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不動産仲介の種類と相違、そのメリット・デメリット PART2
―仲介の種類は3つある。あなたはどの種類を選ぶのか?―
(PART1より続く)
5.一般媒介のメリット・デメリット
(1) 一般媒介契約のメリット
①複数の会社に仲介を依頼できるので、買い手の幅が広がる。
買い手の幅が広がれば結果的に高い金額での販売が可能となります。また、1社の販売力にゆだねる事になる専任媒介契約、専属専任媒介契約よりも不動産会社選択のリスクが分散されます。
②会社同士の競争意識がはたらき、好条件の物件の場合は営業活動が積極的になる。
複数の不動産会社が同時期に購入希望者を見つけた場合、売主は購入希望者を比較して選べ、好条件で売却する可能性があります。
③レインズに登録しなくてよいので、売却物件が公にならない。
レインズへの登録を行わなければ、物件情報を公にせず販売活動を行うことができ、親せきや近隣の人に売却を秘密にしたい場合などに意味があります。
(2) 一般媒介契約のデメリット
①販売状況の報告義務がないため、不動産会社がどのように活動しているか分かりづらい。
一般媒介契約は、不動産会社に販売状況の報告義務がないため、販売状況の把握が難しく、買い手の状況が分かりにくい点があります。また、販売状況の確認のためには、売主から不動産会社へ問い合わせをする必要があります。
②自社で売却できるとは限らないので、積極的な販売活動をしない可能性もある。
不動産会社としては、広告費をかけて宣伝を行っても他社が先に買主を見つけてしまった場合は仲介手数料を得ることができず、時間も費用も無駄になってしまう恐れがあり積極的な販売活動をしない可能性もありえます。
③レインズに登録しない場合、物件情報が広がらない。
物件情報が広がらないと販売成約の機会が減ります。
6.専任媒介契約のメリット・デメリット
(1) 専任媒介契約のメリット
①不動産会社からの報告頻度が高く設定されているので、売主が販売状況を把握しやすいことがあります。
不動産会社から2週間に1回の報告があります。定期的に販売状況と買い手の反応を把握できるため、価格の見直しなどの判断もしやすくなり、営業戦略が練りやすくなります。
また、複数の会社に連絡を入れて確認する必要がないため、売主の負担は一般媒介契約に比べて少なくなります。
②広告費用をかけるなど積極的な販売活動を行ってもらいやすい。
専任媒介契約は、1社だけと契約を結ぶため、不動産会社は売れれば確実に仲介手数料を受け取ることができます。そのため、売主から任された不動産会社は、広告費や宣伝費をかけて販売活動を行うため、売却成立の可能性が高まります。
(2) 専任媒介契約のデメリット
①1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される。
不動産会社がどれだけ営業・宣伝してくれるか、販売力があるか、不動産会社の力量に左右されるリスクがあります。
②他社との競争がなく、営業が活発でなくなる怖れがある。
7.専属専任媒介のメリット・デメリット
(1) 専属専任媒介契約のメリット
①不動産会社からの報告頻度が3つの契約の中で最も高く設定されているので、売主が販売状況を把握しやすい。
専属専任媒介は、不動産会社は契約日から5日以内にレインズへの物件登録をしなければなりません。物件の情報は全国の不動産会社の間で共有されることになり、直接依頼を受けていない会社にもスピーディーに物件を紹介することができます。
また、専属専任媒介は週に1回、販売活動の報告があり、状況を頻繁に確認できることで、販売戦略も練りやすい点があります。
②契約を結んだ不動産会社でしか仲介できないため、専任よりも広告費用をかけるなど積極的に活動をしてもらいやすい。
専属専任媒介契約は、不動産会社1社とのみ契約し、個人での直接取引は認められていません。最も制約の多い形態ですが、その分、不動産会社としては責任が非常に大きくなり全力で販売活動を行ってくれる可能性があります。
(2) 専属専任媒介契約のデメリット
①自分で買い手を見つけても不動産会社を介さずに売ることはできない。
一般媒介、専任媒介の場合は、自分で購入者を見つけてもよいとされる自己発見取引が認められていますが、専属専任媒介契約は、自己発見取引が認められていません。
②1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される。
専属専任媒介でも販売力が低かったりし、希望通りの価格での売却が難しくなるリスクがあります。
③他社との競争がなく、営業が活発でなくなる恐れがある。
専属契約に安住し営業努力が十分でない恐れもあります。
8.契約の種類の選択基準
先述した3つの種類の契約の特徴、メリット・デメリットから自分の考え、状況に合ったものを選択します。判断基準としては次のような点があります。
①専任契約、専属専任契約では不動産会社を1社に絞る必要がありますが、信用できる会社がない場合は一般媒介契約でやってみて、信頼できる会社が見つかったら、時期を見て、新たに契約内容を変更して契約することもできます。
②ある程度の信頼会社があり売却はある程度プロに任せながら、自分でも買主を探したい多少の迷いもある場合は、専任媒介契約を検討します。
専任媒介契約は、媒介契約の中で最もバランスの取れている契約で、不動産会社にある程度積極的に営業活動を行ってもらいつつ、自分で買主を探すことができます。
③より早く売りたいなら専属専任媒介
最も制約の多い専属専任媒介契約ですが、ある程度信用できる会社があれば、不動産会社の積極的な販売活動を期待できるため、早く売りたい人におすすめです。
まとめ
・不動産の媒介契約とは、不動産の売買で、売主と買主の間を不動産会社が仲立ちして行うの媒介において、宅地建物取引業法(通称:宅建業法)により義務づけられたもので、不動産会社に依頼する業務の内容や仲介手数料などを書面にて明確にするものです。
・媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。どの媒介契約を結ぶかは売却では売主が決めることができ、どの契約を選択したとしても不動産会社に支払う仲介手数料率は同じです。
・3つの媒介契約の相違は、大きく分けて以下の5点になります。
①契約できる会社の数
②自己発見取引(自分で買主を見つけることが可能か)
③依頼主への販売活動の報告義務
④指定流通機関(レインズ)への登録義務
⑤契約期間
この要素に基づき、3つの媒介契約の特徴、メリット・デメリットがあります。