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相続における実子と養子の相違及び嫡出子と非嫡出子の相違は?
相続における実子と養子の相違及び嫡出子と非嫡出子の相違は?
親子関係といっても、さまざまな形があります。自然の親子関係の「実親子」のほか、養子縁組という法律の制度に基づいて成立する「養親子」があります。また、嫡出子と非嫡出子の相違もあります。これらは特に相続を中心に権利上どのようになるのか、また、なんらかの制限はあるのかについて説明します。
目次
1. 実子と養子の違いについて
(1) 実子と養子の違いは血縁関係の有無
(2) 相続における実子と養子の違いは?
(3) 養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組がある。相続における相違は?
(4) 普通養子縁組の要件
2. 相続における連れ子と実子の違い
(1) 自身に連れ子がいて、新たな結婚後相との間に子供が生まれ、自身が亡くなった場合
(2) 結婚相手に連れ子がいて、結婚相手が亡くなった場合
3. 嫡出子と非嫡出子
(1) 嫡出子と非嫡出子とは
(2) 嫡出子に関する法律
(3) 嫡出子と非嫡出子の相続割合
(4) 非嫡出子がいる場合の相続における争いを回避するには?
まとめ
1.実子と養子の違いについて
(1) 実子と養子の違いは血縁関係の有無
実子と養子の大きな違いは、血縁関係の有無です。実子は血縁関係のある子であり、養子は血縁関係のない子になります。養子と養親の間には血縁関係はありませんが、養子縁組が成立すれば、法律上では養子は法定血族たる嫡出子となります。民法では、養子縁組の日から養親の嫡出子の身分を取得します。法律上では養子も、嫡出子及び法定血族としての身分をもち、実子と違いがありません。
(2) 相続における実子と養子の違いは?
相続において実子と養子がいる場合、遺産分割する際には法律では違いがあるかどうかですが、結論から言えば実子と養子の違いはありません。
相続においても、相続割合や遺留分などすべて実子と同じ権利をもちます。
子は第1順位の相続人として、被相続人の配偶者が存命の場合、2分の1の相続割合が認められています。
また、養子は、遺産相続が開始すれば実子と同じく相続権をもち、「代襲相続人」になる資格をもちます。「代襲相続」とは、本来相続人となる人が先に亡くなった場合に亡くなった人の孫や甥、姪などが相続人となることです。
(3) 養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組がある。相続における相違は?
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。
相続における親子関係では、普通養子と特別養子では相違があります。
普通養子の場合、養子は養親の相続人であるだけでなく、実親の相続についても相続人になります。
一方、特別養子の場合、養子は実親についての相続権を失います。
特別養子縁組とは、養親となる者の請求により家庭裁判所の審判によって成立する縁組です。要件として、養親となる者が配偶者のある者に限定されこと、夫婦がともに養親にならなければならないこと、養子は6歳未満でなければならないなど、普通養子縁組と比べるとより慎重な手続きがとられます。
特別養子縁組が認められると、養子と実方の父母およびその血族との親族関係は終了するのは、実方の一切の干渉を避け、養親と養子の一体感を保障しようとするためです。
(4) 普通養子縁組の要件
普通養子縁組が成立するためには、次の注意事項と要件などがあります。
・養親となる人は、成人であること
・養子になる人が未成年で、養親になる人が夫婦の場合は、夫と妻が一緒に縁組をしなければならないこと
・養子になる人が未成年の場合には、事前に家庭裁判所の許可の審判を受けること
・養子になる人が15歳未満の場合、その法定代理人が代わりに承諾すること
・養子になる人が結婚している場合、配偶者の同意を得なければならないこと
・養親から見て年上の人や、年下であっても目上の親族は、養子にできないこと
・後見人が被後見人を養子とする場合は、家庭裁判所の許可を得ていること
この要件を満たしていたら、市区町村役場に養子縁組の届出をします。
必要とされる条件を備えていることが確認されたら養子縁組の届出が受理されます。
2.相続における連れ子と実子の違い
結婚相手に子ども、いわゆる連れ子がいて、結婚後に夫婦間に新たに子どもが生まれ、連れ子と実子がいる場合に相続が発生した場合はどうなるのでしょうか?
