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不動産の売却にかかる税金の種類と軽減税率とは

不動産の売却にかかる税金の種類と軽減税率とは

 

不動産を売却したときには、どのような税金がかかるのでしょうか。また、それはどのくらいかかるのでしょうか。いずれも経験しないと分からないものです。不動産は高額なだけに税金も高額になる場合があります。また、逆に税金がかからない場合やかかっても少額で済む場合もあります。不動産の売却にかかる税金の種類とかかる場合について、また、長期所有という期間による軽減税率について紹介します。

目次

1.不動産を売却し利益があったときに課税される税金

(1) 売却して利益が出たら必要な譲渡所得税・住民税および復興特別所得税

(2) 譲渡所得とは

2.不動産の所有期間で変わる税率と長期所有の軽減税率

(1) 長期譲渡所得と短期譲渡所得

(2) 長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率

(3) 所有期間の算定

3.売却した利益に関わらずかかる税金の種類

(1) 印紙税

(2) 登録免許税

まとめ

 

1.不動産を売却し利益があったときに課税される税金

 

不動産を売却しても必ずしもすべての場合税金がかかるわけではありません。利益がかかった時だけかかる税金と、すべての場合にかかる税金の種類があります。まず、利益がかかった時だけかかる税金について説明します。

 

(1) 売却して利益が出たら必要な譲渡所得税・住民税および復興特別所得税

 

不動産を売却して利益が出た場合、その利益を譲渡所得として基本的に所得税(国税)、住民税(地方税)が課せられます。加えて時限的に、2013年から2037年の間は東日本大震災の復興に必要な財源確保を目的とした復興特別所得税も加わります。

これら不動産を売却して利益が出た場合、その所得を譲渡所得と言い、譲渡所得が課税対象となり、これに対する税金は事業所得や給与所得と分離して計算することから「分離課税」と呼ばれています。

 

(2) 譲渡所得とは

 

譲渡所得は、譲渡価格から売却不動産の取得費と売却費用を差し引いた額です。

譲渡所得が課税対象となり、譲渡所得額に応じて譲渡所得税と住民税が決まりますから、不動産売却に必要な税金のうち最も重要なものです。

 

①譲渡所得の計算式

 

譲渡所得の計算式は下記のようになります。

 

*譲渡所得=譲渡価格-(取得費+売却費用)

 

例えば譲渡価格(売却価格)が5,000万円、取得費が4,000万円、譲渡費用が300万円とすると、譲渡所得は「5,000万円−(4,000万円+300万円)」で700万円です。

 

また、譲渡する不動産が居住用(マイホーム)であれば、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます(別項目で詳細紹介)。

特別控除が適用される場合は、譲渡所得から特別控除額を差し引いた金額が、課税対象となる譲渡所得になり次の計算式となります。

 

*譲渡所得=譲渡価格-(取得費+売却費用)―特別控除額

 

②取得費、売却費用とは

 

譲渡所得税計算では、譲渡所得からは取得費と売却費用が差し引きできますが、取得費、売却費用として当てはまるものは具体的に次のようなものです。

 

a. 取得費、売却費用

 

取得費、売却費用には、次のようなものがあります。

・土地、建物の購入費用、建築費用

・購入時に不動産会社へ支払う仲介手数料

・購入時に掛かる税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税等)

・土地を自ら取得している場合の埋め立て、土盛り、地ならしなどの造成費用、測量費

・古家があった場合の解体費用

などです。

 

ただし、測量費は直接的な取得費や売却費用とは扱われません。また、土地の造成費用は売却費用ではなく購入時の取得費に扱ったりする場合もあり注意が必要です。

 

b.建物の場合には減価償却が必要

 

一方、マンションや一戸建て等の建物の場合は、期間が経過することで価値が減少していくため、上記の取得費の合計額から「減価償却費相当額」を差し引く必要があります。居住用の場合、以下の計算式で算出することができます。なお、事業用不動産の場合は計算式が異なります。

 

*「減価償却費相当額」=建物の取得費×0.9×償却率×経過年数

 

なお建物構造により耐用年数と償却率が定められています。

・木造       耐用年数33年 償却率0.031

・軽量鉄骨     耐用年数40年 償却率0.025

・鉄筋コンクリート 耐用年数70年 償却率0.015

 

③取得費が分からない場合は?

