令に定める運転資格を持たないで運転している間に生じた事故による場合
⑥被保険者が法令に定める酒気帯び運転、または、これに相当する運転をしている間に生じた事故による場時
⑦戦争その他の変乱、地震、噴火または津波による場合。
ただし、その程度によっては、保険金・給付金の全額または一部を受け取れる場合があります。
4.告知義務違反による解除の場合
現在の健康状態、過去の傷病歴、職業などについて事実を告げなかったり、偽りの告知をしたなどの「告知義務違反」があった場合は、営業職員などから告知を妨げられたり、告知をしないことを勧められたときなどを除き、告知義務違反により契約・特約が解除となり、生命保険金が出ない場合があります。
(1) 告知義務違反による契約解除
告知義務違反があった場合、責任開始日(復活の場合は復活日)から2年以内であれば、生命保険会社は契約を解除することができます。
生命保険会社による解除の場合、解除時点での解約返還金があればその金額は契約者に戻され、すでに払い込まれた保険料は戻されない場合があります。
(例) 気管支ぜんそくで年に数回の発作があり通院していることを告知書で告知せず加入し、加入1年後に気管支ぜんそくを原因として亡くなったケースなど。
なお、保険の種類により告知を不要とする場合もあります。ただし、告知を不要とする場合でも、入院中ではないなどの所定の条件を満たすことが必要です。
(2) 営業担当者などには告知受領権はないこと
生命保険会社指定の医師以外の職員(営業職員、生命保険面接士など)は告知を受ける権限(告知受領権)を持っていないため、健康状態、傷病歴等について営業職員などに口頭で伝えても告知したことにならないので注意が必要です。
5.重大事由による解除、詐欺による取消、不法取得目的による無効の場合
①「保険金や給付金などをだましとる目的で事故を起こした」などの重大事由で契約が解除となった場合
②契約の加入や復活に際して詐欺行為や保険金を不法に取得する目的の行為があり契約が取消・無効となった場合
これ等の場合には、生命保険金は出ません。
6.生命保険が失効してしまっている場合
生命保険料の支払いが滞ると、一定の期間が過ぎた生命保険契約は失効してしまいます。
失効した後に支払いの事由が生じても、生命保険金は出ません。
まとめ
・生命保険金が出ない場合は、支払事由に該当しない場合、免責事由に該当した場合、告知義務違反による解除の場合、重大事由による解除・詐欺による取消に該当する場合や保険金等不法取得目的による無効の場合、保険が失効してしまっている場合が考えられます。
・生命保険金を受け取ることができるのは、保険の契約時に受け取る「約款」に記載されている支払事由に該当したときです。支払事由に該当しないと生命保険金が出ません。
・約款所定の「免責事由」(支払われない事由)に該当した場合、生命保険金は出ません。
死亡保険金(給付金)の免責事由の例では下記の時などです。