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令和4年度税制改正大綱で「住宅ローン減税」はどう変わった?
令和4年度税制改正大綱で「住宅ローン減税」はどう変わった?
令和4年度税制改正大綱が令和3年12月24日で閣議決定され、住宅ローン控除率等を見直す結果となりました。これは住宅ローンの控除率について、ローン金利が変動金利で低くなっている現状から金利の逆ザヤが生まれる結果となっている場合があり、見直しが指摘されていた問題です。控除の特例期間は延長が継続し、急激な変化は避けられてはいます。
売主にとっては、住宅ローンの減税問題、控除率は直接の課題ではありませんが、買い手の動向の変化として知っておいた方が良いでしょう。
目次
1.住宅ローン控除の特例期間を令和7年12月31日まで4年間延長
(1) 住宅借入金等の控除率が0.7%に。控除期間は令和4年・5年は13年に。
(2) 適用対象者の所得要件を2,000万円以下に引き下げ
(3) 床面積が40㎡以上50㎡未満で新築(又は建築後使用されたことのないもの)取得についても特例の適用可
(4)一定の省エネ基準を満たさない新築又は建築後使用されたことのないものの取得については本特例の適用ができない。
(5) 適用対象となる既存住宅は、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋であること。
2.認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除について、令和5年12月31日まで2年延長
3.令和4年度の住宅ローン控除でどう変わる?
まとめ
1.住宅ローン控除の特例期間を令和7年12月31日まで4年間延長
住宅ローンの控除を10年から13年に延長する特例期間が延長されました。2019年10月の消費増税に伴う特例措置でしたが、コロナ禍での経済的影響が考慮されました。そして、
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について適用期限(令和3年12月31日)は令和7年12月31日まで4年間延長されます。
(1) 住宅借入金等の控除率が0.7%に。控除期間は令和4年・5年は13年に。
住宅の取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の控除率が0.7%に、令和4年・5年の控除期間は13年です。
その他、末残高の限度額(借入限度額)、控除率及び控除期間は次のとおりです。
①下記の②以外の住宅の場合
居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
令和4年・5年 | 3,000 万円 | 0.7% | 13 年 |
令和6年・7年 | 2,000 万円 | 0.7% | 10 年 |
(注)上記の金額等は、住宅の取得等が居住用家屋の新築、居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得、または、宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた居住用家屋の取得である場合の金額等であり、それ以外の既存住宅の取得又は住宅の増改築等における借入限度額は一律2,000万円、控除期間は一律10年となります。
②認定住宅等の場合
種類 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
認定住宅
|
令和4年・5年 | 5,000 万円 | 0.7% | 13 年 |
令和6年・7年 | 4,500 万円 | 〃 | 〃 | |
ZEH水準省エネ住宅
|
令和4年・5年 | 4,500 万円 | 〃 | 〃 |
令和6年・7年 | 3,500 万円 | 〃 | 〃 | |
省エネ基準適合住宅
|
令和4年・5年 | 4,000 万円 | 〃 | 〃 |
令和6年・7年 | 3,000 万円 | 〃 | 〃 |
(注1)上記の「認定住宅」とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。
(注2) ZEH(ゼッチ、ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、断熱性能等を大幅に向上させる高効率な設備システムの導入により、大幅な省エネルギーを実現し、再生可能エネルギーを導入する、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅です。
(注3)上記の金額等は、住宅の取得等が認定住宅等の新築又は認定住宅等で建築後使用されたことのないもの若しくは宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものの取得である場合の金額等であり、住宅の取得等が認定住宅等で建築後使用されたことのあるものの取得である場合における借入限度額は一律3,000万円、控除期間は一律10年となります。
住宅ローンの控除率は令和3年では1%でしたが、現在では変動金利型のローンを利用する人の割合が高く、年0.5%を下回る変動金利の住宅ローンも多くなっています。そのためローン利息と住宅ローンの残高の1%控除率との間に、利ザヤが生じているケースも出てきて、毎年のローン金利負担額を上回る控除を受けている可能性があります。また本来であれば住宅ローンを組む必要のない所得層が控除の恩恵を受けているとの指摘もあり、控除率が1%から0.7%になりました。
(2) 適用対象者の所得要件を2,000万円以下に引き下げ
適用対象者の所得要件を2,000万円以下(令和3年:3,000万円以下)に引き下げられました。
(3) 床面積が40㎡以上50㎡未満で新築物件(又は建築後使用されたことのないもの)取得についても特例の適用可
個人が取得等をした床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋で、令和5年12月31日以前に建築確認を受け、新築又は建築後使用されたことのないものの取得についても、本特例の適用ができます。
ただし、その者の控除期間のうち、その年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年については適用されません。
(4)一定の省エネ基準を満たさない新築又は建築後使用されたことのないものの取得については本特例の適用ができない。
一定の省エネ基準を満たさない新築又は建築後使用されたことのないものの取得については、本特例の適用ができません。
(5) 適用対象となる既存住宅の要件は、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋であること。
適用対象となる既存住宅の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋であることを加えられました。
(注)上記(2)(5)の改正は、住宅の取得等をして令和4年1月1日以後に居住の用に供した場合について適用されます。
2.認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除について、令和5年12月31日まで2年延長
適用期限が令和3年12月31日までのものの延長です。また、対象住宅の新築等をして令和4年・5年に居住の用に供した場合の対象住宅、標準的な性能強化費用に係る控除対象限度額及び控除率は次のとおりです。
居住年 | 対象住宅 | 控除対象限度額 | 控除率 |
令和4年・5年 | 認定住宅・ZEH水準省エネ住宅 | 650 万円 | 10% |
3.令和4年度の住宅ローン控除でどう変わる?
住宅金融支援機構の調査によると約6割の人が変動金利を選んでいるそうですが、住宅ローン控除制度の控除率が変わると固定金利を選ぶ人が増える可能性もあります。
まとめ
・住宅ローン控除の特例期間を令和7年12月31日まで4年間延長
・住宅借入金等の控除率が0.7%に
・居住年令和4年・5年の場合、借入限度額は3,000万円、控除率は0.7%、控除期間は13年となります。
・認定住宅では、居住年令和4年・5年の場合、借入限度額は5,000万円、控除率は0.7%、控除期間は13年となります。
・適用対象者の所得要件を2,000万円以下(令和3年:3,000万円以下)に引き下げられました。
・床面積が40㎡以上50㎡未満で新築(又は建築後使用されたことのないもの)取得についても特例の適用可