(1) 自身に連れ子がいて、新たな結婚後相手との間に子供が生まれ、自身が亡くなった場合
子どもがいる人が結婚し、その後、夫婦間に新たに子どもが生まれた場合、連れ子と結婚後の実子がいることになり、自身の相続はどうなるのでしょうか?
配偶者は、法定相続では2分の1の相続権があります。子ども全体では、同じく2分の1の相続権があります。「故人の結婚前に生まれた子も結婚後に生まれた子も同じ扱い」になり、子ども全体を人数分で等分したものがそれぞれの子の相続分になります。
(2) 結婚相手に連れ子がいて、結婚相手が亡くなった場合
子どもがいる人と結婚し、結婚した相手が亡くなった場合、相続はどうなるでしょうか?
配偶者は、法定相続では2分の1の相続権があります。子ども全体では、同じく2分の1の相続権があります。ここまでは、前項と同じですが養子縁組の問題が出てきます。
結婚相手の子、いわゆる連れ子と自身が養子縁組をしていれば、実子とまったく同じ身分となりますから、子ども全体を人数分で等分したものがそれぞれの子の相続分になります。
しかし、連れ子と養子縁組していない場合、法定相続は実子のみとなり連れ子は相続できません。
3.嫡出子と非嫡出子
(1) 嫡出子と非嫡出子とは
嫡出子は婚姻関係のある男女から生まれた子どもです。
非嫡出子は婚姻していない男女から生まれた子です。
嫡出子も非嫡出子も実子です。
(2) 嫡出子に関する法律
嫡出子に関して、民法第772条(嫡出の推定)の第1項には「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と書かれています。第2項には「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消もしくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」とあります。
つまり一般的に結婚している間に妻が妊娠して、生まれた子であることが明らかであると考えられる子は「嫡出子」です。また、婚姻届が役所で受理された日以降に生まれた子であれば、嫡出子として役所に届出ができます。
父から認知された後に父母が婚姻した時、認知を受けていた子は嫡出子となります。婚姻した後に父が認知をした時もその子は嫡出子になります。
認知とは、父母が法律上の婚姻関係にない場合に父親となるべき者が法律上の親子関係を生じさせるための制度です。
まとめると、嫡出子とは具体的には次の要件になります。
・婚姻中に妊娠をした子ども
・婚姻後201日目以後に生まれた子ども
・父親の死亡後、もしくは離婚後300日以内に生まれたこども
・未婚時に生まれて認知をされ、その後に父母が婚姻した子ども。
・未婚時に生まれてから、父母が婚姻し、父親が認知をした子ども
・養子縁組の子ども
(3) 嫡出子と非嫡出子の相続割合
相続については、非嫡出子について、かつて民法は嫡出子の2分の1を相続割合として定めていましたが、これは憲法違反であるとの判断が下され、平成25年12月5日に民法の一部が改正する法律が成立し、現在では嫡出子と非嫡出子の相続分は等しい割合になっています。
(4) 非嫡出子がいる場合の相続における争いを回避するには?
非嫡出子がいる場合のトラブルを避けるために次のようなことがあります。
①認知をしておく。
認知の必要性は、男性が結婚後に配偶者以外の女性との間で子どもが生まれた場合などです。不倫や浮気でできてしまった子どもでも、父親が認知をすれば、非嫡出子として相続人となります。
②遺言書を残しておく。
非嫡出子がいる場合、相続人間で遺産分割協議を行うのが難しくなり、もめる可能性が高いことが想像できます。
また、被相続人の死亡後に家族には告げていない非嫡出子の存在が発覚することもあります。急に現れた法定相続人に、遺産を渡したくないと相続人が考えるのも無理がありません。その争いを避けるためには、被相続人が亡くなる前に遺言書を書き残しておくことが重要です。
まとめ