 

なお、親から相続した土地や建物の場合、そもそも取得費が分からないことも多いことでしょう。その場合には、譲渡価格の5%を取得費として計算をします。

 

2.不動産の所有期間で変わる税率と長期所有の軽減税率

 

譲渡所得を計算する上で押さえておくべきポイントに不動産の所有期間があります。

 

(1) 長期譲渡所得と短期譲渡所得

 

不動産を譲渡した際の譲渡所得税・住民税は、その土地・建物の所有期間によって、5年越しなら「長期譲渡所得」、5年以下なら「短期譲渡所得」に分けられ、税率も大きく異なります。

 

長期譲渡所得である方が税率も低くなります。所有期間によって税額に大きな差が出るので、不動産を売却する際は所有期間の確認が必要です。譲渡所得の計算のための不動産の所有期間は、売却した年の1月1日現在です。

 

(2) 長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率

 

所得税率は、長期譲渡所得は15%、短期譲渡所得では30%、住民税率は、長期譲渡所得は5%、短期譲渡所得では9%が基準となっています。なお、2013年から2037年までは復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算されます。

 

譲渡所得に対する税額を計算する場合の税率は、次の通りです。

 

a.長期譲渡所得(所有期間が5年超の場合)

20.315%

内訳(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

 

b.長期譲渡所得(所有期間が10年超のマイホームの軽減税率の特例)

・譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%

内訳(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)

・譲渡所得6,000万円超の部分:20.315%

内訳(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

 

c.短期譲渡所得(所有期間が5年以下の場合)

39.63%

内訳(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)

 

(3) 所有期間の算定

 

所有期間の計算では、「売却(譲渡)した年の1月1日現在」でカウントされる点に注意が必要です。仮にある年の4月1日に買った家を、5年後の5月1日に売った場合、売った年の1月1日現在ではまだ所有期間が5年未満なので短期譲渡所得となり、税負担が重くなってしまいます。

 

3.売却した利益に関わらずかかる税金の種類

 

売却した利益に関わらずかかる税金には次のようなものがあります。

売買契約の締結と所有権移転に伴い必要となります。

 

(1) 印紙税

 

不動産売却時、不動産売買契約書に必要となるのが印紙で、印紙を購入し印紙税を支払います。

印紙税の額は不動産売買契約書に記載されている金額によって異なります。

 

契約金額

・500万~1,000万円以下

印紙税 軽減税額 5,000円(本則税額は10,000円)

・1,000万~5,000万円以下

印紙税 軽減税額10,000円(本則税額は20,000円)

・5,000万~1億円以下

印紙税 軽減税額30,000円(本則税額は60,000円)

・1億円~5億円以下

印紙税 軽減税額60,000円(本則税額は100,000円)

*印紙税が10万円を越える場合、令和4年3月31日まで軽減措置が適用されます。

 

(2) 登録免許税

 

不動産売却時の所有権の移転に伴う不動産登記に必要となるのが登録免許税です。

登録免許税の額は、登記の種類によって税率が異なります。

 

①売却により所有権移転をする場合

 

売却により所有権移転をする場合には、

*「固定資産税評価額」×2%です。

しかし、令和4年3月31日までは、印紙税と同じように軽減税率が適用され、

*「固定資産税評価額」×1.5%です。

 

②抵当権を抹消する場合

 

ローンが残っている家を売却する場合は、売却の決済・引き渡し前にローンを完済しておく必要があります。

抵当権は、ローンを完済すれば自動的に抹消されるものではなく、債務者が自ら手続きを行って抹消する必要があり、手続きには登録免許税がかかります。抵当権抹消登記にかかる登録免許税の税額は、不動産一つあたり1,000円と定められ、土地と建物はそれぞれ別々の不動産として数えられます。

 

まとめ

 

・売却して利益が出たら必要な税金は、譲渡所得税・住民税および復興特別所得税です。

・売却した利益を譲渡所得と言い、譲渡所得の計算式は下記のようになります。

*譲渡所得=譲渡価格-(取得費+売却費用)

・譲渡する不動産が居住用(マイホーム)であれば、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます(別項目で詳細紹介)。

・取得費、売却費用として当てはまるものは次のようなものです。

①土地、建物の購入費用、建築費用

②購入時に不動産会社へ支払う仲介手数料

③購入時に掛かる税金(登録免許税、不動産取得税、印紙税等)

④土地を自ら取得している場合の埋め立て、土盛り、地ならしなどの造成費用、測量費

⑤古家があった場合の解体費用

・不動産を譲渡した際の譲渡所得税・住民税は、その土地・建物の所有期間によって、5年越しなら「長期譲渡所得」、5年以下なら「短期譲渡所得」に分けられます。

・長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率は、長期譲渡所得は15%、短期譲渡所得では30%、住民税率は、長期譲渡所得は5%、短期譲渡所得では9%が基準となっています。なお、2013年から2037年までは復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算されます。

・売却した利益に関わらずかかる税金の種類には次のようなものがあります。

①印紙税

②登録免許税

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